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新大陸を開拓するため、幼女型モンスターに魂を転送した魔女は、後に邪神と崇められる(自力で幼女になりたかっただけやのに!  作者: 椎名 富比路
第八章 敵は魔物生態系最強 ドラゴン

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第70話 魔王の娘と災害の対決を、見守る幼女

 竜を前に、クゥハはヤル気満点だ。


 とはいえ、相手は災害と言ってもいいくらいの存在。実体すら掴めない。

 

「気をつけや、クゥハ。腐っても、ドラゴンを追い払ったくらいなんやから」


「はい。だからこそ、アトキンよりワタシが先に手を出したいんですよ」


 いつもウチが最初に戦って、お楽しみを奪ってるからな。


「ふぅん!」


 ボヤケた存在に向かって、クゥハが剣を振り下ろす。


 スカッ、と、クゥハの剣が空を切った。なんの切断音もしない。攻撃は、果たして効いているのか?


 その後、何度もクゥハは剣をブンブンと振り回して、竜を倒そうとする。


 しかし、手応えはなさそうだ。


「ダメですね」


 クゥハは、攻撃をあきらめた。剣をしまう。


「魔力を乗せて攻撃を試みましたが、こちらをまるで相手にしてくれません。なんというか、天候とか思念とかと、戦っているみたいです」

 

「せやな。なにと戦ってるんかな、って見えたわ」

 

 昔読んだマンガの中に、「イメージしたカマキリと戦う」というシーンがあった。

 クゥハの戦いは、その場面とよく似ている。



「アトキン。一応あなたは、言葉を発しない相手に言語を引き出すすべをお持ちですよね?」


「たしかにな」


 ウチはそのおかげで、渓谷エリアの敵と意思疎通ができた。


 その技術を使ったら、この敵とも話し合いは可能である。おそらくは。


「とはいえ、どうせ会話の余地はないと思うで」


 テネブライの魔物たちは、とにかくナワバリを守っているだけ。

 侵入者は、即排除なのだ。


 この竜だって、おそらくそうだろう。


 

 ウチは一旦帰り、翻訳の術式を開発する。


 

「できた~。【翻訳劇薬】ぅ~」


 完成品を、ウチは天に掲げた。


「……アトキン。どうしてそんなダミ声で、道具を持つ手を上げているんです?」


「お約束や。ツッコんだらアカン」



 冷静になったウチは、クゥハとともに竜の巣へ戻る。


 完成したポーションを、竜のいる場所にふりかけた。


「頼むでぇ……」


 ウチの祈りが届いたのか、思念のようなものが頭に入り込んでくる。


「きたきた。一応、説明はしてくれるみたいや」


「脳を乗っ取られる危険性は?」


「そんな機能があったら、ファーストコンタクトの時点で問答無用の洗脳開始やろ」


「たしかに」


 気を取り直して、名前から聞く。

 

「ほうほう。テネブライっていうんは、あんたの名前やってんな?」


「では、【竜 テネブライ】の正体は、この大陸そのものだと……」


「せやねんよ」

 


 竜の言い分は、こうである。


 

 テネブライは、世界を喰らい尽くす存在だとわかった。大陸ではあるが、徐々に世界を貪り尽くすつもりだったと。

 

「アトキンが介入していなかったら、世界が崩壊していたのですね?」


「せやな」


 テネブライの魔物が強烈な瘴気を放っていた理由は、外側から人を、内側から竜をせき止めていたから。


 まさに、災害。どうにもならない相手だった。


 だからこそ、ウチが倒さなければならない。

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