表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灯里の名の元に…  作者: 下田 暗
3/5

再び灯る明かり

五月 某日。坂木原駅。

昨日のどんちゃん騒ぎから1夜空け、北川きたがわ れんは少し二日酔いのまま会社に来ていた。北川にとって今日は出勤日ではなかったが、会社に忘れ物をしていたため会社にわざわざ休日なのに来ていた。会社に入り同僚や上司にすれ違う度、せっかく来たんだから働いていけなどと言われながらも目的の物をロッカーから取り、北川は事務所にいた仲間に挨拶をし、事務所をでた。

坂木原駅の改札はいつもとは少し違った賑わいを見せていた。

平日のように会社に出勤するであろう大人や学校に登校するであろう制服を着た学生ではなく、土曜の今日は、遊び目的で来た若者達や家族連れでショッピングに来たであろう人など様々な人で握わっていた。

(平日も大変だけど、今日みたいな日も大変だろうな…。)

行き交う人をみながら北川はそんな事を思いながら、目的も果たしたので帰ろうとした。

「あ!?北川さん!?」

その時、休日には聞くことはないと思っていた可愛らしくも元気のある声で北川は呼び止められた。

振り返るとそこにはいつも仕事中に会う花澤はなざわ 灯里あかりとその友人であろう女性が数人立っていた。

「ん?灯里の知り合い?てゆうか、めっちゃイケメン!!何!?芸能関係だったりする?」

「やばい、彼氏いるけど、連絡先交換したい…。」

北川を見るなり友人であろう娘達が歓声に似た声をあげた。そんな友人達の言葉に灯里はあたふたしていた。

「ちょ、ちょっと!真理香まりかさきも初対面にそれは失礼だから!!北川さん困ってるでしょ!!」

「いや、褒めんてんだってマジで…。失礼じゃない失礼じゃない。てゆうか、こんなイケメンの彼氏いるなら早くウチらに教えなさいよ〜。」

「え!?か、かれ…。なわけないじゃん!?ただの知り合いだよ〜。」

北川は友人にからかわれる小柄な灯里が手を大きく振ったり、あたふた動く様子を見ていておかしく思い、思わず笑みがこぼれた。

「花澤さん、面白い友人がたくさんいるんですね。」

灯里は恥ずかしい姿を見られたのと北川の笑顔をあまり見たことがなかったため驚きながらも顔を赤らめた。

「い、いやぁ〜、ほんとこの子達頭おかしいんですよ…。」

灯里は恥ずかしながら北川の顔を見ないように視線をそらしそう言った。そんな灯里を見て友人達はくすくすと後ろで笑っていた。しかし、2人に嫌な感じはなく、その様子は本当に仲のいい友達なんだなっと思える雰囲気があった。

「今日は坂木原に遊びに来たんですか?」

北川がそう聞くと灯里は視線を逸らすのをやめ、顔をあげた。

「そうなんですよ!!買い物に3人で来ました!」

ずいっと北川の方へ踏み込み、楽しそうに笑顔で答えた。

「北川さんはし…ごとですか?それとも終わった帰りですか?」

灯里はいつもの仕事着ではない北川をジロジロと見渡したながらそう質問した。

「いや、仕事は今日は休みだよ?ちょっと会社に忘れ物しちゃって取りに来たんだ。」

「それで、花澤さん。こないだのバンドの件はどうなったのかな…?」

北川はもしメンバーが集まってなかったらと思ったが前々から気になってはいたので恐る恐る灯里に聞いてみた。すると、灯里は待ってましたと言わんばかりに表情が一気に明るくなった。

