血ヲ求ムマーライオン
なんか色々と矛盾しているところがあると思うんですが、許して下さい。
ホントすいません...(泣)
暑い日差しの下、
グランドを颯爽と走り抜け、
ビリだった佐山 翔太はぐんぐんと前を走っている奴を抜いて1位に躍り出た。
もちろん、オレ、佐山はこの陸上部のエースであり、部長だ。
そんなヤツは基本美人なマネージャーから、
『ハイ、タオル♪』
なんて言われ、、、
てると思うか。
馬鹿野郎。
毎日毎日自分の汗は自分で拭っとるわ。
「ハイ、ポカリ。」
うちの部にはかなりブサイクなマージャーがいて、よくポカリだと言って訳の分からない色の液体を渡してくる。
異世界のポカリか??
ってカンジにいつも思う。
大体はその液体を素直に受け取り、捨てるのだが今日は違った。
「ねぇ、このポカリここで飲んでみてよ。」
「…え……??」
「いつも飲んでるところ見たことないから。
ねぇ、おねがぁ~い。」
周りの空気が固まる。
他の部員は目を逸らしどこかへ行ってしまうし。
「…ねぇ、早く~。」
ズモモと近づいてくるマネージャーの顔に耐え切れず、サッと退く。
「わっ、分かったよ!!
飲めばいいんだろ!?」
そう言ったオレは異世界のポカリが入った紙コップを口まで持って行き、傾ける。
口の中にチュルッっと入って来て気持ち悪い。
マネージャーの方に目をやると、目が輝いているのが見えた。
「…う゛…!?」
その瞬間、目の前が真っ暗になり、倒れた。
オレはそのあとの記憶はない。
「…ハッ!!」
勢いよく飛び起きるとその部屋は真っ赤だった。
「なんでココこんな真っ赤なんだ…??
さっきから口になんかついて…。」
そう言って手で口を拭う。
「…血!?」
ゾッとする。
なぜなら絶え間なく血が口からでているのだから。
まるでマーライオンのごとく。
「なんでっ、なんでゴボゴボゴボ…。」
それは15分続いた。
「翔、大丈夫!?」
息を切らした母が病院に来た。
「ゴホッ、ゴホッ、母さん…。
血が…血が…。」
「え!?何この血!?
先生に診てもらいましょう!!」
母は急いでナースコールを押すのだった。
「…ふぅむ…。
大量の血が口からマーライオンのごとく吹き出た…と???
よく分かりませんが、そうなるとこうやって死んでいないコトは奇跡なんですが…。
まぁ、またそんなコトになっては困りますのでご飯、考えてお出ししますね。」
「……ハイ…。」
その後に病室へと戻ると血の跡なんて一切なかった。
「…なんで…なんだ?」
その日の夕方。
看護婦の方がオレに料理を運んで来た。
どうぞ、と小さな声で言いオレのトコロに置く。
「………。」
普通ココでは『ありがとうございます。』とか言うのが当たり前だろう。
だが、大きな皿の上に生のレバーが大量にのっているのだから言えるわけがない。
「…コレがこれから続くんですか??」
俯きながら聞いてみた。
「…ハイ。
先生がそう言っていたので。」
それからオレは泣きながらそれを食べ続けた。
そんなコトが何日か続き、ある日の朝。
「…母さん…オレもう血いらねぇわ。」
「なんでそんなコト言うの???」
母は林檎を剥きながら尋ねる。
「摂りすぎもダメなんだって、もう摂りすぎて血尿出たよ。」
「…あらまぁ。」
母は冗談だと捉えているらしい。
「…じゃあ林檎も剥いたから家に変えるわね。」
「ありがとう。」
病室はオレ一人になった。
「もうマーライオンみたいに血は出ないけどな……う゛っ…!?」
またコレだ……!!
異世界のポカリを飲んだような…。
気がつけば、前のようにマーライオンのごとく血が流れ落ちた。
血はザーザーと音をたてる。
「うっ…ゴボボ…。」
次第に鼻からも血が吹き出る。
もう死ぬ…!!
