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学園入学編Ⅹ

毎回遅くなり申し訳ありません。

10話目になります。

さて、ここで皆さんに質問です。

今のこの状況はどうしたらいいですかね…

一応言っておきますが、今まで彼女なる人物がいたことは何度かあるもののそのすべてが自分からアピールした結果にできたものだという事を知ってもらいたい。


そう、この俺は告白経験者ではあるが告白されれるのは童貞以下ということ。

こんなにストレートに、正直可愛いなとか思っていた子(中身は違うけど)に想いを伝えられたことはない。



だから、みんなわかるだろ?俺の選択肢は「逃げる」の一択しかない事を…

だがそれも無理な様だ…

俺の胸の中にはその想いを一生懸命に伝えてくれた女の子が服をがっちりと掴んで顔をうずめているのだから…


あまり実体の無いものを信じたくはないが、今だけは祈らせてくれ。そして答えを。

神どうか私に知恵を授けて下さい。

そんな思考に思考が重なりパニックに陥る俺に仁が声をかける。


「おい。大丈夫か?」


思わず挙動不審になり、ビックっと肩を震わす。


「だだだ大丈夫だ。蓮も俺も何もないよ?ねぇ蓮?」


だがそんな俺の問いかけに蓮は未だ赤い顔に涙目で俺に訴えかけてくる。仁の前でもう一度。


「秋ぅ…好き…」


あぁ。可愛い!衝動に駆られ抱きしめようと振り上げる腕を強制的に止める。

仁が信じられないという顔からじっとりとした眼差しを向けてきている。


「燐ではない事は様子から分かったが、まさか公衆の面前で抱きしめようとしたわけではあるまいな。それに、まさか自分の気持ちも伝えずに蓮を受け入れようとしたのではないだろうな…秋」


ジト目が次第にゴミでも見るような目に変化している。


「違う!待て!これには事情があるんだ!なぁ蓮!」


俺の失敗その1、聞く相手を間違ったこと。


「そう…私は秋が好き」


仁はもう彼方遠くを見ている。こうなったら一回燐に出てきてもらおう。それしかない!

俺の失敗その2、現状を丸投げしようとしたこと。


「なぁ蓮。一回燐に変わってもらえるかな?説明をお願いしたんだけど…」

「それは無理…一度変わると今の私では……次変わるのに時間がかかる…その間に秋に会えなくなるのは嫌!」


ジーザス!神はやはりいない!話が進まないではないか!というかこの状況がいろいろと辛い。

他人からしたら羨ましい限りの状況も経験がないものにとっては得てして辛いものである。

そんな悩める少年に一人の天使が現れる。


「蓮さん?も仁くんも一先ずやめてあげようよ。秋が困ってるよ?それに次の試合もやらないとだよ?もう準備が出来ているみたいだしさ」


おぉ、久人てんしよ!

窮地を救ってくれるのは旧知の友しかいないのだ。

久人の登場により仁も不承不承ながらそれに応じる。


「まぁいいたいことや聞きたいことはかなりあるが、今はそうも言ってられんか。一旦次のグループに話を聞きに行くぞ。戦いたい相手がいるかもしれないからな」

「そうだね。じゃあそっちへ行こう。と思ったけどあそこの東方くんはどうする?」


未だ転がされたままの日京をみる。すると日京の使用人3人がそばに行き回収している様だった。あっちは大丈夫そうだな。


言い出した久人に大丈夫だと告げ、次に向かおうとする俺の腕を蓮がひっぱる。


「秋…私の気持ち伝えたよ?秋は…?」


たぶんどう思ってるのと聞いてるのだろう。俺は今の自分の脳味噌を信じ思っていることを蓮に諭す。


「蓮。まずは気持ちを伝えてくれてありがとう。でもまだ俺自身が蓮と出会って少ししか時間がたっていないんだ。だから連がどういう人なのか正直分からないし、自分の気持ちも分からないだから…」

「秋は…嫌い…なの?」


俺の言葉を遮り、覗き込むように涙目で伺う蓮。


「違う!嫌いじゃない!むしろどっちかってと好きだけど、まだ自分の気持ちがはっきりしていないからもう少し待っててくれないか?それに燐も今の蓮と話をしたいんじゃないか?」


