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僕、とんでもないお店に来ました

ショッピングモールを出ると、車は片側二車線の県道を走り駅の方へ。陸橋を渡りJRの線路を越えると、駅近くのコインパーキングに車を停めた。


「ここだここだ。良かった、営業してた」


少し歩いて着いたのは、変哲もない古いビル。何の看板も出ていなくて、本当に防犯グッズのお店があるのか疑ってしまう。

お父さんとお母さんは、僕と穂香の戸惑いを余所に地下へと向かう階段を下りていく。僕らも慌てて付いていった。


「店長、久し振り」


「あら、大和さんいらっしゃい。その子達はお子様かしら?私はこの店の店長、岡部友子よ。よろしくね」


岡部さんという店長さんは、見た目二十代後半と思われる女性でした。これといった特徴のない、普通の女性としか言えない容貌なのですが何か独特の雰囲気を感じます。


「大和薫です、宜しくお願いします」


「大和穂香です」


自己紹介し軽く頭を下げると、岡部さんは子供を見守るような優しい笑顔でよろしくと答えてくれました。


「今日はこの子達に持たせる護身用の道具を買いに来たんだ」


「二人とも可愛いから、色々な意味で危ないわね。確かに丸腰では良くないわ」


可愛いと誉めてくれたのですが、女の子として誉められているので微妙な気分です。でも、この体型をどうにかする手段がないので慣れなくてはいけないのでしょう。


「先に武器から見た方が良いかしら。奥にどうぞ」


店長さんは「ご用の方はこのボタンを押して下さい。どれか一つが呼び鈴です」と書かれたボードを立て掛け、十六のボタンをその横に並べた。


「店長さん、当たりがどれか一つって……お客さんが来たらクレームになりませんか?」


余計なお世話と知りつつも、ツッコミをいれずにはおけませんでした。


「心配いらないわ。お客さんなんてまず来ないし、万が一来たら階段のセンサーで分かるようになっているから」


お客さんが来ないって、店としてそれはどうなの?とか、お客さんが来たら分かるならボタンの意味は無いのでは?とか思いましたが、突っ込む前に店長さんは店の奥へと移動を開始しました。

お父さんとお母さんもそれが当たり前のように付いていったので、僕と穂香も付いていきました。


通路の奥には古そうなエレベーターがあり、それに乗り三階へ。エレベーターから出ると、色々な物がところ狭しと並べられていました。

訳の分からない物や、パッと見銃のようなものまで。先程武器と言っていましたが、これって法に触れるのではと疑ってしまいます。


「近接ならお薦めはこれかしらね」


店長さんが取り出したのは、機械で作られた剣の柄のような物。一体どうやって使うのでしょう?


「鍔のスイッチを押すと、このようにアルゴンガスを利用したレーザーの刃が発生します。特殊カーボンの盾だろうと防刃ジャケットだろうと切り裂くわ」


「ちょっ、それって確実に銃刀法に違反するんじゃ!」


反射的に叫んでしまいました。そんな物を持っていたら、今度は警官に連れて行かれても文句を言えません。


「あら、銃刀法では刃渡り十五センチ以上の刃物を持ち歩く事を規制しているけど、物理的な刃が無いから違反ではないわ。懐中電灯は光の棒を生み出すけど、規制対象じゃないでしょう。それを凝縮しただけだから問題ないわ」


問題、無いのでしょうか。僕的には問題ありまくりなような気がするのですが。まあ、どちらにしてもそんな物騒な物を持ち歩くつもりはありません。


「空振りした拍子に電柱を真っ二つとかしそうで恐いですよ。そんな物騒な物扱えません!」


ビームソードという存在が、使ってみたいという衝動を起こしています。某星間戦争な映画とか、白いロボットが活躍するアニメとか好きですから憧れはあります。

しかし、憧れているからと言っても現実に使うかは別です。僕に使いこなせるとは到底思えません。


「ならば、これはリーチが短い分扱いやすいかな?」


次に店長さんが取り出したのは、ナックルガードと呼ばれる殴る為の拳の保護用具でした。


「マグネトロンを応用して、インパクトの瞬間に爆発的な威力を生み出すの。厚さ十センチのチタン合金程度なら軽くぶち抜くから、タイフーン級の原潜でも沈められるわ」


店長さん、そんな物を僕に装備させて何と戦わせるつもりなんですか!


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