1話 消えた記憶と約束
吹雪く針葉樹林の中、複数の足音が聞こえる。
白い軍服をきた集団と、2人の少年と少女。
二人の少年少女は白い息を吐き、視界がままならない中、木々をかき分けて樹林の奥へ奥へと走る。
その一方、軍服を着た集団はライトで雪に見える足跡を辿って逃げる2人を追いかける。
「はぁ、はぁ、はぁ、なんでこんな事に…」
少年はそう呟き、足が埋まって走りにくい雪の中を一生懸命走りながら逃げる。
その時、少女が足が埋まって転んでしまう。
「■■■!?」
少年は慌てて言ったからか、よく聞き取れないが、少女の名前を叫ぶ。
叫んで助けようとしたところで遅く、軍服を着た集団は、その絶好のタイミングを見逃さなかった。
軍服は、2人をアサルトライフルについたフラッシュライトで照らし、引き金を引く。
暗い針葉樹林に、銃声が鳴り響いた。
倒れた少女は鋼鉄の弾丸に容赦なく貫かれ、周囲の雪は赤く染まる。
「お兄ちゃん…約束だよ…」
少女はそう言い残し、目は閉じ、動かなくなる。
その瞬間、目の前は真っ暗になった。
ーーーーー
「はっ!?」
目が覚めるとベットの上で起き上がっていた。
ここは…どこだ…?
俺は、森の中で…
いや、何をしていたかわからない。
思い出せない。
何故だ?
とりあえず、ここがどこなのか知るべきだ。
そう思い、ベットから降りると扉が開く音が聞こえる。
扉の方へ視線を向けると、ブラウンのロングヘアーに白いポンチョを着た少女がいた。
「おぉ〜起きたんだ。おっはよ〜、気分はいかがっすか?」
少女は明るい声で話しかける。
彼女は誰なんだろうか。