表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/113

僕、悩みました

「カオル君の事だから、反響があるとは思った。しかし、この量は異常だ。その原因がわからん」


「いくら何でも、過剰な反応ですよねぇ。社長の方に何か情報は入っていないのですか?」


 反応が無いのは困りものだけど、こんなに過剰なのも困ります。何か裏があるようで、素直に喜べません。


「特にない。カオル君のプロフィールに対する問い合わせや、取材申し込み。テレビからは出演依頼まで来ている」


「は?出演依頼なんて来ているんですか?いくら何でも早すぎますよ!」


 取材申し込みはまだわかるとして、テレビへの出演なんて何で来たのだろう。どんなキャラか分からない現状では使いにくいと思うのに。


「社長、出演依頼がきた番組のジャンルはどんなものでしたか?」


「バラエティーだな。食レポものや、トーク番組だ。今一番多いジャンルだな」


 そういえば、僕がよくインしていた掲示板で皆が嘆いていたな。今のテレビは簡単に作れるトークものや食レポばかりだって。


「当然と言えば当然ね。ドラマのオファーなんか、そう簡単に来るものではないわ」


「それを言ったら、バラエティーの出演依頼だってCM一本出ただけの新人に来たりはしないがな」


 社長のいう通りだよなぁ。CMで歌った曲が大反響で、出す予定が無かったのに急遽CDを出したなんて前例はあるけど。


 三人寄れば文殊の知恵と昔から言うけれど、実際にはそう簡単に良い知恵なんか出たりしません。


「テレビ局に、何か異常が起きてるとか?」


「人事に異動があって、その後継争いとかか?その可能性もあるが、依頼が来てるのはキー局全てだぞ?」


 上層部で空席が出来ると、その後継を狙って手柄をたてるために突飛な行動に出る事があるらしいです。


「異常というか、不祥事が続いた局はありましたね」


「ああ、あそこか。あれはタイミングが悪すぎた。片方は局の落ち度じゃなかったから、ちょっと可哀想だよなぁ」


 人気番組のメインを務めるアイドルグループのメンバーが不祥事をおこし、視聴率が低迷。それを乗り越えたと思ったら、別の番組でやらせ問題が発覚。踏んだり蹴ったりという言葉がこの上なく当てはまる、悲惨な局です。


「あそこだけなら、追求をかわす為にカオルちゃんを起用するってのも分かるんだが……」


「他の局も一斉にですものねぇ……」


 都合の悪いものから目を逸らさせるために、別の目立つ物を用意する。昔から使われてきた手段です。でも、今回はやらせが発覚していない局もオファーを出して……


「社長、長門さん、きっとそれです!目眩ましですよ!」


 その一件から、週刊誌ではやらせ叩きの風潮にあるらしいです。とある関係者が「バラエティーではやらせなんて多かれ少なかれあるのだ」というような趣旨の発言をしたらしいですが、この問題は他の局にとっても他人事ではないのです。


 自局でもやらせが発覚して叩かれるかもしれない。これからは兎も角、すでに放映したものでそれが発覚すれば、例の局と同じ道を辿る事になってしまう。

 ではどうするか。根本的に解決出来ないのならば、別の所に注目を集めて被害を極力少なくすれば良い。日本人は熱しやすく冷めやすいので、別の話題を提供されればすぐにそちらに目が移ります。


「裏付けは取りようがないが、そう言われてみれば一々納得するな」


「カオルちゃん凄いわ!実は中身は高校生だったりするんじゃないの?」


「長門さん、僕は元々十五才ですよ!」


 そりゃあ、見た目は小学高学年から中学生くらいですけどね。三年間引きこもりはしていましたが、中身も外見も列記とした十五才ですから!


「さて、異常な反応の理由に見当はついた訳だが、それに乗るか乗らないかが問題だな。何も考えずに乗れば……」


「目的を達したらポイ捨てされそうですね。それは何としても防ぎたいです」


 望んで入った世界ではないけれど、持て囃されてすぐに終わりと言うのは嫌だな。さて、僕はどうするべきなのでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