俺の言葉に黙って耳を傾ける蓮。


「わかった…待つ。秋はきっと伝えてくれる。だから待つよ…でもひとつだけ……いい?」


赤くなった顔を俺の顔にぐっと寄せてこう告げる。


「秋が決めるまで…ずっとそばに居てもいい?」

「なんだ。そんなの当たり前だろ?居てもいいんだよ」


蓮は戦闘中の感情が無かったときが嘘のような満面の笑みで答えてくれた。


「…うん!」


そう言って、俺の腕にしがみつく。もうここが私の定位置ですと言わんばかりに。

そしてそんな俺も満更ではなく、若干のあきらめも混じった感じでそれを許した。

そこから2人で仁と久人の下に歩く。少しの満足感と大きな疲労感を抱えて。


**********


とは言ってもすぐそこなんだけどね。

準備が出来ているグループのところで集まっている皆様方から白い目で見られている気がするが気にしない。


「さて、次はどこのグループだ?」


完全に周囲は無視して話を進める。


「俺は阿國あぐに 波路はじだ。よろしく。次は俺たちが相手になるさ」


中肉中背、頭に赤いバンダナを巻いたザ・海人!を地でいってる様な色黒の男子が前に出てくる。

そしてその後ろから3人・・の女の子が付いてくる。


「んで、この子達が同じグループの…」

宮古みやこ 真理まりだよ!」

「同じく、沙理さりだよ!ちなみに真理まりの妹です。よろしくね!」


阿國と同じく茶色の肌で、肩口にかかる程度の長さの髪。身長は低めで140後半くらいだろう。

小柄で可愛い感じに肌の色のためか、元気っ子のイメージもおまけで付いている。

そんな真理と沙理は、着ている物も同じ(制服だから当たり前)、顔も同じ、付けているピアスも同じ色に形。瓜二つというのが良く当て嵌まっている。そう言った2人が姉妹なのは誰が言わなくてもわかるレベルである。…が、ある一点を覗いては。

男ならそこに理想郷を求めてしまうのは常だろう。その大きさには著しい違いがあった。


(やはり姉は妹より大きくあって然るべきだ!真理様万歳!)


そんな心の声が目線に漏れていたのか真理の顔から少し下のあたりで、自己感覚では一瞬だけ視線がロックオンしてしまう(一応健全な男子だから仕方ない反応)が、その一瞬を蓮は見逃さなかった。


「秋は…大きいのが…いいんだ…そう」


蓮が絡み付く腕の指先から氷が出来始めている。

(まずい…このままでは試合前に死ぬ!いや!死より恐ろしいことが起こる!)

少しづつ凍る腕から想像される自らの運命を変えるべく俺の気持ち(世間一般では言い訳)を必死に伝える。


「い、いや、そういう訳じゃないけど、た、たまたま目が山引っ掛かったというか…」

「引っ掛かるほど大きい…と思ったんだ…」

「そ、そこは、えっと否定のしようがないですけど…ほら!蓮は大きすぎないけど綺麗な形してそうだね!俺は大きいのより綺麗で張りのある方がいいな!うんそうだ!だから後で堪能させてくれ!」


かなり苦し紛れかつセクハラ発言連発だった。しかも最後に俺はなんて言った?

半ばパニックになりながら早口でまくしたてる様に喋っていた所為でよく覚えていない。

だがそんな明け透けの言い訳だったのにも関わらず蓮の反応は意外と好反応だった。


「そう…ならいい…あと…えっと、あの、その…最後のは…今度ね…」

「おぅ。わかってくれたのなら良かったよ」


顔を真っ赤にしてうつむきながら答える蓮。この反応に取り敢えず胸を撫で下ろす俺。

その後に感じる蓮の反応の違和感。


(俺なんか言ったっけ?まぁいいか取り敢えずこの話は終わった。危機は去ったのだ)


