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学園入学編ⅩⅩⅣ

24話目になります。

今回は主人公の能力が明らかに・・・

「決まったな!」


 レッドのこの一言でさらにドヤ顔で決めポーズをとるガイアフォースの面々。

 爆発の先を見ながら満足気に頷く。


「愚かな者よ。僕の言うとおりに仲間になっていればよかったものを」

「レッド。それはダメよ。あいつには正義を語るだけの信念が無かった」

「……それもそうだな。さて、気を取り直して勝利の宴の前に約束のものを頂こうかな」

「ちょい待った。まだプレートは渡せないな」

「なにを言ってるんだ。もう決着は付いただろう。それとも奴が無事だとでもいいたいのか?」

「そりゃそうだろ。お前と話してんの誰だと思ってんの?」

「それは決まっているだろう。悪党、黒土…しゅ…う……」

「だよ。俺のことだろ?」

「!! 貴様!なぜここに!」


 ポリポリと鼻の頭を書きながら気怠そうに答える。


「あー、走ってきたんだけど……」

「はふゅ!嘘をつくな!僕チンのスライムはどうした!」

「見ればわかるだろ。消したんだよ!」

「消す……だと……」

「そう言えばこいつ、ナイフ持ったチンピラとの戦いで能力を消していた。なんだその能力は!理論的じゃない!」


 とは言われたものの実際消したのだから仕方ない。

 面倒だが蓮も知りたがってるし教えてやるか。


「俺の能力は、【託される力】。文字通り他人から託された能力を自由に使えるってやつだ。俺が託される条件は、託す相手が能力を託すと強く願う事、託した相手は能力を今後一切使えなくなるという事、託された側は託した相手の痛みや嫉みや苦しみなどのすべての負の感情を請け負う事。そして託された時の目的を果たすこと。果たせなかった場合は能力は消える。持てる能力の数は俺の精神がイッちまわない限りいくらでも。ちなみに今俺が持ってる能力は3つだ」

「はふゅ!反則だぁ!そうか、その能力で蓮タンを洗脳したのか!」

「残念だけどそんな能力持ってないぞ。そういやさっきお前のスライム消した能力は【破壊】だ。一回の発動で指定した対象一つを文字通り破壊する。ここまで一瞬かつ無傷で移動してきた能力は時間を引き延ばす力、俺は【タイムエクステンド】って言ってる。発動者の1秒間を5秒に引き延ばすことができる。お前らが感じる3秒を俺は15秒に引き延ばすことが出来るってわけだ。だからこうやって……」