「それがですね…、揃ったんです!!4人!!!」

灯里は目をキラキラと輝かせながら親指以外の4本の指を立て、前に突き出し元気良く答えた。その様子をみて北川は少し安心し、緊張がとけていた。

「良かったですね。これでまたMariaに1歩近ずきましたね!」

「はい!役割ももう決めてそれなりに合わせたらまずはこの坂木原で1回路上ライブをしてみようなんて話も出てきて、これからほんとに楽しくなりそうです。」

灯里はこれから先に待つ未来を想像したりしながら期待に向を膨らませながらそう答えた。

「ライブする時は呼んでください、行けたら行きますね?」

北川は自分でもなぜここまでするのか分からなかったが、心の底から灯里の路上ライブには行きたいと思っていた。

(俺、何言ってんだろ…。舞のライブですら行くかどうか迷ってるのにどうしてこの娘のライブは気になるんだろ。まぁ、たぶん忙しかったりして行けないんだろうけど…。)

「わかりました!!ライブやる時は呼びますね!!それじゃあ!また!!」

灯里はそう言って後ろの友達を連れ北川に別れを伝え去っていった。後ろの友達は、えぇ〜まだ話したい〜などと言っていたが灯里はこれ以上、いじられるのを嫌がったのか早く行くよと言わんばかりに友達の背中を押していった。

「行くことになってしまった…。まぁ、いいか。たぶん彼女のライブに行けばどうしてこんなに気がかりになるかわかるかも知れないし…。」

北川は去っていく彼女たちを見送りながら、そう呟いた。

その時、北川のポケットにあるケータイが鳴り出した。その着信は電話を知らせるものだった。

北川はポケットからケータイを取り出し、誰からの着信か見ることもなく何も考えずに電話に出た。

「はい。もしもし。北川ですけど。」

北川はいつものような気だるげのトーンで電話にでた。

「お?電話に出るなんて珍しいな…。俺だよ俺。」

「いや、俺って言われても…。お金は無いんで他の人当たってもらえます?」

そう言って、北川は耳からケータイを離し電話を切ろうとした。

「おいおい!ちょっと!待てって!お前の事だから今切ろうとしてんだろ?祐二郎ゆうじろうだよ!祐二郎!!」

耳から話しても聞こえるようなボリュームで大きく話しかけなんとか北川が切る前にそれを阻止することが出来た。北川は渋々、再び耳にケータイを当て会話を続行させた。

「なんすか。昨日の今日で…。」

「いやぁ〜。それがな…。昨日渡したチケットあるだろ…?」

北川はチケットと言われ、一瞬何のことだか分からなかったがスグに舞のライブのチケットだと言う事がわかりケータイが入っていたポケットとは反対側のポケットから財布を取り出し、中に大事そうに2つ折りにして入れていたチケットを取り出した。

「はい。ありますね。それがどうかしました?とゆうか、まだ行くかどうか決めてませんけど。」

「だよな…。でもな、蓮!考えてる時間はもうあんまりねぇんだよそれ。」

中川なかがわは申し訳なさそうにそういった。北川はどうして中川が時間がないと言ってるのかが理解できなかった。それもそのはず、チケットに書いてあるライブの開催日程はまだ2ヶ月も先の話で、早めに答えを出すにしろ、一ヶ月前ぐらいじゃないかと考えていたからだった。

「時間って2ヶ月前ですよ?いくらなんでも早すぎじゃないですか?それに渡されたの昨日ですし。」

「いやな、その件にかんしては蓮にも、隆にもじっくり考えた上で答えを出して欲しかったんだか、そのチケット、実はライブの関係者に送る前借りチケットみたいなもんで、普通に市販される前に発行されたチケットなわけよ…。」

「そんでな、そのチケット書いてある日付、間違ってんのよ…。」

「は!?」

北川は話を聞いていてどんとんきな臭くなってきたなと思っていた、次の瞬間に思いもよらない事を中川から伝えられた。

「いや、悪い!そんでな日にちは合ってるわけよ、問題は月のほうでな、2ヶ月早まっちまうんだよ…。」

「嘘だろ…?2ヶ月早まるってことは…。」

北川は自分の左手にしている腕時計をかざし、今日の日付を確認した。今日の日付は5月の2日を表していた。すぐ様、チケットの方に目をやり、日にちだけの方を見て今日から後、何日後の事なのかを確認した。

