第73話 幼女、天の声の正体を知る
テネブライの背中から、竜の影が浮かび上がった。
『超古代文明に挑んだことを、後悔するがいい』
「じゃかあしいわ。いっぺん負けて、設備やらなんやら奪われたくせに」
なにもないところから、赤い閃光がほとばしる。キレたのか?
「あっぶな!」
とはいえ、狙いが的確すぎた。すかさず、身をかわす。
もう一発が来た。
「邪神ショット!」
腰撃ちの邪神ショットで、軽く軌道をそらす。
「かわすほうが、楽なんやけど」
こういう攻撃は、受けてみないと対処が難しい。
手数が多くて弱すぎる攻撃なら、受け流して相手に肉薄する手もある。
強烈な一撃なら、ギリギリで避けてカウンターでもいい。
しかしウチの攻撃は、黒い影に阻まれる。
さっき身体から、閃光を撃ってこなかったか?
なにもない空間から攻撃をしてくるということは、この黒い影自体が、攻撃と防御を兼ねた質量のようだ。
「ナノマシン……」
おそらく、その応用だろう。
まさに、近未来設定だ。
どうして、ここまで近未来だと判断できるのか。
それは、【天の声】の存在にある。
ウチがテネブライを攻略していき、ボスを倒していく度に、天の声はウチに語りかけてきた。
てっきり、女神かなにかだと思っていたのだが。
ウチを転生させてくれたのは、女神様である。それは、間違いない。実際に会ったのだから。
しかし、ウチに語りかけている存在は、女神とは無関係だった。多分だが。
「あんたは、女神様と面識はないやろ?」
戦いながら、ウチは天の声にダメ元で語りかける。
こんなことは初めてだが、なぜか今なら、天の声は応じてくれる気がした。
[ダゴン族:アトキン・ネドログの質問にお答えします]
天の声さんが、ウチの呼びかけに回答をする。
[私は、地上に降り立ったダゴン族の戦艦、【テネブライ】に搭載されていた、管理システムボイスです。クルーのバイタルチェック、戦艦とのコンタクト、戦艦の各ブロックの制御を補助します]
なるほど。つまりレベルアップなどのシステムは、すべてこの戦艦によるものだったと。
さっき、しれっと「ダゴンの戦艦」と言っていたが?
「ダゴン族って、宇宙人やったんか?」
[お答えします。アトキン・ネドログの質問を、肯定します]
だとしたら、海洋エリアにおったダゴン族が、本体だったと?
「海洋エリアに、ダゴンがおったやん? あれも生き残りやった?」
さっきテネブライは、「ウチが倒したのが、最後のダゴン族だった」と語っていたけど。
[否定します。あれは、人魚族です]
人魚族が、ダゴン族の力を取り込んで、知識を得たらしい。
[他のエリアを支配していたモンスターも、戦艦テネブライのテクノロジーを奪って成長した個体です]
彼らはそれぞれ、自分たちが強くなるために、世界征服そっちのけで強くなっていったらしい。
「そらあ、あんだけ強なったら、業突く張りにもなるか。世界なんていつでも支配できるよってに」
ウチがもう、万能感バリバリだったもんね。
さて、あとはどうやって、コイツを倒すかだが……。




