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僕、多忙になりそうです

「さて、局の思惑については予測が出来た。まあ、それが本当かは分からないし、確かめる術も無いのだが」


「その通りですけど、何も予測出来ていないよりは良いと思います」


 出演依頼してきた人に、「やらせ問題から目を逸らさせるための依頼ですか?」なんて聞けるわけがない。聞いた所で正直に「はい、そうです」なんて答える筈もないしね。


「問題はこれらの依頼を受けるかどうかだが……」


「下手に受けると、使い潰されますねぇ」


 今の僕には、容姿以外の売りがない。なので、簡単に飽きられて干される可能性が高い。

 それを回避するには、特徴となる芸やキャラクター作りが必須。その方向性を話し合おうとしたらこの騒ぎだ。


「今からキャラクターを作っていても、馴染む時間もなくボロが出るだけになるだろう。カオル君は素のままがいいと思う」


「そうね、大人しそうな美少女が、容赦なく突っ込むというのはギャップがあるけどそれがいいかも」


「本来僕は、流される性格で突っ込まれる側の筈なんですが……」


 突っ込み所満載な家族のお陰で突っ込む側に回ってますけど、どちらかというとボケ役の方が適正があると思います。それもこれも、常識のない家族が原因です。


「カオル君、大和取締役を常識がないって……」


「社長、自家用車に20ミリ機関砲の弾丸を弾き返す装甲を付ける人が常識人だと?」


 反論を聞いた社長は沈黙しました。流石にそれを常識だとは言い張れなかったようです。


「因みに、ディーラーへの要求は46センチ砲に耐える事でしたが、泣いて懇願されて妥協したそうです」


 追い討ちをかけると、社長さんと長門さんが机に突っ伏しました。お二人とも知らなかったんですね。


「大和取締役、結構常識外れな人だったんですね」


「この親にしてこの子ありって言葉が浮かんだよ……」


「ちょっ、社長、僕はまともですよ!」


 即座に反論すると、どこからともなく姿見を出した長門さんに言われました。


「カオル君、その鏡に写る姿を見ながらさっきのセリフを言えるかしら?」


「訂正します。僕は中身はまともです」


 流石に、男としてこの外見をまともとは言えない。そう言える程僕の神経は図太くありません。


「カオル君、長門君と組んでお笑い目指すか?」


「社長、私はマネージャーであって、タレントではありません!」


 そうは言うけど、長門さんはボケも突っ込みもやれそうで適正があると思う。組んでお笑いもアリかもしれない。


「ちょっと、カオル君本気にしちゃダメよ!」


「長門君、カオル君と組めばどつき漫才のノリでスキンシップが増えるぞ?」


「カオル君、今からは相方として宜しくね。早速ネタの練習しましょうか?」


 長門さんの目が、獲物を狩る時の猛獣のように見えるのは僕だけでしょうか?本能が逃げないとダメだと叫んでいます。


「身の危険を感じるので、遠慮させてもらいます。僕は一生ソロで活動しようと思います」


 逃げたい気持ちを抑え、逸れた話題を戻すとしましょう。先伸ばしに出来る内容ではないですからね。


「それはそうと、僕はキャラを作らず素で活動するということで。他は……」


「各種訓練をして適性を見定めてからの方がいいだろう。向かない事を無理してやっても、上手くいかないからな」


「当面は、カオル君は今回のCM撮影のために急遽スカウトした人材で、芸能活動はもう少し先になると言って時間を稼ぎましょう」


 本当の事で嘘は言っていないし、長門さんの案で時間を稼ぎつつ活動の方向を固めるのが得策かな。


「その方向でお願いします。だけど、付き合いとかで断りにくい依頼などは受けてもらっても構いませんから」


 商売には人脈が大事。特に芸能界ではそれが顕著です。それを損なう事は避けないと芸能会社の経営なんてやれないですからね。多少の無茶には応じるつもりです。


「正直有難い。力関係で断りにくい依頼もあるんだよ。とりあえず長門君、予定を組み直して早めにカオル君の活動方針を定めてくれたまえ」


 当面は訓練と仕事で忙しくなりそうです。栄養ドリンク、箱買いしておいた方がいいかな?

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