「明日…。」

北川は絶望したように一気に体から力が抜け、掠れた小さな発しているか発してないかわからないくらいの声で呟いた。

「いや、まじ悪い!渡した後に気づいちまった。昨日、俺も酔ってたからな、つい昔の話に火がついてしまってよ!言い忘れちった。」

祐二郎は誤ってはいたがそれほど悪びれることもなく、友人に謝るような感覚で謝罪をした。

「流石に、そんなにスグには決めらんないっすよ…。」

「う〜ん、そうか?隆の奴はもう腹くくってたぞ?」

「え!?隆が?アイツ、行くんですか?」

北川は隆も自分と同じで舞のライブに行くことを凄く悩んでいつまでも答えが出せないような状況になっているとばっかりに思っていた。予想外の隆の行動に北川は驚いた。

「あぁ、もういつまでも悩んでてもしょうがないって言って、行くことにしたみたいだったぞ?」

「へぇ〜。アイツ、凄いっすね。相変わらず、度胸あるっていうか肝が座ってるっていうか。」

「まぁ、隆に悩み事は似合わねぇだろ?アイツ、頭わりぃし。たぶん、悩んで頭使うのももう疲れたっていったところだろ。」

中川は高笑いをしながら成瀬なるせのことを馬鹿にしていて、北川は成瀬のその行動に素直に感心していた。

「でも、何年ももう会ってないのによく行こうと思えたなって…。」

「そうだな…。その点、お前は行きやすいんじゃないのか?出所前に1回会ってるわけだし。それに、舞に会ってる話をしろって言ってるわけじゃないんだしいいんじゃないか?」

北川はその言葉を聞き、数分何も答えず黙りこんだ。そして、北川も腹を括ったようにゆっくりと口を開き答えた。

「はい。行くだけ行ってみます…。」

「そうか!!よし!わかった!その事、隆にも伝えていいな!?」

中川は嬉しそうに声をあげ、うるさいくらいの音量でそう聞いた。

「はいはい。どうぞどうぞ。」

「よし!それじゃあ、明日!坂木原駅の前に朝の7時から集合ってことでいいな?車は俺が出すからよ!」

「はい。お願いします。」

北川はそう言ってケータイを切った。そして、北川、成瀬は舞のライブに行くこととなった。


月日は過ぎ、遂に舞のライブ当日になった。

北川は朝早いのには仕事で慣れていたため早起きにかんしては別に苦ではなかった。

前夜、舞のライブが気になって仕方なかったためホームページや、2ちゃんねるに立っていた舞のライブに行くであろう人たちが書き込んだりしていたスレッドを読んでいたりしていた。

多くの人たちが舞のライブを楽しみにしており、舞のライブのチケットはどうやら完売になっていたようだった。そのため、スレッドには行きたくても行けなかった人たちの声なんかも載っていたりしていた。

朝5時に起床した北川はまず、洗面台で顔を洗うなどのいつもの事を済ませ、テレビをつけ、味気ない食パンを齧っていた。

朝のテレビはどれもニュースで、テキトーに元気の良い明るい番組を付けておいた。朝なので少しやかましいかと思ったが、特に見るものも無かったのでその番組で固定していると、今日のトピックスと言うコーナーに番組は進行していた。

(今日のトピックス?まさか舞のライブなんか紹介したりしねぇだろうな…。)

北川はそんなありもしないであろう事を考えながらそんな事を考えていると、テレビに映る元気のいいアナウンサーが今日の話題や出来事を次々と紹介していった。

「今日は、快進撃が続く谷山たにやま 連勝れんしょう4段の名人戦がいよいよ開催されます!前回の野呂 3段に続き連勝が続いていますが…。」

(まぁ、ないよな…。)