 と言うとイエローの目の前から秋が消える。

 それと同時にイエローの姿がぶれ、弾かれるように地面を転がりながら吹き飛ばされる。

 ようやく止まったイエローは腹を押さえながら嘔吐する。

 秋はイエローが居た場所に止まるとふぅと息をもらし汗をぬぐう仕草をしていた。

 レッドは絶句し、ピンクはあわててイエローに駆け寄っていく。

 そしてグリーンはというと怒りのままに飛び掛かってきた。


「この野蛮な悪党め!イエローをよくも!」

「おいおい。さっきまで理論がどうとか言ってた奴が取り乱すなよ。それに仁といい俺といいなんでこんなに悪党呼ばわりされなきゃいけないん……だ!」


 と言いながら、グリーンが振り下ろすロッドを受け流し右胸に掌底を叩きこむ。

 打たれた右胸を鷲掴みにしグリーンは呼吸を乱して崩れ落ちる。

 その姿を目の当たりにし、ようやく膠着状態のレッドが意識を秋へと戻す。


「イエロー!グリーン!よくも……よくもやったな!」

「いやいや。やってきたのはそっちが先だろ。俺は火の粉をかるーく払っただけだ」

「ぐくっ。貴様ぁ!!来いジャスティスソード!」


 炎が立ち上りレッドの手から片手剣が具現化する。

 その片手剣用の短い柄を両手で握り更に力を注ぎ込む。


「こんなところで使いたくなかったが仕方ない!これが僕の覚醒能力!仲間が危機に陥った時、己のすべてを倍にする!!」

「おっ!覚醒能力か。ってかその条件で発動可能だったんならイエローのあたりで使えよ。変に出し惜しみするからグリーンまであそこに転がってるんだぞ?わかってる?」

「そんなものわかってるさ!僕の判断が遅かった所為だ。だからここで決着をつける!」

「待ってレッド!それを使うならこれを……私の力で作った飴玉よ」


 そう言ってピンクが、ピンクに淡く光る直径4センチほどの少し大きめの飴玉をレッドに手渡す。

 曰く、ピンクの能力は飴玉(丸に限る)に丸1日力を注ぎこむことで食べた者に超回復の効果を与えるというものらしい。

 ただし効果は飴玉がなくなるまでとなっている為、無茶できるのもそう長い時間ではない。


「これは……ありがとうピンク。行ってくるよ」

「ええ。いってらっしゃい。無事に帰ってきてね」

「わかってるよピンク。君の為にも……ね」

「うわぁ〜、何あの桃色空間。引くわぁ……それに飴玉?また妙な能力を。ってか別に殺そうとしてるわけじゃないからね?ちょこっと懲らしめるだけだから」


 ツッコみだすともう止まらない。この集団といると精神の疲労感が半端ない。めんどい。

 とかいってる秋だが傍から見たら蓮と一緒に居るときも似たようなイチャイチャ感を醸していることに気が付いていない。

 人の事など全く言えない立場である。

 そうやって自分を棚上げ(都合よく切り分けて)してため息をついている間にレッドの準備は整ったようだ。


「悪党黒土!今こそ成敗!いくぞ、ジャスティス・オーラ!!」

「はいはい。さっさとどーぞ」


 レッドとは対照的にどんどんテンションが下がっていく秋。

 目の前のレッドは剣を構えると消える。

 だがそれと同時に秋は【タイムエクステンド】を発動する。

 ゆっくりと右から迫るレッドの斬撃を躱しジャスティスソードに手を添え【破壊】を発動させる。

 時間の流れを戻し、通り過ぎたレッドの方へと振り返る。

 レッドは粒子にまで破壊され、手から崩れるソードをみて絶句していた。


「初めから分かってたと思うけどさ、お前じゃ勝てないぞ?」

「そ……な……わ……てた」

「ん?」

「そんなのわかってたって言ったんだ!最初から!でも僕はリーダーだ!強い奴と戦ってその存在を誇示しなきゃいけないんだ!レッドとして強くなきゃいけないんだ!」


 そう。レッドは初めから分かっていた。勝てないという事も、秋が悪でもなんでもないという事を、そして自分自身がリーダーに向いてないという事も。

 だからこそ怖かった。今の立ち位置が無くなり自分の下から仲間が去って行ってしまうのが。



 はじめは、秋が試合の提案をしたときはチャンスだと思った。ここで力を示せば仲間は去って行かないのではないかと。

 本当は燐との試合をしようと画策していたのだが、東方家の御曹司が名乗りを上げてしまいここでのチャンスを逃した。

 久人との試合もと考えたのだが、あの笑顔に空寒さを感じて避けた。

 仁との試合には、実は参加していたのだがあまりの力量の差に途中で逃げと言う名の撤退をした。

 そして最後まで残る秋とはもっとも戦いたくなかった。

 能力を消した力を持っていたし、意味不明の蘇生能力まで行使していたのだから。

 だが、仲間はレッドの心の中までは理解していなかった。最後に残った奴になら勝てると他の三人はレッドに詰め寄った。

 チームがやる気になっている、でも自分は逃げ出したい。葛藤はあった。でも最後に自分の中に残ったのは偽りの正義と虚栄心だった。

 そしてその結果がいまの自分の姿。

 武器も奪われ、心も丸裸にされ、逃げ場もない。だから今更泣く。

 そうレッドはもう戦えなくなっていた。塵になったソードごと地面を両こぶしで叩く。


「くそっ!もうダメなんだ。僕は弱い人間なんだ、だからもうお終いだ、何もかも……」


 ただ打ちひしがれるレッドの頭をピンクがゆっくりと包み込む。


「レッド。私は初めからわかってた。あなたが弱い人だって。ずっと怖がってたのも知ってた。リーダーに向いてないんじゃないかって悩んでたのも知ってる」

「そう、だったのか。まさかピンクに……一番大切な人にバレてるなんてね。やっぱり僕はダメなんだ」

「そんなことない!……って言いたいけど今回ばかりはそんな甘いことも言ってられないって私も思ったの。だからもう強がるのもガイアフォースもやめましょう」

「ピンク、そうか……やっぱり愛想も何もかも尽きてしまったんだね……そうだね。わかったよ。弱くて惨めな僕はもうリーダーとしてチームを引っ張っていくことは出来ない。だから、今この時点で解散だ」


 レッドはノロノロと立ち上がり焦点の定まらない視線のまま歩き出す。

 そんなレッドの正面に回り込み、ピンクはおもいっきり頬に平手打ちをかます。

 パシッと乾いた音がした。

 勢いの割に痛くもない頬を反射的に抑えピンクの横を通り過ぎていく。

 そんなレッドの背中にピンクがしがみ付く。


「待ってレッド。私はあなたにリーダーだけは続けて欲しいの」

「ピンク……もういいんだ。同情ならやめてくれ。言っただろ弱い者にリーダーは務まらないんだ」

「だからこそよ。弱いからこそ強くなれるの!チームが重いのなら、あなたが引っ張れるようになるまで私も一緒に引っ張るから!弱いままでいたいのなら、今度は私が護るから!だからお願い、ずっと私のリーダーでいて。私にはあなたが……リーダーでいるあなたが必要なの!!」


 嗚咽を漏らしながらピンクはレッドに思いの丈を打ち明ける。

 レッドはゆっくりと振り返りピンクを抱きしめる。


「すまないピンク。何よりも大事な君を泣かせてしまうなんて。やっぱり僕はリーダー失格だ」

「そんなことない!あなたは今こうして私を抱きしめてくれている。私を救ってくれているのよ」

「僕は弱い。でも、だからこそ、これからもっと強くなれるんだ。また君に助けられたね。これで何度目かな……助けてくれたのは」

「気にしないでレッド。これで24回目・・・・だけど、これくらい些細なことよ」

「そうか!ならこれからはもっと強くなるよ!!君のために。そしてガイアフォースのために!」

「レッド……」

「ピンク……」

「はいドーン!!」

「ほげらばらべらっ!!」

「レッドーーー!」


 良い話だと思って黙って聞いてりゃこれで24回目だと!?

 聞いて損したわ!あんな茶番劇今まで何回もやってたんだろ!?学べよレッド!そしてダメ男好きかピンク!

 ほんとにもうこいつらとことん変人の集まりだ。

 秋の怒りの鉄拳で今度こそしっかりと気を失ったレッドをいそいそと泣きながら回収するピンク。

 それをうんざりした表情で眺める秋。


「あぁ。ほんとにつかれた」


 だが少し前から目を覚まし、事の一部始終を見ていたイエローが突然叫びだす。


「お前らぁぁぁ!!ふざけるなぁぁぁぁぁ!!」


 秋はまた盛大にため息をついた。

 まだこいつらとの戦闘?は終わりじゃないらしい。

如何でしたでしょうか?

能力の事などなにかご質問ありましたら是非お聞かせください。


今回もご一読頂きましてありがとうございました。

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