2Gear『不審な少女』
この調子で頑張ります!
今回も何だが話が余り進んでない気もしますが気にしないで読んで頂ければ幸いです。
■クナギ■
「ほら。おにぃ、行くよ」
リナは制服を着て玄関で靴を履き手を振る。
「ちょっと待て。今、制服きてるんだから」
俺はシャツのボタンを止めながらいう。
「えぇ〜〜。遅いぃ〜〜」
リナは駄々を捏ねるが俺は軽く無視しながら言う。
「大体、お前が着替えるのが早過ぎるんだよ。まあ、俺が一般的な男子に比べれば着替えるのが遅いのは認めるがな……悪いけど先行っといくれ」
「ラジャー。了解〜。分かった。早く来なよ〜」
リナはそう三回了承するとガダガダと物音がし、すぐに何も聞こえなくなった。
俺はしばらくして着替え終わると机に置いてある黒光りする鋼鉄製の腕時計と黒色の三連ホルスターを取り、体に身に付け、最後に黒色に幾何学的な白いラインの模様が入った歯車【罪裁歯車】を胸の裏ポケットにしまった。そして鞄を手に取り肩から背負う様に持って欠伸をしながら扉をあけた。
その後、ドアに背を向けたまま、腕時計をドアのノブにかざすと家のドアは完璧にロックされる。
俺は大型の【二輪自動歯車】を車庫から引っ張り出し、跨り先程左腰に付けたホルスターから銀色の【アレインギア】を取り出し左手で【アレインギア】をまるでコインの様に弾き、右手でそれを掴み【二輪自動歯車】に入れ、エンジンを掛ける。
【二輪自動歯車】とは【アレインギア】を動力に動く、バイクの事で扱うには、免許が必要であり、十歳からその免許が取れ、かなり一般的に普及されている比較的扱い安く便利な乗り物だ。だが維持費が馬鹿にならないので少し有福な家庭でしか扱われていない。
ちなみに俺達の両親は既になくなっている。まあ俺の家庭には良くも悪くも遺産は山ほど残っていた為、【二輪自動歯車】を使えるのだ。
「気は乗らないけど行くか」
俺はそうボヤきながら【二輪自動歯車】を発進させた。
■十五分後■
「えへへへー、お兄さん優しい人なのー」
何故こうなった?
俺の後ろには今、ちょっと身長低めで短い赤髪の女の子を乗せている。この女の子を何故乗せているかと言うと、この少女は【ファクタス学園】の塀の前でジャンプしながら
「わー。高い、高い。高いのーー。これどうやって入ったらいいの?」
とはしゃいでいたのだ。校門が何処にあるかも知らなかった様で、更に行動があまりにも不審だったため仕方なく【二輪自動歯車】の後ろに乗せ校門に送る事にしたのだ。
俺は前をちゃんと見ながらメットの奥から話しかける。
「なあ。君に少し聞きたい事があるんだけど……」
「ならミーヤも聞きたい事があるの」
後ろの少女は俺にしっかり捕まりながら聞いてくる。
「君、ミーヤってのか」
俺は少女の名を知り、良い名前だなと率直な感想を述べる。
「そうでしょう、そうでしょうなの。ミーヤの名前はね、ミーヤ=ナインレフっていうのー」
ミーヤはそう陽気に名乗る。
「で、質問だけど。あそこで何してたんだ?」
「何してたと思うのー?」
ミーヤは後ろで何だが楽しそうにして逆質問してくる。
「校門まで連れていくんだから、それ位なら答えてくれてもいいんじゃないか?」
俺は言葉遊びに付き合う気はなかったので気だるそうに答える様に促す。
「お兄さん。優しいけど釣れないのー。まあいいの。答えて上げるの。ミーヤはこの学園の【止まらない歯車】に興味があるの」
後ろから怪しい雰囲気を漂わせながらミーヤは言う。しかしこの状態で何かをする気はなさそうだ。