北川は冗談のように考えていたが紹介されなくて少し悲しそうにしながらも最後の食パンを口につめ、朝シャンをするため部屋を出ていった。

「次のトピックスは!なんと!!あの、数年前Mariaとして世間を騒がせたボーカルのmaiさんが単独ライブを行います!!」

誰もいなくなったリビングに元気のいいアナウンサーの声だけがこだました。


午前6時 50分 坂木原駅。

まだ、朝早い時間だというのに坂木原は人でごった返していた。

北川は待ち合わせの時間より三十分も早く坂木原駅についていて、駅の建物の柱に寄りかかりながらケータイをいじっていた。

ケータイのアプリでニュースを見ながらも、舞のライブが気になりちょくちょくニュースを読むのを辞めてはホームページに飛んだりしていた。

(まだ、50分か…。もうなんなら1時間くらい待った気分だ…。)

北川はこの待ち時間でそわそわしすぎて、少し疲れてきていた。

そんな事をしていると、黒いセダンタイプの車が駅のロータリーに止まった。

北川はその車を見るなり、ケータイをポケットにしまい車に近づいていった。その黒のセダンタイプの車は中川の所有物で以前にも何度か乗せてもらったりしていた。

北川が歩いて後部座席のドアまで来ると助手席のミラーが開いた。

「よ!蓮!!」

そう元気よく片手をあげ挨拶をしてきたのは成瀬だった。どうやら先に中川と会って車で坂木原まで来たようだった。

「なんだ?隆。一緒に来たのか?」

「いや、それがさ、朝寝坊しちゃって…遅れるって祐二郎さんに連絡したら迎えに来てくれるって…。」

成瀬は恥ずかしそうに頭を片手でかきながら笑い、そういった。

「お前…。相変わらずだな…。」

北川は昔ライブ当日に遅刻してきた事を思い出し、少し呆れ口調でそういった。そして、ドアを開け車に乗り込んだ。

「わりぃな、蓮!こいつ迎えに行ってたらギリギリになっちまった。」

車に乗ると運転席から後ろに振り返り中川が謝罪をしてきた。

「いや、俺は大丈夫っすよ?それよりすいませんね。隆が…。」

「それこそ大丈夫よ!遅れるかもしれねぇと保険かけてこいつの家を寄ってから来るつもりだったからな!」

中川は笑いながらそう答え、車を発信させた。

「どんだけ信用ないのよ俺…。」

「当たり前だろ!ライブ当日に遅刻常習だったんだからお前。」

そんなやり取りを聞きながら中川はニコニコしながら運転をしていった。


午前7時 50分 ライブ会場付近。

北川達は高速抜け、会場に向かってまだ走っていた。会場がある町は広く大きな道路が多く、ほとんどが二車線だった。大きな建物やビルもあったが都会と少し違いどころかスッキリしている様子だった、風も抜けるようなそんな街だった。陸橋がいくつもあり道路の上を歩いて会場へ向かう人達も多く見受けられた。

(マジかよ…。これ全部、ライブの客とか言わねぇよな…。)

北川は会場に向かっている人たちをみて今だに信じられず驚きの表情で窓越しに辺りを見渡していた。そして、隆も似たような行動をしていた。

「なんだぁ?お前ら、さっきから外の人をジロジロ見てぇ。」

中川は何故か自慢げにニヤつきながらそう嬉しそうにいった。おそらく舞のライブにこんなにも人が来ていることと北川と成瀬がそれに興味津々だったことからの表情だった。

「いや、なんでも無いっす。」

成瀬は窓の外を見るのを辞め、正面を向き座り直した。

北川は特に何も言うことはなく成瀬と同じように体を正面に向かせ座り直したが視線だけは外から逸らさなかった。

(舞もあれからここまで1人で来たんだな…。それがわかっただけでも、今日は来たかいがあったな…。)

北川は嬉しくなり、中川ではないが少しニヤケながらも優しい表情で外を見続けた。

中川は運転しながらもバックミラーでそんな北川を見ていた。

(アイツ…。もうあっちの世界には戻ってこねぇかもな…。隆なんかの方がまだチョロそうだ…。)

