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僕、変な人に見つかりました

熱を出して寝込んでましたが、漸く更新再開します。

暫くは不定期になるかもしれません。

注文は全員板さんのお任せメニューに統一しました。突きだしから始まる、本格的なメニューです。


「これ、結構高いよね。ショッピングモールの出店で客付かないんじゃないの?」


「オーナーは陶芸や墨書、美食で有名な料理人らしいわよ、お姉ちゃん。だから利益を求めてないみたい」


すぐさまスマホで検索かける穂香。今は簡単に情報を調べられるから便利です。しかし、どこかで聞いたことあるようなオーナーさんだな。


「この鯛のお刺身、仄かな塩が利いて美味しい!」


醤油も何も付けずに食べるよう中居さんに言われたお刺身は、絶妙な塩味がついていました。


「これは紙塩だな。土佐の紙に備前岡山の天然塩か……」


「畏れ入ります、お客様の言われる通りです。そこまで判っていただけるとは、板前も喜びましょう」


お父さん、そこまで判るのですか!適当に言っただけだと思ったのに!


「お父さんやお母さん位になるとな、接待なんかで料亭に行く機会も増えるから自ずと鍛えられるのだよ。これからは家族揃って外食も出来るし、薫と穂香も鍛えないとな」


「……そうだね、ありがとう」


これからは家族で外食も出来る。原因の僕が言っていいことじゃないかもしれないけど、楽しみになってきた。


「こちら、デザートの甲州葡萄最中でございます」


最後に出てきた最中を頂いて昼食終了。どの料理も美味しくて、夢中で食べました。

お値段は、席でお父さんがカードを使って支払ったのでわかりませんでした。


店の入り口を窺うと、追いかけて来ていた人達は居ませんでした。食事に時間を掛けたので、諦めたのでしょう。


バッグや小物を売る店で更に買い物を重ねます。気軽に買ってるけど、このお店一流ブランドの販売店ですよね。値札の桁がとても庶民的とは言えません。


「こんなものかしらね。お父さん、帰る前にお花を摘みに行きましょう」


お母さんと穂香は元気一杯ですが、付き合わされた僕はもうヘロヘロです。


「薫、これが女性の買い物だ。ネット情報ではわからない情報だろう?」


「掲示板では『もげろ』とか『リア充はぜろ』とか言われてるけど、実際やったら大変だと学びました」


女性の買い物に、迂闊に付き合ってはならない。貴重な教えとなりました。


お手洗いに着き、お母さんと穂香が入って行きました。僕も入ろうとして……硬直しました。


「薫、どうしたんだ?」


「いや、だってどちらにも入れないから……」


男なので、女子トイレに入るのは言語道断。お巡りさん案件となります。

でも、見た目は完全に女の子なので、男子トイレに入る訳にもいきません。男子トイレにも女子トイレにも入る訳にいかず、硬直しているのが現状という訳です。


「車椅子で入れるトイレがあれば簡単なのだが、無いな。探すか?」


「帰るまで保つと思うから我慢する。お父さん行ってきなよ」


お父さんを送り出し、ベンチに座って三人が戻るのを待ちます。


「み、見つけたぁ!やっと見付かったぁ!」


声の方を見ると、スーツを着たオジサンがハアハアと息を切らせながら僕の方に歩いて来ていました。


「えっと、取り敢えずお巡りさん呼ぶから」


「ちょっ、何でいきなりそうなるんだよ!」


え、何でと言われても困るのだけど。だって、現状を第三者視点で見たらねぇ。


「ハァハァと息を切らせたオジサンが、女の子に迫っているのですよ?しかも、言動からストーカーの可能性も大。これ、立派に通報案件じゃないですか!」


「うわぁ、全く反論する余地が無い!でも、俺はストーカーじゃないし危ない人間でもないからな!」


まあ、普通ストーカーも危ない人も、自分でそれを認めたりはしないでしょう。そういった類いの人じゃないとは思うけど、対応が面倒そうな人ではありそうです。

お父さんかお母さん、早く戻って来てくれないかなぁ。


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