表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/26

占い師の記憶④

ある人がだいぶ狂ってます

 とはいえ、転生者といってもただの人間には変わりない。

 彼等もまあ、君と比べてしまえば役立たずだったよ。ボクはそれを何度も突き付けられては、失望したね。

 でも彼等も全くの出来損ないではなかった。

 彼等の魂は元々この世界のものではないから、世界が終わる直前にここに来てもらったら、その魂を無償で回収することが出来た。つまり、ボクのものとすることが出来たんだ。

 そうしてボクの身代わりとして、また別の魂を誘う糧となってもらったのさ。

 彼等も最期の最期に役に立てて、本望だったろうさ。

 ボクはそうやって転生者を呼び寄せ、様々な回を体験し、挑戦していった。

 そして、861回目の世界が始まった。


 さて、後は君も知る通りだよ。


 イリスの近くにあの女がいたことでイリスは変わった。

 イリスが変わったことで君は妹を守るべきものとして認識した。

 イリスが変わったことでクラルスが変わった。

 学園に入った君はボクの呼び掛けに応じ、イリスに危機が迫っているというボクの話を信じてくれた。

 君はボクの指示通りにレックスの心を救った。

 レックスは君を盲目的に信頼し、君の言うことを、つまりボクの言うことを聞くようになり、その先でルナと出会い、彼女を救い救われた。

 ルナはレックスに傾倒し、精霊の囁きを全てもう一人に押し付けることで精霊の洗脳を回避した。

 また、君はイリスをここに連れて来てくれた。

 イリスがここに来たおかげで、ボクはイリスに前世の記憶を植え付けることが出来た。

 イリスが記憶を得て決意したことで、クラルスがボクの元へやって来た。

 クラルスが、ボクがイリスに託したカケラの利用法を知ることで、イリスは窮地を免れた。

 イリスが精霊を封じ込め、全ての精霊の魂はボクのものとなった。その力でボクは転生し、悲願を叶えることが出来るのさ!


 え?植え付けたって...そのままの意味だよ。

 イリスは確かに転生者だ。でも彼女の前世は赤ん坊の頃に死んだ女の子で、この世界...すなわち、転生者の元いた世界にある、ここと同じ小説のことも全く知らなかったから、転生者の中でまともだった女性の記憶と、あの女が持っていた小説の知識を植え付けたのさ。ここでは誰でもボクの思い通りになるからね。

 それで上手くいったんだから、ボクって本当にすごいよね。


 また質問かい?いいよ、答えるよ。

 ボクの悲願はね、我が子の顔を見ることは勿論だけど、彼の家族として生まれ変わることなのさ。

 幸い精霊の魂がいっぱいあるからね、これに秘められている魔を使えばボクを転生させることなんか簡単だよ。

 んふふ、どうしよっかなー。やっぱり彼の双子の妹として生まれようかな。弟でも子供でもいいけど、それじゃあ彼と結ばれないもんね。

 幼馴染み?それじゃあ彼と一緒に暮らせないじゃないか。ボクは彼の一番近くにいて、一番彼に構われて、一番彼に愛されたいのさ。


 ん?

 ああ、心配しないで。

 この世界は繰り返されるようになってるんだ。そういう風に創られている。

 だから、ボクの転生用に使う以外の魂の魔を注ぎ込むことで、繰り返し地点を変更するんだ。ついでに、この場所のように、世界がボクの思い通りになるようにもね。

 ボクが彼の妹として生まれ、彼と結ばれ、家庭をつくって幸せになって、ボクが安らかに死ぬまでの八十年。これが新たな繰り返しになる。

 ボクが死んだらまた新しくボクが生まれる。勿論ボクの魂はこのままにね。だってボクじゃないボクが彼と結ばれるなんて、許せないじゃないか。

 旦那様は許容したけど、彼については絶対に妥協しないよ。


 ああ、これでボクと彼は、永遠に結ばれ続けるんだ。


 全部ボクの思い通りになる。今度はボクが筋書きを決められるんだ。




 ああ、そうだ。君はどうしようか。

 彼には比べられない君だけど、ボクは君に感謝している。

 そうだ、そうだね...君には幸福な人生を約束しよう。

 尤も、ボクが生まれるまであと十年、そして八十年生きるから、君はその間に死んでしまうけど...でも、構わないよね?幸せな人生を送れるんだからさ。


 えっ?

 何だい?

 ...うーん、イリスとクラルス、ルナとレックスの未来については...申し訳ないけどボクにとってはどうでもいいことなんだよね。

 勿論彼等にも感謝はしてるけど、ボクと君以上に活躍なんてしてないしさ。

 まあそこそこの人生になるんじゃない?

 えぇー、そんなこと言われても...。

 この世界の全ての人の未来を決める力は確かにあるけどさ...ボク、そんな面倒なことしたくないし...。

 むぅ、いくら君でもこれ以上叫んだらここから放り出すよ。

 ボクは今からこの世界の神様みたいな存在になるんだから、ちょっとくらい敬ってくれてもいいんじゃないかな?


 ...どうしたの?

 何で剣なんか抜いているんだい?

 君は、ボクの味方だろう?今までずっと、ボクに協力してくれてたじゃないか。

 自分の為って...そんな冗談やめてよ。

 君はボクの為に、ボクを哀れんだからボクに協力した筈だろう?

 その君が、ボクに、敵対するの?

 君はボクの一番の理解者じゃないか。ボクが全幅の信頼を寄せられる相手じゃないか。

 ...そう。

 ボクを、裏切るんだね。

 今まで君に良くしてあげたボクを、お前は、裏切るというのだな。

 がっかりだよ、グラキエス。

 お前のことは、好きだったのに。それはまやかしだったんだね。

 やっぱり、ボクが愛するに値するのは、旦那様と彼しかいないんだ。

 ...我が子を愛して何が悪い?

 我が子と結ばれたいと思うのがそんなに変か?

 ボクは、狂ってなんかいないっ!!

 ふざけるな!ボクを、あの女と同じにするなっ!!


 ...じゃあね、グラキエス。

 お前が何と言おうが、ボクはボクの意志を変えない。

 この世界は、ボクのものだ。

 ボクはお前に限りない不幸を与えよう。

 ボクは、お前を呪い続けるよ、グラキエス。

 もうボクは、お前の顔も見たくない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