この軽率な判断がクラス決めが終わった後の、俺と蓮との最終判断を迫られる結果なる事を引き起こすことになるとは思っていなかった。



とまぁ、余談はさておきまだ一人残っていることを忘れていた。

その最後の1人は阿國に詰め寄り文句を連発していた。


「ちょっとハジ!言ってるでしょ!僕は男だよ!真理と沙理とまとめて紹介されるといつも誤解されるんだから別々にっていつもいつもお願いしてるのに一向に直らないじゃないか。大体今回の事も結構適当に決めたでしょ?この中で戦いたいって言い出したのはハジだけなんだよ。そこのとこわかって…」


阿國からの紹介に何事か気に障った自称男子?(なのか女子なのか)は、いつもの鬱憤が相当溜まっているのか愚痴を吐き出す。

確かに見た目は綺麗な茶色ののショートヘアで色白の肌。身長も150前半くらいだろうか。真理と沙理よりも少し大きいと感じる程度。

確かに男の学園服を着ているから男だとはわかるのだが、いかんせんその見た目の所為か女の子より余程女の子らしい感じに見えてしまう。

本人がその見た目を気にしていると言うのはその剣幕から明らかだった。

だが剣幕とは言ったものの上目づかいでむっとした表情をしている感じはやはりどこから見ても女の子だった。


そしてその怒れる男の娘おとこのこを、阿國、真理、沙理の3人で宥めているが一向にそのマシンガンの弾は無くなりそうにない。

というかむしろ吐き出すたびにその威力と言葉のスピードが上がりむしろガトリング化しようかと言う頃に久人が声をかけた。


「お取込み中悪いんだけど、そろそろいいかな?試合前に全力出し尽くしちゃいそうだったから声を掛けさせてもらったんだけど迷惑だったかな?」


久人の救いにホッとする阿國たち3人とは対照的に、ワタワタと慌てる男の娘。

恥ずかしかったのか顔を赤くしながら謝罪と自己紹介をする。


「す、すみません!お手を煩わせてしまって。えっと、自己紹介の途中でしたよね。私は菅田すがた 夏輪なつわです。男なので間違わない様にお願いしますね!」

「わかったよ。夏輪くんだね?僕は真壁 久人。よろしくね!」


自己紹介ついでに男であることを主張してくる夏輪に、久人は何の違和感も持たずに右手を差し出し握手を交わす。

俺だったら「男」のフレーズに違和感しか感じなかっただろう。声には出さないが…

ようやく一通りの自己紹介が終わったのでまずは、戦いたい相手をリクエストしてもらうとするか。


「改めて聞かなくてもさっき見てたからわかると思うんだけど、誰と試合したいんだ?ちなみにさっきの試合に出た東城はもう指名できないからな」


俺が他人行儀に東城といったもんだから、また蓮がムッとしている。

他グループの手前、下の名前で呼ぶと誰かわからない可能性があるからそう言ったんだが…

まぁ取り敢えずそこは置いといて、阿國のグループはもうすでに相手を決めている様だった。


「もちろん東城さんは選ばないから大丈夫さ。俺らは初めから真壁 久人。君を指名したいと考えてたからさ」


そのリクエストの相手である久人はまるでわかってましたと言わんばかりににっこり笑うと、今度は阿國に対し右手を差し出す。


「もちろん僕は大歓迎だよ。4人いっぺんに戦うのかな?」


その問いに阿國は首を左右に振る。


「いや、初めは俺一人で戦わせてもらう。それで一ついいか?途中から他の3人の参加も考えてるんだけどいいか?」


俺はずっとにこにことしている久人にどうすんだと目で合図するが、そんなこと聞かなくても答えは決まっている様だった。


「それももちろん大丈夫だよ。さっきも言った通り大歓迎だよ」

「そうか。わかった。ならさっそくはじめるさ!」


そう言うとお互いが十分な距離を取る。阿國は今にも飛び掛からんとする獅子のように前傾姿勢で構える。

対する久人は腰のあたりに手を組み、地面から少し浮遊した状態で目を閉じて合図を待つ。


「ルールはさっきと一緒で阿國グループは途中好きなタイミングで残りの3人の参加がOKだ。それじゃ準備は良いみたいだから……はじめ!!」


今、第2試合目が始まった。



なんとか投稿・・・

連休はどうしよう・・・マジで・・・

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