5日目 詩人なくらまくん
観察記録5日目、一昨日から雨続きでする事も無いので朝からずっとゲームをしていた。この雨だと別にくらまくんも何もせず家に居るだろう。それか家で奇行に走っているか…だけど家の中までは把握するわけにいかないので1人時間を楽しんでるうちに寝てしまっていた。
どれくらい寝てしまっていただろう。お腹がすいたし、今日はママが忙しかったみたいで出前とるかコンビニ行くかなんかしてと言ってお小遣いをくれたので、お言葉に甘えてハンバーガーを頼むことにした。「めんどくさいし、置き配でいっか。」しばらく経ってデリバリーアプリの配達完了の通知が来たので取りに玄関に向かうと、私が頼んだハンバーガーの横に袋に入れられた見覚えのあるタッパーがあった。
「あ、うちのタッパーだ。この前の筑前煮の…」
よく見ると袋の中にメモが入っていた。
「わざわざ返しに来てくれたんだ。寝ちゃってたな…」悪いことをしたなと思ってメモを読んでみると汚い字で
-5回も鳴らしたけれど誰も居ない。ずっと待っていても、僕の靴が濡れて行くだけだから。タッパー置いておきます。美味しかったです。母の味を感じました。くらまより-
くらまくんが雨の中わざわざ届けてくれたんだ。苗字じゃなくてわざわざ「くらまより」なのはさておき、何だこの変にキザな文は。ポエムか?そして誤解もインターフォンを鳴らされて起きない私も私だけど、5回も鳴らして雨の中待った上にメモを書きに帰って、またそれを置きにきたくらまくんの奇行具合に驚きが隠せなかった。
母の味ってなんだよ。紛れもなく一児の母が作った筑前煮だよ…母の味を知らずに育った悲しい子みたいな物言いをするな。色々突っ込みたくなったけど、わざわざ言いに行くのもめんどくさいから心の中でとどめた。もちろんこのメモはママには見せなかった。返しに来てくれたことだけを伝えた。
くらまくん観察記録
5日目 詩人なくらまくん(筑前煮は母の味)




