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僕、注目されました

丁度お昼になったので、ご飯を食べる事に。少し歩いてレストランが集まるスペースに移動します。


「薫ちゃん違うわよ。お昼になったから切り上げただけよ」


「え、じゃああれで満足したわけじゃないの?それに当然のように心を読まないで!」


「愛する娘の考えくらい読めないと、母親失格よ。此くらいは当たり前よ」


そうなのか。よく「機密文書(エロ本)をどこに隠してもオカンにバレる。絶対に読心術を使ってる!」と書き込みがあったけど、本当だったんだ。


驚きつつも何を食べるかを論議しながら歩いていると、何だか視線を感じる。着替える前も感じていたけれど、それが爆発的に増えた感じで落ち着かない。


「ねえ、何だか矢鱈と見られてない?」


「今更何を言ってるのよ、皆お姉ちゃんが可愛いから見てるに決まってるじゃない」


腕に抱きついている穂香に聞くと、当然のように答えてくれました。ヒソヒソと話している人もいるので、そちらに集中して聞いてみましょう。


「あの子可愛い、お姉ちゃんと腕組んで幸せそう!」


「本当よね、写メ撮りたいけど撮らせてくれるかしら?」


お姉ちゃんと腕組んでという事は、注目されているのは穂香のようです。穂香は兄の目から見ても掛け値なしで可愛いから当然です。


「穂香、注目されているのは穂香の方みたいだよ。穂香が可愛いからだね」


そう言うと、穂香は赤くなって俯きました。見知らぬ他人に誉められて、照れているようです。


「あら、でも大きい娘の方がお姉ちゃんって呼んだわね」


「じゃあ、胸の大きい娘の方がお姉ちゃんなの?でも、小柄な巨乳お姉ちゃんに甘える……羨ましいわ」


「注目されているのはお姉ちゃんみたいね。それが妥当だわ」


「穂香の方が可愛いのに、何で僕が……」


穂香は誉められたのが自分ではなかったにも関わらず、気落ちした様子は見られません。それどころか、満面のドヤ顔で僕に抱きつくと顔を胸に埋めました。


「なっ、ロリ属性に巨乳があるだけじゃなく、僕っ娘ですと!」


「その胸に顔を埋めるなんて羨ましい……妹ちゃん、私に代わって!」


ちょっ、お姉さん達声が大きいです。それを聞いた人達まで僕らに注目してるじゃないですか!


「ふっ、この胸は私の物です。誰にも渡しはしません!」


「穂香、馬鹿な事を言ってるんじゃない。お父さん、お母さん、この場から逃げよう!」


集まる視線に狼狽え両親を見ましたが、二人とも平然と飲食店を物色していました。


「二人ともマイペース過ぎるっ!」


「仮にも大企業の重役だぞ?何百の人の前で訓示する事もあるんだ。これしきの事では狼狽えんよ」


そうでした。うちの両親は良い意味でも悪い意味でも普通ではありませんでした。


「でもまあ、このままだと薫ちゃんにストレスが溜まりそうだから、そこの日本料理店に入りましょうか」


お母さんの提案で、日本料理を出す店に入る事に。価格帯を気にせずに入れるというのは、こういう時に助かります。


「いらっしゃいませ、四名様でしょうか。お煙草はお吸いになられますか?」


「はい、四人です。煙草は吸いません」


レストランではお決まりの文言で接客してくれた店員さんに、お父さんもお決まりの答えで返しました。


「ではお席にご案内致します。どうぞこちらへ」


案内されたのは、奥まった壁際の席でした。ここならば店外から見られる心配はありません。


「ふう、追いかけて同じ店で食事されたらどうしようかと思ったよ」


二人のお姉さんや注目していた人達は、店の外で中を伺っています。どうやら店内に入るつもりは無いようです。


「このお店、一般からしたらちょっとお高めだからよ。これで少し休めるわね」


お母さん、そこまで計算してこのお店を選んだようです。抜け目がないと言うか、機転が利くと言うか。

それが出来るから大企業の重役をやっているのでしょうね。今はそれに感謝感謝です!

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