「【止まらない歯車】か……。なるほど。そういう事か。まあ、いいさ」
俺があっさり引くとミーヤは驚いた様に言う。
「あれ? いいの?」
「ああ。いいんだよ。別に。それより着くぞ」
俺はそうミーヤのセリフを軽く流し、校門の側に【二輪自動歯車】を止めた。
「ほら、着いたぞ」
「ねぇ。お兄さん。ミーヤも質問していいの? 何でミーヤが怪しいの分かってるのに、ここでミーヤを降ろすの? 何で何もしないの?」
ミーヤはメットを脱ぎながら聞いて来る。
「何いってるか、よく分からないなー。ただ俺は君が困ってたみたいだから助けただけだよ。だからさ」
俺はトボけた様に誤魔化し、含んだ笑みを零した。
「子供はおうちに帰って、ネンネしてな」
俺が釘を刺す様にそう言うとミーヤは少し怯えた様に構えて訪ねて来る。
「お兄さん。貴方、何者なの?」
「何者って……。ただの高校生さ。まあ、ちょっと昔にやんちゃしてたけどね」
俺はそう言ってメットのバイザーを下げ再びエンジンを掛け走りだした。
■ミーヤ■
「お兄さん。普通の高校生はあんな殺気は出ないの。まあ。つまり、あれはお兄さんなりの警告なの……。何だが面白くなって来たのー」
ミーヤは俺が去った後、そう言いながらクルクルと回りながら笑った。
■クナギ■
『ファクタス学園』生徒会室前
「ミーヤに構ってたら遅くなったな」
俺は左手に付けた腕時計型の【端末】を見てそんな事を呟いた。
しかし何というか生徒会室に待つ、あの含んだ笑みを浮かべながら人を手の平の上で転がす事を生き甲斐としているあの【腹黒メガネ】(生徒会長)の顔を思い出すと一気にやる気が失せた。だがここで帰ればいつかあの全てを見透かした様な、アイツから手酷い報復を受ける事になるだろう。それを考えるとここにきた時点で俺の選択肢はもはや一つしか無い。
俺はため息を少しはき生徒会室のドアをコンコンと叩いた。
中からどうぞという声が聞こえたので俺は扉を開け入ると、案の定、あの【腹黒メガネ】の生徒会長ヴォレス=ウォルティックがニヤニヤした顔で、丸で俺が考えていた事を、全て把握しているかの様にこう出迎えた。
「やあ、ナギ。悪いね。後、僕ってそんな腹黒いかな?」
髪は整えられた白髪で、黒縁メガネを欠けている。瞳は蒼く、鼻も高い。身長は百八十センチを超えているらしい。女子から人気が高い。まさしく美少年している美少年だ。
そんな美少年が、頬図絵を尽きながら首を曲げてアイツは……レスはそう言った。
【おまけ】
「おにぃ着替えるの遅過ぎ! 女子か!」(リナ)
「しょうがねーだろ! てか、リナが速すぎるだけだろ!」(クナギ)
「安心して! その自覚はある」(リナ)
「お前こそ、本当に女子か⁉︎」(クナギ)
「むむ! 失礼な、私だってちゃんと女子だよ」(リナ)
「リナを女子とすると、女の子みんなが迷惑するの」(ミーヤ)
「な! ミーヤちゃん! それどういう意味⁉︎」(リナ)
「ちゃんとした女の子は、もっとちゃんとしてるの。棒キャンディを食べながら、生活しないし、胡座もかかないし、家の屋根にも登らないの」(ミーヤ)
「そうなの⁉︎」(リナ)
「リナ、それ本気で驚いてるよな?」(クナギ)
「うん」(リナ)
「お前、マジか……」(クナギ)
「絶望的なの」(ミーヤ)
「え? え? え⁉︎」(リナ)
「というわけで、次回『腹黒メガネからのお・ね・が・い☆』です。お楽しみに〜〜」(作者)
「おい、コラ、作者! 無視すんな‼︎」(リナ)