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僕、二次予選に挑みました

予選前の挨拶時に、以前会っているのに初対面の挨拶をしているとご指摘をいただきました。


なので該当シーンを修正しましたが、話の筋に変更はありません。

「朝霞さん、彼には回答者席ではなくこちらに座っていただいた方が絵になると思うのですが?」


「司会を共にしてもらう方がしっくりしそうですね。しかし、彼という呼び方で間違いないのですが違和感が半端ないです」


 普通に地方予選から勝ち抜いた一般回答者のはずなのに司会のお二人よりも目立つ格好をした僕は、弄るのに格好の素材です。


「この予選を勝ち抜くと、ハワイ行きの飛行機に搭乗出来ます。なお、早押しで三問正解で勝ち抜けとなり誤答は正解数がマイナスとなります」


「勝者にはカオルちゃんと握手する権利が副賞として進呈されます。あ、僕も握手してほしいけどいいかな?」


 朝霞さんのボケに対して回答者席から「司会者はダメ!」とか「勝者の特権だろ!」などの突っ込みが入りました。


「えっと、朝霞さんとユーリさんならば喜んで。と言うか、僕からお願いしたいです」


 人気声優さんから握手を求められて、断るネット民が存在するであろうか。いや、存在する筈がない。という事で、どさくさ紛れに握手の約束を貰いました。


「さあ、カオルちゃんの握手目指して頑張って下さい。第一問、学術名はグリーンジャポニカと」


「山葵!」


 某有名大学のクイズ研究サークルの人がポイントを取りました。僕も早押しボタンを押したのですが、回答権を取れませんでした。


 その後も正解が解っても回答権を取れず、ポイントを取れません。そうこうしておるうちに、勝ち抜ける人がチラホラと出てきました。


「空席が出る中、カオルちゃんはまだポイント取れていませんね。頑張って下さい」


「正解が解っても、早押しで負けてますね」


 ああいうサークルの人達は、早押しの訓練までやっているそうです。そんなある意味プロと言える人達に僕ら素人が勝てる筈がありません。

 勝負は訓練を積んだ人達が抜けた後から。そう割りきって気を落とさずに頑張ります。


「全世界で四百件ほど。そのうち日本には百五十け」


「ここでカオルちゃんが回答権を取りました。答えをどうぞ!」


 少し大きく息を吸って吐き、気持ちを落ち着けて水族館と回答します。


「正解です、その調子で頑張って下さい」


 ポイントを取って弾みがついたのか、玄人の人達が抜けたからなのか順調にポイントを重ねた僕は予選を突破する事が出来ました。


 予選終了後、戻ったホテルにて握手会が開催されました。正面に立つ人と握手をし、一言交わすのですがどうにも視線が気になります。男性も女性も、無駄に大きい胸部装甲に視線を受けるのです。


「次も勝ったら握手してもらえるのですか?」


「明日も可愛い衣装ですか?出来ればゴスロリをリクエストしたいのですが・・・」


 番組の進行に関わる事なので、聞いてみないとわかりません。この衣装は自前ではないので、明日からは普通の服ですと答えながら握手をしていきました。


 長く感じた握手会も終わり、ロビーのソファーに座った僕は握手のしすぎで痺れた腕を揉んでいます。この衣装を脱いで返さなければいけないのですが、今は動きたくありません。


「カオルちゃん、お疲れ様。コーヒー持てるかしら?」


「腕は大丈夫?湿布貰ってきたから」


 握手会が終わり、痺れた腕を揉んでいるとユーリさんと朝霞さんが来てくれました。慌てて立ち上がりお礼を言って湿布と缶コーヒーを受けとります。


 正面のソファーに座った二人と雑談をするうちに、話題が今年の予選会場に移りました。毎年羽田のホテルて行われていた二次予選が東京真夏ランドになったのには、退っ引きならない理由があるそうです。


「それって、教えてもらう訳にはいかないのですか?」


「明日になれば嫌でもわかる理由なのだけれど・・・」


「事前にネタをばらされたら面白くないだろう?明日はハワイまで飛ばなければならない。そろそろ眠った方がいい」


 教えてもらえないままお開きとなりました。気になりますが、明日わかるという事なので楽しみにしておきましょう。


 夜中の突撃もなく、昨晩はぐっすりと眠る事が出来ました。それは良いのですが、起きると昨日の衣装担当さんが待機していたのには驚きました。

 しかも、脇に置かれたトルソーには変わった服がかかっていました。白いシャツに赤いスカート。リボンのような黒い帽子に黒いエプロンがセットになっています。


「おはようございます。その服は・・・」


「おはようございます。フランスはアルザス地方の衣装で、エアトリと呼ばれています」


 服に関する知識を問うた訳ではなく、それを僕が着なくてはいけないのかを問うたのです。しかし、僕が着る事は確定で拒否権はないようです。


「いつの間にそんな服を用意したのですか?」


「カオルちゃんがこの番組に出ると聞いて、局の同志一堂で作成しておきました。こんな事もあろうかと、という奴です」


 あらゆる事態に備える体制を整える事は大事だと思います。だけど、そんな備えはしてほしくありませんでした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お疲れ様でした。 その内、十二単やバニーガールの衣装を着させられるだろうなぁ。 因みにメイド服は時間の問題。
[一言] いいぞもっとやれ
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