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僕、カミングアウトしました

「霧島専務、同じ専務として恥ずかしい。君は何をやっているのかね?」


もう1人の専務、比叡さんが婚姻届を出した霧島専務を非難し始めました。いきなりあんな物を出すような真似をしたのですから、非難されて当然です。


「いいかね、合法ロリとはいえカオルちゃんはまだ十五才だ。婚姻出来る年ではないのだから、もう少し待たないと。という訳でカオルちゃん、婚約ならば問題ないよね」


「「突っ込むところそこかいっ!」婚約もお断りします!」


ずれた指摘に、僕と長門さんの突っ込みが重なりました。結婚は勿論、婚約も願い下げです。


「はぁっ……カオルちゃん、こんな変態揃いで申し訳ない。これでも仕事は有能な連中なんだよ。その婚姻届は破いて、長門さんの契約書だけサインをお願いします」


社長さんはまともみたいで助かりました。でも、契約を交わす前に言わなければならない事があります。


「すいません、契約の前にお知らせしなくてはならない事があります。実は僕、男なんです」


カミングアウトすると、社長さん達は顎が外れんばかりに口を開けて僕を凝視しました。


「そ、それは本当なのかい?ならば、是非ともプライベートなお付き合いを……」


「「公私混同するな、ショタコン社長!」」


専務二人のハリセンが、今度は社長さんの後頭部を直撃しました。だけど、そう言うお二人も先程まで公私混同してませんでしたか?


「えっと、そう言う訳で女の子の子役という要望とは少し外れてしまうのです。それでも宜しいのでしょうか?」


顔をひきつらせた長門さんが、強引に仕事の話に戻します。放置したら話が進まないでしょうから、的確な判断だと思います。


「勿論、お願いしたい。だが、一つ確認させてほしい。カオルちゃんが男の娘だと公表しても構わないかね?」


「はい、隠すつもりはない……と言うより隠して生きるのは制限が有りすぎるので、不本意ながら男の娘として生きる場所を確立したいのです」


僕は細かい事は伏せて、怪我や心因的な理由でこのような体になったと説明しました。


「成る程、そんなトラブルに見舞われながらも前向きに生きようとするカオルちゃんを立派だと思います。CM、よろしく頼みますよ」


社長さんは凄く好意的な返事をくれて、専務二人も頷いています。どうやら採用されて武蔵芸能の危機は回避出来そうです。


「社長、待ってください」


僕と長門さんが安心したところで、榛名室長から待ったがかかりました。


「どうした室長、まさかカオルちゃんを採用することに反対だとでも言うのかね?」


「いえいえ、そんな事は言いません。契約の内容を変えてほしいのです。追加で、カオルちゃんが男の娘だとバレるCMも作りませんか?」


反対されると思いきや、お仕事増量になるみたいです。僕は異存ありませんし、事務所としても依頼が増えるのですから歓迎する筈です。


「それと、出来ればカオルちゃんのカードをシークレットレアで追加させて下さい。CMの効果と相まって、欲しがる人が出ること請け合いですよ!」


「「「それいただき!」」」


えっ、注目されてる新作ゲームの宣伝に出るだけじゃなく、僕がカードになるの?


「CMの追加に関しては問題ないと思うのですが、カード化には一つお願いがあります」


「是非ともカオルちゃんのカードは実現したいので、多少の無理ならば聞きましょう」


長門さんのお願いが何だか分かりませんが、内容も聞かずに譲歩の姿勢を見せてまで僕をカード化する熱意に少し引いてしまいました。


「私もプレーするつもりなのですが、カオルちゃんのカードいただく訳にはいきませんか?」


「お願いって、それですか!公私混同も甚だしいですよ!」


何だか、僕の周囲の大人の人はどこか問題がある人ばかりのような気がしてきました。この状況で、僕はタレントをやっていく事が出来るのでしょうか。


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