そう思えたときだった。
マネージャーが病室に入ってきた。
「マネージャー!?」
そう叫んだ時には血が止まっていた。
「…色々とゴメンなさい。」
「…何…言って……。」
「…私…マーライオンなの。」
「……は???」
何を言っているんだ、そんな気持ちでいっぱいだった。
もうコイツは異世界の人間だ。
訳の分からん液体を作り出すし、自分のことをマーライオンだとか言い出すし。
「私は、世界三大ガッカリの1つ、マーライオンよ。
みんなにガッカリだと言われ続けてうんざりしてたらいきなり近くにいたこの美人さんと心が入れ替われたの。
最初はびっくりしたわ。
鏡を見たら、こんな美人さんが映ってるんだもの!!
思わず写メ撮ったわ。」
…もう一度鏡を見てほしい。
君は今、ボサボサでキューティクルのない髪にみつあみ、古くさい眼鏡によくバラエティーとかに出てきそうな赤いジャージ姿なのだから。
「んん~っと…。
じゃあ、今、マネージャーの中身は、マネージャーじゃなくて、シンガポールにある、マーライオンさんってコトか???」
「…そういうコトよ。」
つまり、話をまとめると、マネージャーは大分前にシンガポールへ行った。
その矢先、マーライオンとマネージャーの心が入れ替わった。
…そういうコトらしい。
分からないなら分からなくても大丈夫ではないが、大丈夫である。
「…だからあんなクソ不味い汁を作り出して……。」
「アレは彼女の部屋の引き出しに入っていたノートの中に書いてたレシピよ。」
「ふ~ん……。
……マジで!?」
思わず変なツッコミを繰り出してしまう。
「にしても。
マネージャーは今どこに???」
「…シンガポールよ。」
「マジで!?」
びっくりして思わず鼻血が吹き出す。
「あらあら、血が…ふふ。」
「なんだよその気持ち悪い笑いはァ!?」
鼻にティッシュを詰めながらオレは言った。
もうパニックを起こしてなにがなんだか。
分かった振りしてるだけだからね、ホントは。
「とっ、とりあえず、マネージャーを…帰せッ!!」
いや、いらんけど…。
「…貴方…この人のコト…好き???」
「……あ???」
「好きか嫌いかって聞いてるのよぉぉぉぉぉぉぉ――――!!」
いきなりキレだすマーライオン。
「…どうだろ???」
そういえばオレ…まさか……。
ドクン!!
「う゛っ……!?」
そう呻いたのはオレではない、マーライオンだった。
「どうしたんだ!!
マネージャーもどき!!」
「もどき…じゃ…ぐふっ!!
はぁ…はぁ…よく聞いて。
私と心が入れ替わっているこのマネージャーさん…実は…貴方のコトが…スキ…みたいよ。」
苦しそうで、今にも死にそうな顔でそう言ったマーライオンは、こう続けた。
「この人には勝手に気持ち伝えちゃって申し訳ないけど…。
これも貴方のため。
この人、貴方のコトが好きすぎて変な念が貴方に乗り移ってそんなマーライオンのように血が吹き出ているのよ。
だから私はもう…気持ちだけシンガポールに帰る。」
「おい!!」
「さよ…なら……。」
そう言って、マネージャーから白い煙が口からマーライオンのごとく吹き出し、気がつけば、元に戻ったであろうマネージャーが横たわっていた。
「…マネージャー……。
オレもう…アンタを離したりはしない。
あの異世界のポカリだって絶対アンタの前で飲み干すから。
だから…目ぇ…開けてくれぇぇぇぇぇぇ!!」
涙を流す…。
で―――……。
「それからだな。
マネージャーが目を開けたんだよ。」
「うんうん、それで???」
目の前には、ある人にそっくりな小さな双子の子供がオレの前にいて、キラキラした目でオレの話を聞いている。
「それから目が覚めたんだよ~…。」
「へぇ~!!
お父さんの夢って変なの~!!」
『お父さん』、オレは気がつけばそんな風に呼ばれるようになっていた。
「も~…。
いつまでそんな夢の話なんてしてるの??
まぁ…アタシが夢に出てきてうれしいけどね。」
彼女、いわゆる僕の嫁は優しい声でそう言った。
「陸上部のエースだった頃の夢をみるなんて珍しいな。」
「まずアタシがマーライオンになってるなんて…ふふ、へんな話ね。」
僕はあの夢のおかげで人生を共にする相手を決めた。
「…ありがとう、マーライオン。」
なんか変な話でしたよね~
やっぱり、人は見た目ではなく
異世界のポカリが作れるか…ですよね。
…え、違う??
とりあえず、
こんな小説を読んでいただき
ありがとうこざいました!!