EYEで君を見つける
凪が1年A組の教室に入ったとき、教室内には嫌な雰囲気が漂っていた。
凪に向けられる視線は敵意のまなざし。
「ちょっと、岩野さん。どうゆうこと?あんな風に樹くんを怖がらせて。」
たくさんの女子が凪を囲む。が。凪は一切動じない。
「怖がらせたんじゃない。あいつが悪いの。なんにもしらないくせに、勝手に入ってこないでくれる?」
「はぁ!?何なのあんた!!」一人の女子が凪の胸ぐらを掴む。
だが凪はやはり動じなかった。冷たい眼差しをやめないまま、その女子を睨む。
「…ッ行こッ…!!」女子たちはバタバタと凪の前から逃げていった。
私は悪くない。悪くない。ずっと凪は言い聞かせていた。が。
正直言って凪にも悪いところがある。集を好きだった自分が、許せなかった。
だからもう、この話には触れたくなかったはずなのに…。
なぜ自分から樹に話しかけ、その話を持ち出したのか。凪自身にも、分からなかった。
一方1年B組では。
「樹~どうしたの?そんな暗い顔して…」樹に中学から一緒の女子が話しかける。
「ううん。なんでもないよ。」見せる笑顔にその女子はときめき、友達に「ちょっと聞いて~今さぁ♪」
なんて話しかけに行っている。
その女子が違うところに消えたとたん、樹の顔には笑顔は消えていく。
樹は理解不能だった。凪が樹に話しかけてきたときに、一瞬顔が強張った気がした。
でも。そのあとまだ凪にどきどきしてしまった。
「なんで…なんだよ!!」
そう叫んだ樹に周りは騒然とした。
「ど…どうしたの樹。」「あ、あぁ…なんでもないよ。」無理に笑顔を作る樹だが、機嫌が悪いというのが伝わってくるぐらい引きつっている。
「そんな引きつった笑顔、丸分かりだよ樹…。」そう言って樹の前に現れたのは…眼鏡の少年。
「集…!お前今頃ひょこっと現れやがって…!!」
ガタン!!女子の悲鳴と机のがたがた動く音が廊下にまで響き渡る。勿論、隣のクラスの凪にもそれは聞こえていた。
他クラスの人たちもB組に集まる。凪も中学時代からの唯一の友達・由良に無理やり連れて行かれ、B組へ行った。
「…!!凪!来るな…来るんじゃねー!!」樹がそう叫んだものの、もう遅かった。
凪は集を人ごみのなかから見つけてしまった。そして…涙を流した。
「集…?どこ行ってたの?ずっと。」
そう聞かれたものの、集は答えず。ただただ笑みを浮かべていた。