第75話 幼女、竜と決着をつける
ウチは急ごしらえで、バイオジャケットに搭載しる【邪神ショット】を改造した。吸い込み式の掃除機へと、変形させる。
「いてまえ! 【サイクロン・バキューム】!」
ウチは、テネブライの周りに浮遊しているナノマシンを、バイオジャケットに吸わせる。攻撃するのではなく、吸い込んだ。
デコイにしていたバイオジャケットにも、同じ改造を施す。
で、ナノマシンのコントロールを奪う。
みるみる、テネブライを覆っていた影が、小さくなっていく。ウチが、ナノマシンを強奪しているからだ。
テネブライは、ウチと同じ能力を持っていた。ウチができることを、相手は一瞬で使えるようになる。
ならば、「こちらも同じことが可能だ」ということ。
「アンタにできて、この魔女アトキン・ネドログにできへんことは……ないんじゃ!」
同じ星のテクノロジーを、使っているのだから。こちらにも【ファミリア】というスキルがある。手下を作って、操ることができるスキルだ。
多分相手は、ナノマシンをファミリアで操作している。
だとしたら、ナノマシンを奪って制御し、相手を弱体化させればいい。
「くらえ、【邪神粒子砲】っ!」
集めたナノマシンを、特大極太粒子砲として放出した。
テネブライには、かわされる。
おまけに、ウチの手持ちのナノマシンも、大半を失った。
なるほど。やっぱ攻防一体の、使い切りブレスなわけね。しかも一度撃ったら、コントロールもなにもない。消滅してしまうと。
諸刃の剣で戦うことになるから、一撃必殺が多いわけか。
テネブライも、ウチの狙いに気がついたようだ。ナノマシンを引っ込め、遠隔操作をあきらめる。
次の集団はおそらく……。
「な? 肉弾戦やんな?」
ウチは【マギアーツ】……術式を込めた徒手空拳で、応戦した。
三人がかりで戦うが、二体のバイオジャケットがやられる。
「コイツ、【マギアーツ】までコピーしとる!」
さすがに、【分身】で数を増やしただけでは、コイツのフィジカルには通用しないか。
テネブライが、ナノマシンを発熱させて、蛇腹剣を作り出した。
しかし、ウチにはコイツが持っていないものがある。
「蛇腹剣なら、ウチの方が上手や! 【マギアーツ】、全開!」
ウチは相手の蛇腹剣を、素手で受け止めた。腕がなくなってもいい覚悟で、クソ熱い刀身を白刃取りする。
「今度は……全力じゃ!」
落とした妖刀の柄を、ウチは蹴り飛ばす。
本当のマギアーツは、こちらに注ぎ込んでいた。
ウチの妖刀が、ドリルのように回転する。そのまま、テネブライの胸部を貫いた。
テネブライの心臓部に、妖刀が突き刺さるのを確認した。
急所を突かれ、テネブライは肉体形成ができなくなる。
「ウチの勝ちで、ええよな?」
返事はない。
テネブライは、完全に沈黙した。




