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学園入学編Ⅶ

2日明けの投稿となります。

遅くなり申し訳ありません。

チンピラブラザーズを退けたところで時間切れとなり、あとは4つのグループとだけやり合えば終わりだな。

それに実質1回だけ戦えば終わりだ。

なんて効率のいい方法なんだ。もっと俺を褒め称えればいいのに。

なんていらん事考えてるとまた時間が無くなっちまうからさっさと始めるか。


「さぁ10分終わったけど誰か一番にやりたい奴はいるか?」


この呼びかけに男子4人組が前に出る。

それを見た燐は、眉をピクリとさせると目を細めてその4人を睨みつける。

それは相手側も同じ。

なにが気に食わないのか4人組の真ん中に立っているリーダーが燐に突っかかって来る。

身長はそれほど高くもなくというか小さい方だ。本人は気にしているのか、明らかに不自然なほど底が高くなっている靴を履いている。


「おやおや…そこにいらっしゃるのは、東城家の燐様ではありませんか。こんなグループにいらっしゃるとは思いませんでしたので思わず声をかけさせて頂きました。先ほどの試合は実に手の込んだ茶番劇でしたな。あの者達を抱き込んで、ここに居る下民共含め私たちにまで演劇を見せて頂けるとは…感謝の極みというもの」

「それは光栄ですね。東城家の足元をうろちょろしている東方家とうほうけ次期党首の東方とうほう日京かきょうさんではありませんか。ご覧頂きありがとうございます。ですが茶番と言うのは訂正頂けませんか?死力を尽くした私の友人、そしてそれに立ち向かってこられた方々に失礼かと思います。それにこう言っては何ですが、東方次期党首様の先ほどの演技もなかなかの物でしたよ。大根としては立派な方でいらっしゃいました」


今までにない黒い笑顔と丁寧な言葉で淡々と小馬鹿にしていく燐。

はっきり言ってめちゃめちゃ怖い…小さい子が居たらトラウマになってしまうレベルだ。

そんなプライドをドブに投げ捨てられたような扱いを受けた日京かきょうは顔を真っ赤にして激怒した。わかりやすいくらいの貴族体質である。


「きっ貴様!東城家だからといい気になるなよ!我が家系は甘んじて東城家の四方陣家入りを許容しているだけなんだからな!能力も大したことのない家系の物が偉そうにしていられるのも今のうちだ!」


そこまで一息で捲し立てる様に喚く日京かきょう

息をつけば燐に反論(と書いて小馬鹿)されてしまうからだろう。

身長もそうだが器まで小さい男だ。そのいろんな意味で小さい男はまだ喚いている。


「いいか!この学園に入ったのは貴様を叩き潰し東方家が四方陣家入りに相応しいという事を俗世間に知らしめるためだ!そして私の下にひれ伏すがいい!東城!おい貴様!聞いているのか!この日京様が直々に話をしてやっているのだぞ!」


ギャーギャーうるさい奴だ。

燐はと言うと、とうに飽きたのか日京にむかい手をひらひらさせながら仁と仲良く世間話している。

このまま放置もいいが他のグループの事もあるし、一人でヒートアップしている東方様にまずは確認させてもらおうか。


「ちょっといいか。日京かきょうだっけ?結局のとこ燐と戦いたいのか?」


俺の言葉に更に触発された日京かきょうは喚きながらも肯定の意を唱える。


「この愚図め。そこに居たのなら話の流れでそうであるに決まっているだろう。そのような者と連立っているから東城はクズなのだ!それに先の催し物で使った能力も複数人で示し合わせたものだろう?あんなもの見ればすぐにハッタリだとわかる!そもそもこの学園に来たことが失敗だったか。ここまで落ちた者共と一纏めにされてしまうのだからな」


