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ゴーストクローバー  作者: 抹
4/9

4話 印を持つ者

 「キリルさんは印持者ってなんだと思う?」


 なんだと思うと言われてもなぁ。

 超能力が使える程度の認識だ。

 記憶があったら何か知っていたかもしれないが、正直今は分からない。

 

 「やっぱり何も知らないんだね。いいよぉ〜私も最初は知らなかったし」


 ココアはニヤけた顔をしながらこちらを見つめる。

 とても人を殺した人には見えない。

 

 「まず印持者には系統があるんだけど、大きく分けて四つ」


 ココアはさっきのふざけた雰囲気とは裏腹に、真面目に話してくれた。


 要約するとこうだ。


 ハート、ダイヤ、スペード、クローバーの四つの種類の模様があり、それが身体のどこかに現れた者が印持者と言われるらしい。

 俺の場合は右手、彼女の場合は胸元にあるらしい。


 人によって能力が違うが、無条件でポンポン扱えるものではないらしく、できるものは稀だろうだ。


 ハートの印は、見えない、手で触れない。

 そういったものを失うことを代償に。


 ダイヤの印はハートとは逆に、見えるもの、手で触れられるものを代償に。


 スペードの印は、何かしらを永久に無くなる、もしくは使えなくなることを代償に、常時能力が発動する。


 最後にクローバーは、他とは違って能力の発動に条件があり、満たすことで発動できるそうだ。


 これだけ聞くと、彼女を除けば便利そうなもので、狙われる理由が分からない。

 ただ、次の発言で頷けるものとなる。


 「印持者は稀にね。化け物になるんだ」


 「化け物?」


 すでにあなたは人間離れした化け物だと思ったが、そういうことではないらしい。


 「印持者わね。能力に溺れると化け物になるんだ。実際に見たのは2回くらいだから、あまり知ってる訳じゃないんだけどね。空想の化け物みたいになるの、デッカい空飛ぶクラゲだったり、翼の生えた鯨みたいな変なヤツ」


 軽く想像してみたが、よく分からなかった。


 ただ、どんな能力だとしても、その状態になると被害がとんでもないことになりそうだな。

 

 「だから狙われる訳か」


 「多分そうだね。国よって差はあるけど、ロギエじゃ迫害対象だからねぇ。ただ、君の場合は討伐より捕獲が優先かもね」


 「どうしてだ」


 「それは、印のハーフは珍しいからだよ。化け物になった例はないしね」


 さっきも言っていたが、このハートとダイヤの印が組み合わさったものは珍しく。

 現状見つかってるのは、俺を含めて世界で3名らしい。

 ただ、そのせいで記憶が無くなってるだろうし、軍人には追われるし、忌々しいことこの上ないのだが…

 そういや、俺が眠る前にいた少女はどうなったのだろうか。


 「なぁ、話は変わるが。俺を助ける時、女の子が倒れて無かったか?」


 何故今まで忘れかけてたんだ。

 記憶を思い出すこと、軍人から逃げることで精一杯だったんだ。

 情報量が多すぎる。


 「いやぁ、見なかったよ。あの時は暗かったけど、私には関係ないし、見落とさないと思うけどなぁ」


 彼女が上を向きながらそう言う。

 あれは、夢だったのか?

 

 ただ、俺のことを兄と呼び、約束だよと言っていたはずだ。

 軍人に追われてたことは事実だし、とても夢には思えなかった。


 「そうか」


 俺は少しため息をこぼし前方を見ると、ジャージを着た女性とタバコを吸ってるおっさんがいた。


 「おぉ、遅くなっちゃった! お待たせしやした。救出完了したぜ!」


 「遅い! わっちをいつまで待たせんだよ。寒いわ、ヤニ臭えおじさんと一緒に居させられるわ。はよ帰ろ」

 

 「俺は気にしてねぇぞ。大自然でタバコを吸うのは気持ちがいいからなぁ。ただこの子がうるさいし、他の奴も待ってるからな」


 ジャージを着た女性は、顔が見えないくらい髪が長いが、表情はおそらく怒っており。

 タバコを吸ってる白髪のおっさんは、ニヤけながらタバコを吸っていた。


 ココアもそうだが、明らかに濃いメンツだなぁ。


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