ヒ口インは光を追いかける
ヒ口イン視点のお話。
「何で!?何で何で何で!何やってんだよ闇!ふざけんな!」
意味分かんない!
何で、こんなのおかしいじゃん!
何で闇に飲み込まれたイリスが起きたの!?
何で私が悪者になってんだよ!
「皆、何やってんの!?殺してよ!イリスとクラルスを、殺せっつってんだよ!」
光の仲間が、皆を操ってる。だから、皆は私に絶対服従する筈でしょ!?
なのに何で私がそんな目で見られなきゃいけないの!!
「光!光!何やってんの、早く私を助けろよ!」
何度も呼びかける。何度も、何度も。
いつもなら「はいはい。何だい?ルナ」ってすぐ答えるのに!光からの返事がない!
きっと、邪魔されてるんだ。イリスが、このブスが何かやったんだ!
「あんた、光に何したんだよっ!!」
「...精霊は、いなくなりました。もう、あなたには何の力もありません」
「は、ぁ!?」
そんな馬鹿な。
だって光は、常に私のそばにいて私を肯定するんだ。それが光の役目なのに!
「ふざけんな...ふざけんなよ!!私は主人公、私に逆らっていいと思ってんの!?何ぼけっとしてんの皆!私に従えよ!殺せってんだよ!!」
「そんなの、出来ません...だって皆、一人一人に意思があるから」
イリスが喚く。
クラルスはイリスの肩を抱き、険しい顔で守護する。
周りの、私の傀儡な筈の皆は、気持ち悪い虫を見るような目で私を...。
何これ?
こんなの、絶対、おかしいじゃん。
私の、味方...何でいないの。
嫌だ、違う、こんなの違う。だって私は主人公で、こんなの違う。こんなの、こんなの、嘘だ。
だって、この目、あの時と同じ、皆が私に、私は何もしてないのに、ただ皆無視して、気持ち悪がって、違う違う!違う!私はもうあいつじゃない!あいつなんかじゃない!
その時、扉が開く音がした。
「これは...」
レックス!
レックスが助けに来てくれた!
レックスだけは、私を見捨てたりなんかしない!
「...しばらく前、突如生徒達が放心状態になり、動きを止めた。私だけが平常だったため、見て回っていた。しかし先程になって急に自我を取り戻し、皆無事なのが確認出来たが...」
「兄上、心配無用だ。全ては、この女のしでかした事だ。そして、もうこの女には何の力も残されてはいない」
クラルスがごちゃごちゃ言ってるけど、そんなの関係ない。
私にはレックスがいる。もうそれで妥協する。
「レックス!レックス!助けて!私は何もしてないの!」
叫び、レックスに駆け寄って抱きつく。
「なっ...貴様、兄上に何を!」
「ねえ、ルナ...もう、やめませんか?」
クラルスもイリスも、どうでもいい。
レックスさえ、レックスさえいれば!
「レック...」
「すまない」
レックスは、私の肩を掴んで引き剥がすと、至極申し訳なさそうに眉を下げ、言った。
「君は、誰だ?」
え?
「私は、ルナを知っている。彼女が私にくれたものは、あまりにも大きく...私は彼女に恩があるんだ。だから、彼女のことを忘れたことはない...だが、君のことは、何も知らないんだ。君は誰だ?どこから来た?今まで何をしていた人なんだ?何歳なんだ?君の家族は誰だ?友達は?君を心配する人はいないのか?何故彼女の姿で、彼女の存在を乗っ取ろうとしているんだ?君の名前は?」
「あ、え、なに?」
言っている意味が分からない。
だって私は私で、ルナで、レックスのお嫁さんになる者で、世界を救う聖女で、主人公で、ルナ...?
頭がぐらぐらする。光は?光はどこ?
何してるのどこにいるの、早く助けてよ、私は、私はルナだって断言してよ私はルナで、ルナで前世のブスで根暗で誰も好きにならない女なんかじゃないって言ってよ違う違う違う私は主人公なの皆私のことが好きなの皆から愛されるの世界の救世主で聖女なの主人公なのだからこんなことはありえないのありえないありえないありえないひかりひかりひかりどこはやくはやくたすけてみんなこっちみないでわたしをみないでいやだこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいやめてやめてやめてやめてきえたいきえたいきえたいきえたいしにたい
「じゃあ、あたしに返しなさいよ、体!」
ひかり、わたしもつれてって
どうでもいい裏話
ルナ視点の話のタイトル→ヒロイン(ひろいん)
ヒ口イン視点の話のタイトル→ヒ口イン(ひくちいん)
どうでもいい裏話でした。大事なことなので二回言った。