…こいつ。今すぐ消したろか。

右手を日京に向け能力を使おうとする素振りをすると、その腕を燐に掴まれる。


「あれは私をご指名よ?摘み食いはダメでしょ?」

「悪い。無意識に体が…」

「尚更ダメよ!私の苛立ちの捌け口がなくなったらどうするのよ。ところで秋くん?あなたの能力の事、聞いてないんだけどいつ話をしてくれるのかな?」


唐突に俺の話にすり替えてくる燐。


「そうだな…取り敢えず燐の面倒事が終わったら話すか。それまでお預けだ。俺も東方だっけ?の事とか知らんから教えろよな。面倒事に巻き込まれてからじゃ遅いしな」


この言葉を聞くと燐はあからさまにため息を吐き出す。


「東方のことまで知らないの?秋くんはどれだけ世間知らずなのよ。まぁいいわ。そこのところは仁くんにでも聞いておいてね。そもそも常識よ?」

「ぅぐっ。悪かったな!そんなこと全く知らねぇんだよ!」


そんなこんなで燐とのおしゃべりに華を咲かせていると、さすがに我慢が出来なくなったのか日京の使用人兼ボディーガード(日京の面倒や世話をする為だけに入学したらしい)が口を出してくる。


「燐様、秋様、申し訳ございません。我が主、日京様が少々お怒りのご様子です。ここは一先ずお話を一時御中断いただけないでしょうか。」


おぉ。これにはさすがに驚いた。てっきり付き人もみんなバカみたいな奴らだと思ってたがしっかりしている。こっちの方が次期党首じゃないかと疑うほどだ。

こんなにしっかりした使用人にここまで丁寧にされてはさすがに無視しっぱなしも可哀想だろう。使用人が。

日京に視線を戻し「はいどーぞ」とばかりにお手の様に手を差し向ける。

一瞬なんだとばかりに秋の手を見つめると、ようやく事の意味を理解したのか怒りを再燃させる。


「貴様らぁ!もう許さんぞ!泣いて命を乞おうが絶対に許さんぞ!小馬鹿にしたと思ったら完全に空気扱いしおって!」

「まぁまぁ。そうでかい声出すなよ。そんなに始めたきゃ今からやるから残りの3人連れて準備しててくれ」

「残りの3人だと?馬鹿にするのも大概にしろ!私は一人でやる!他の者、ましてや使用人を使うなど言語道断だ。それと準備なら等にできている!」


そう言うと上着を脱ぎ捨てる。体より多少大き目の薄手のシャツから覗くのはおよそ常人離れした筋肉と更にそこに刻まれた傷跡だった。

大小多数の傷を見ると鍛錬のみで付いた傷だけではないのは誰の目から見ても明らかであった。簡単に言うと実戦経験があるという事。

それに服を脱ぐまではどこぞのお坊ちゃま感が抜けなかったが、一度戦闘に意識が向くと強者の雰囲気を纏っていた。

そしてそれは命を絶つ経験をしたものが纏うものだった。

燐はその様子を確認すると鋭い目つきに変わり、どこから出したのか肘から手の甲までを覆う飾り気のないガントレットを両腕に装備する。

両の拳を二度打ち合わせると準備が出来たとばかりに、日京とは逆方向に歩いていき位置取る。

両名ともに準備が整い開戦の緊張感に包まれる。


「じゃあここで簡単にルールの確認な。試合が始まったらをしてもOK。能力ももちろんOK。んで、どちらかが降参を宣言するか、戦闘不能になった時点で終了。買った方がプレートを手にする。お互いこの内容でいいか?」


そこに日京が待ったをかける。


「いや、もう一つ追加だ。勝った方に四方陣家の【ひがし】の名を渡すというのを。もちろんどうしても追加したくないというのであれば構わないが…どうだ?四方陣家・【ひがし】の東城 燐様?」