先ほどのニヤケ面から一変して少し難しい表情で会場の駐車場まで中川は運転していった。


「ほれ、ついたぞ!」

中川の言葉を聞き成瀬と北川は車から出た。北川はあの後も外を眺めながめ、成瀬はチラチラと外を見てはスグに思い出したように前に向き直っていた。

会場の駐車場はとんでもなく広く、どこかと高速のパーキングかと思うような広さだった。

長時間の運転だったため、中川は車から出るなり伸びをした。

「やべーな、朝から運転は疲れる…。昨日飲みすぎで二日酔いっぽいし。」

「あぁ、そういや俺、先に帰っちゃったんですけど、大丈夫でした?」

北川は思い出したように中川にそういった。

「大丈夫なわけねぇだろ。」

中川は思い出したよう暗い表情になりながらなかばなりやげのように答えた。

「賢治さんはもう完全に潰れてるわ。早苗さんにはドヤされるわ。美香みか朝日あさひは仕事ばっくれて、人の金で朝まで飲み明かすし、飲んでも平常運転な蓮は帰っちまうし隆は弱いからもう寝てたし、もうめちゃくちゃだった。」

北川は想像しただけでもその場にいたくないと心の底から思った。

「いや、俺もだいぶ酔ってましたよ?それに平常運転じゃないっすし、口数増えると思いますよ?」

「バッカ。お前は普段喋らなすぎなんだよ。」

中川は笑いながらそういうと2人を先導するように前を歩いていった。

「あれ?祐二郎さん?会場の入口ってあっちなんじゃないっすか?」

中川が会場の人気のない、いかにも間違ってるであろう方向に歩きだしたのを見て成瀬は不思議に思い、人が集まっている正面入口の方を指差し中川にそう聞いた。

「ん?あぁ、俺が渡した昨日のチケットな?あれ、今回のライブの関係者及びスタッフに配られるもんなのよ。」

「でな?あのチケットって関係者であれば枚数制限はあれど、欲しい枚数を言えば何枚でも貰えちゃうわけよ。しかも、一般のチケットとは違うから裏口入場になっちゃうわけよ。」

中川はこちらに振り返ることはなく、裏口向かって歩きながらそう答えた。

「へぇ〜。案外スゲェもん貰っちまったんだな。」

「無くすなよ。隆。」

「はぁ?俺は子供かッ!?」


3人は雑談を交わしながらもスタッフにチケットを見せたりなどして遂に、会場入りをした。一般の方が入ることができない所から入っていき、周りはスタッフがライブの準備などで忙しなく動いているなかを3人は歩いていき、やっと座席につくことが出来た。一般の人と合流する時は少し変な目で見られたがスグにそんな視線はなくなりその雰囲気に溶け込むこんでいた。

「ん?そろそろだな。案外、ギリギリだったんだな。付いたの。」

中川は左腕にしている腕時計を見て、そう呟いた。

北川も腕時計を見てみると、時間は8時25分を指していた。ライブの開始は8時半といゆことになっていたため、そろそろライブが始まろうとしていた。

「そうっすね。案外、ここまでくるのに時間かかりましたしね…。」

「舞の事だから時間ピッタリに始めたりしてな?」

成瀬はそう言って、あれだけ行くのを渋っていたのに楽しげにそういって舞の登場を待っていた。そんな成瀬を見て北川は成瀬は本当はもっとMariaとして活動していたかったんじゃないかとそんな事を考えていた。

(こいつ…。まぁ、根っから音楽は嫌いじゃなかったし、暇つぶしとかいってやってたけど、何だかんだでMariaを1番好きだった奴だったのかもしれないな…。)

北川は少し罪悪感を感じ、申し訳なく思いながらも正面に向き直り舞の登場を待った。

「よぉ〜。蓮に隆。それに祐二郎さん。」

北川はその懐かしい声にドキッとし一瞬硬直してしまった。北川にとってまだ会いたくない2人の内の1人であり、会うためにはそれなりの心の準備と覚悟が必要なほどの人だった。その人と思われる低い男の声がした方へゆっくりと振り向いた。

そこには、かつて同じ夢をみて、一緒に夢に向かって頑張っていた仲間だった片岡かたおか りょうの姿があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