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僕、推薦されました

「えっ、クイズですか?」


「そうよ。昔からある大規模なクイズ番組よ」


 一本テレビの編成局長による事件は終息しました。編成局長はクビとなり、それまで行ってきたパワハラを追求され一件づつ刑事告訴されたのです。編成局長は逮捕され、社会的に抹殺されました。


 それに伴い一本テレビも責任を追求され、経営陣の一部退陣など大きな革新を余儀なくされたようです。

 それも終わり、武蔵出禁を解かれて始めに回ってきた仕事がそれでした。


 知力・体力・時の運が揃っていないと勝ち残れない、米国まで向かう大規模クイズ番組。長年続いていて、現在は声優二人がメインの司会をやっていると記憶しています。


「もしも本戦まて残ったら、長期間拘束されますよね。他のお仕事は支障ないのですか?」


「今はレギュラーが無いから調整出来るわ。それに他局もイッテレさんに同情していて、協力してくれるそうよ」


 一部社員による暴走は、他のテレビ局にとっても他人事ではありません。いつ自らにも降りかかるかわからない問題なのです。なのでフォローしあって自分に降りかかったら助けてね、という事でしょう。


「恩も売れるし、声優さんにも会えるかもしれない。僕には断る理由はありませんよ」


 ネット民の一人としては、人気声優さんに会える機会を無駄にするなど言語道断です。

 ただ地方予選はサブ司会の人達がやるので、確実に声優の二人に会おうと思ったら本戦まで勝ち残らなければなりません。


「その節は、多大なるご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんでした!」


 クイズ番組出場を受けた翌日、打ち合わせという事で一本テレビに呼ばれました。

 応接室に通された僕と長門さんを迎えたのは、三つ並んだバーコード・・・もとい、九割禿げた頭頂・・・ゲフンゲフン、三人の一本テレビ最高経営陣でした。


「あの件は終わりました。どうか頭を上げてください!」


「おおっ、何とお優しい。では、お言葉に甘えさせていただきます」


 貰った名刺によると、中央が飛龍社長で右が瑞鶴副社長。左が翔鶴副社長です。


「まずは当社の長寿番組『米国横断スーパークイズ』の芸能人枠への出場を承諾していただき、本当にありがとうございます」


 飛龍社長の言葉に合わせ、三人は一糸乱れぬタイミングで頭を下げました。


「本来であれば、お詫びも兼ねてカオルさんには予選を免除して本戦から出場していただきたいのです」


「しかし、そんな特別扱いをすればまたやらせだと叩かれるのは必定です。当局の息の根を止める行為となりかねませんので、心苦しいのですが一般の方達と同様に予選への出場をお願い致します」


 元より予選から出るつもりでしたし、僕だけ本戦からなどという扱いを受ければテレビ局も僕も盛大に叩かれるでしょう。予選からの出場を承諾すると、三人ともあからさまに表情が弛んだのを僕は見逃しませんでした。


 一般の人と予選から戦うものの、芸能人枠の僕にはカメラがついて様子を漏らさずに撮影すること、体を張ったクイズでも女性と同様の配慮を行う事などの細かい説明を受けました。


「社長、お二人をお連れしました」


「おおっ、来たか。入ってくれたまえ」


 ドアが開き、まずはテレビ局の女性社員さんが入ってきました。その後ろには、見覚えのある男女の姿がありました。


「カオルさんが出る埼玉予選の司会の二人です。事前に面通しをと思いまして」


「お久しぶりです」


「脳力試験以来ですね。またクイズ番組というのは、何かの因縁でしょうか?」


 入ってきたのは、以前にクイズ脳力試験でお会いした人気声優のお二人でした。


「お久しぶりです。今回は地方予選を勝ち抜けるかわかりませんが、よろしくお願いします」


 本業は声優のお二人ですが、歌を出したり司会をしたりと多彩な活躍をされています。前回は初対面ということで遠慮をしていましたが、今回は思いきってサインを書いていただきました。


「カオルちゃん、声優さん大好きだったのね」


「元引きこもりのネット民ですから。『悪役令嬢になんかなりません』のロザリンド役は、今でも語り草ですよ」


 帰りの車の中で二人について熱く語ってしまい、長門さんに呆れられてしまったのはここだけの内緒です。


KADOKAWAさん、悪なりアニメ化してくれますよね?

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