第72話 幼女、唐突な近未来設定に困惑
『我々は環境汚染のせいで、絶滅の危機に瀕していた』
星を脱出するために、テネブライという船が作られた。
そこへ、星の住民すべてが乗り込んだという。
戦艦テネブライは、新天地を求め旅立つ。自分たちの星と環境が近い、この地に降り立った。
しかし着陸前に船が【魔力】という謎のエネルギーと不自然な干渉をして、不時着してしまったのだ。
『船内クルーの九割が死滅した上に、原住民の攻撃を受けた。特殊なプロテクトを施し、船はかろうじて守れたが、クルーは全滅している』
原住民っていうたら、イーストエルフとかやろうな。
「はえー。なんやねんその近未来設定」
まさかテネブライの正体が、宇宙戦艦だったとは。
「アトキン、コイツはなんと? 言っていることの七割、わからないのですが? 複雑怪奇な用語ばかり、話しますねぇ」
「テネブライは、別の星から来たんやって」
しかも、ずっと発達した文明を持ってこの地に降りてきた、と、クゥハに説明をする。
「それはそれは、摩訶不思議設定ですね。星に人が住んでいるとか、初めて知りました」
「いや、この世界も星やからね!?」
どうやらこの世界の住人は、「天体」という概念はあっても、自分たちもその理屈の上で生活しているとは考えないらしい。自分たちも宇宙の一部であると、認識できないようである。
「戦う前に、一つ教えてや。あんたんとこの住人は、あんたを倒したらこっちに攻めてきたりはせんのんか?」
『テネブライに乗っていたクルーが、星の住民全てだ』
「生き残りは、一人もいない?」
『お前が最初に殺した個体が、それの生き残りである』
あちゃー。あのブヨブヨのタコがかいな。
ウチがそいつの身体を、いただいてしまったと。
『余は戦艦テネブライの、メインコンピュータ。クルーの肉体を分析し、この身体に戦艦すべての質量を閉じ込めた。この地に住む魔物たちも吸収して、【竜】と呼ばれ恐れられている』
「ウチも取り込むつもりなんか?」
テネブライは、ウチの質問に首を振る。
『危険因子を取り込めば、どんな不具合が生じるかわからない。駆除が最適解』
「ですよねー」
ウチがコイツやったら、同じ判断を下すだろう。もし取り込んだりしたならば、確実におなかピーピーになる。
「アトキン、残念ながら今回はあなたに戦闘の権利を譲ります。ワタシには、不可解すぎますね。コイツはあなたとならば、波長が合いそうです」
「せやな。カニエたちを頼むで」
「心得ました。お気をつけて」
クゥハが、後ろへとさがっていく。
「よっしゃ。ブチのめしたるわ、テネブライ!」