その直接的な挑発に燐が淡々と答える。その顔に先ほどまでの相手を嘲るようなものは無い。


「その追加条件も受け入れましょう。この程度で決断が鈍るような力は持ち合わせてないの。それに東城の人間として負けるはずがないもの」

「面白い。ならば今から敗北の意味を知るがいい」


互いに条件追加への合意は取れたが一応確認する必要があるな。

ここで周りにいる第三者に言質を取ってもらっての最終確認とするか。


「じゃあ追加ってことでお互い了承だな?」


俺の問いかけに両名は頷き始まりの合図を待っている。


「よし。それじゃあ……試合開始!!」


開始の合図とともに右腕を天高く突き上げる。

その俺の合図と同時に、燐から大きな爆発が起こり姿が消える。

するといつの間にか懐に飛び込んでいて、その勢いを叩きつけるように日京の鳩尾に拳をめり込ませる。

そしてめり込んだ拳が大爆発を起こす。続けざまに胴体に連撃を放つ。そのすべてが爆発を伴う打撃。

離れたところで見る俺は思わず感嘆の声を上げる。

だが仁は当たり前だろうという呆れ顔で見下ろしている。

燐といい、仁といい、いいかげんその何も知らない可哀想な奴に向ける顔はやめろ。

俺のじっとりとした視線に、また仕方がないなという顔を作り説明を始める。


「あの能力は東城家に伝わる【爆裂】という能力だ。そしてその能力を伝承したのが燐だ」

「そうなのか。東城家は【爆裂】能力を使うのか。今知ったぜ!」

「その様子だと、【遺伝】と【伝承】も知らんだろう」


おいおいそれくらい俺だって知ってるさ。

頭に手を当て答えるのをもったいぶっていると、何やら仁が勘違いし説明を始めだした。


「いいか。一つの家系に決まった能力しか発現しないというのは結構ざらにある。それが遺伝的なものであったり、伝承されていくものであったりだ。ここまではさすがのお前でも知っているだろう」


そう言って「どうせ知らないだろうが答えてみろ」と仁の顔にはっきりと書いてあった。


「オノレ馬鹿にしやがって!さすがにそれくらい知ってるわ!遺伝的なものはその血族が持つ遺伝情報に能力自体が刻まれていて、それが代々血の濃い子孫に受け継がれていくってやつだろ。そんで、伝承はもともと自らもって産まれた能力を第三者が意図的に消し、その者に後から他人の能力を植えつけるってやつだったはずだ」


仁が驚いたとばかりに目を見開いている。そんなに意外かこの野郎。

薄目で仁を睨みつけるととっさに弁明を始める。


「すまん。てっきり何にも知らんとばかり思っていたからな」

「失礼すぎるだろ。俺をなんだと思ってると何回言えば分かんだよ!」


声を大にして言いたい。俺は決して馬鹿ではないと!


「だからすまんと言っているだろう。長くなりそうだから話を戻すが、お前が言っていた伝承の話は途中までが正解だ」

「長くなるって…はぁまぁいいや。んで途中までってことは続きがあるのか?」


俺の何たるかを聞く気はないみたいだから仕方なく仁に続きを促す。


「人の能力を消すという事に違和感を感じなかったか?」

「言われてみればそうだな。確かにわざわざ消さずにもう一つ入れちまえばいいだけだよな」

「その通りだ。過去に同じことを考え一人の人間に2つの能力を持たせようとする実験が行われた。結果はわかると思うが失敗に終わる。一人の人間に許されている能力情報量に対し、2つ目の能力という情報量はあまりに大きすぎた」

「その2つの能力を入れられた人はどうなった。」

「急激に体が膨れ上がるとはじけ飛び、残さず赤い霧のように散ってしまったそうだ。まるでその人物がいなかったのではないかと思うくらい全く何も残らなかったそうだ」


仁からもたらされた情報がまるで呑み込めない。


(そんなことがあるのか…だったら俺も・・そうなるのか?いや待てまだ確認してない事がある)


「その亡くなった人はいつ消えたんだ?2つ目入れてすぐか?」

「その通りだ。事の直後だったそうだ。その実験以後、二つの能力を一人の人間に入れることはやめ、一度能力のリセットをして再度入れる【伝承】が一般的となった。だがこの【伝承】もタダでは済まなかった」


自分に今すぐ何か起こるわけではない事がわかりまずは安心したが…まだ何かあるのか。

仁はそんな俺の内なる感情を知らずに話を続けた。


ご覧いただきありがとうございます。

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