第76話 幼女、神気取りのシステムに怒りのラストシューティング
「たしかに【妖刀 丹亀尼】の形状や性能は、アンタもコピーできるやろう。せやけど、それだけや」
アンタがどんなに性能をマネしようと、「経験」までは擬態できない。
ウチはコイツと違って、強敵と戦ってきた。テネブライに生息していた魔物たちだけじゃない。お隣さんのクゥハとも。
さっきの攻撃は、クゥハとの戦いでも行った。クゥハと戦ったときは、腹に足先をチョンと当てただけで限界を迎えたけど。
最後の戦いに備えて、ウチはフィジカルにも能力ポイントを振っておいたのだ。
「今度は、ちゃんと蹴ったったで、クゥハ」
力尽きたウチは、ヒザから崩れ落ちる。
両手も、ボロボロだ。バイオジャケットは溶け落ちて、皮膚が大ヤケドを負っている。
「カニエに、治療薬を塗ってもらわんと」
回復魔法で、どうにか血液を巡らせられるまでには回復した。
しかし、これは愛弟子に癒やされてこそ、完治するというもの。
[ミッション・コンプリート。竜の巣エリアのボス、【戦闘要塞 テネブライ】を撃破しました。これより要塞テネブライの操作権限は、すべてアトキン・ネドログのものとなります。新たなリーダーの誕生です]
天の声から、そうアナウンスされた。
「ひとつええか? 向こうも、同じような声が聞こえとったんと違うか?」
また、同じシステムボイスを持っている可能性も、高い。
つまり、どちらも【天の声】の制御下といえる。
どちらか勝ったほうが、すべてを手に入れるのだ。おそらく。
ということは。
[だとしたら、どうだというのです?]
「つまりアンタは、ウチらを競わせとった。ちゃうか?」
システムボイスは、沈黙する。
図星か。
テネブライが滅びた理由が、なんとなくわかった気がした。
そうやって、この要塞は成長を続けていたのだ。
他の星の生命体を、取り込んで。
自分たちがこのメカニズム、技術を支配していると思わせて。
実際に成長していたのは、テネブライの方だった。
だから魔物たちは、瘴気でこの地に誰も立ち入らせないことにしたのだろう。テネブライの成長を、阻害するために。
つまり生かしておいたら、この地上で同じことを繰り返す。
「幼女になりたい」とかいうしょーもない理由にして、正解だった。
最強の存在になりたいとか思っていたら、ウチもテネブライに生息していた魔物と同じ運命を辿っていただろう。
最強に固執して、自分を見失い、テネブライの成長を促進させていた。
ウチは、テネブライだったナノマシンの残骸を起動させた。
しかし、ウチは上空に集めただけ。
「テネブライの残骸は、これで全部やな?」
聞かなくても、わかる。これで、テネブライの制御系はすべて掌握しているようだった。
[アトキン・ネドログ。何をする気ですか? そのナノマシンは、テネブライを構成している物質です。今や、あなたの意のままに操れることは確かです。征服権を、放棄するのですか?]
「テネブライ。おねんねの時間やで……【邪神ショット】!」
ウチは、腰の触手から、邪神ショットを放つ。テネブライに向かって。




