7話
病院の控え室で座るカイト
バンッ!と勢いよく開くドアから青い顔をして辺りを見渡す母親を見つけました。
母親「カイト!あなた怪我は?」
カイト「俺は全くの無傷だよ、でも父ちゃんが……」
安堵する母親
母親「父ちゃんなら絶対に大丈夫!あの人はそう簡単にくたばるたまじゃないよ!」
手術室から出てくる看護婦
看護婦「奥様ですか?先生からお話があります、中へ」
母親「はい」
医師から出血性ショックでかなり危険な状態で輸血をしているが意識が戻る保証はないことを告げられました。そして切断面を焼いていなければとっくに死んでいた事を聞かされました。
母親「わかりました」
それからカイトと母親は毎日付き添い声をかけ続けました
カイト「父ちゃん、、まだたくさん教わる事があるよ…」
父親のゴツゴツした手を握るカイト
カイト「早く起きて漁に出ないとお店に並べる魚がもうないよ?」
父親「………」
カイト「そうだ!あの日の黒マグロ高値で売れたよ!母ちゃん大喜びしてたよ!」
父親「………」
母親「今日はもうカイトは帰りなさい、あとは母ちゃんが見てるから」
カイト「うん…」
握っていた手がかすかに動く
カイト「母ちゃん!手が動いた!」
眼をゆっくり開く父親
母親「あんた!先生を呼んでくる!」
父親「カイト、無事か?」
カイト「もちろん無事だよ!」
父親「生きてたか…俺は本当に運が良いな」
意識を取り戻した父親は生命の危機を脱したものの数日の入院となりました。
そして退院をした夜の自宅
父親「カイトは寝たか?」
母親「はい、あの子もあなたが漁に出られない穴埋めをと早朝から堤防でアジや石鯛、素潜りで貝やエビを取ってきて店頭が空にならないよう頑張ってるから夜は疲れてすぐ寝るわ」
父親「俺が情けないばっかりに、それに義足に慣れたとしても漁船での漁は難しいかもしれない」
母親「あなたが生きているだけでじゅうぶんよ!今までも足りない分は市場で仕入れていたし、魚屋をやるぶんには私は何も心配してないわ!」
父親「お前には迷惑をかける…すまん…」
母親「いいのよ、家族は支え合って生きて行くものよ!」
翌朝
堤防に釣りに向かうカイト
父親「カイト!堤防か?」
カイト「ああ!いっぱい釣ってくるよ!」
父親「俺も一緒にいく!義足に慣れないとな」
2人で堤防で釣り糸を垂らしました。
父親「カイト!足がこれだからな!しばらく船には乗れねぇ!」
カイト「父ちゃん…」
父親「諦めたわけじゃねぇが不安定な足場でこの足じゃちょっと難しい」
カイト「……」
父親「おっ!引いてるぞカイト」
2人はそれから言葉少なに釣りを続けました。
その夜の食卓
父親「母ちゃんの飯は美味い!本当に生きててよかった!」
母親「たくさん食べて早くもりもり働いてください!」
父親「あいよ!」
食も進まず、元気がないカイト
カイト「父ちゃん、母ちゃん」
母親「どうしたの?」
父親「どうしたカイト?元気ねぇな?」
カイト「俺、父ちゃんみたいな漁師になりたいんだ」
父親「嬉しい事言ってくれるね〜」
カイト「だから学舎は夕方に国語と算術だけ習いに行く」
母親「待ちなさい!勝手に何を言っているの!」
カイト「俺には夢がある!その夢を叶えるために俺は生きる!」
父親「ちゃんと学舎をでて中等学舎にも行け!それからでも遅くない!」
カイト「中等学舎にはいかないし俺は明日から漁にでる!」
父親「馬鹿な事を言うな!漁船の動かし方もしらないガキが!」
カイト「俺が父ちゃんの足になるんだ!父ちゃんから漁船の運転方法も教えてもらう!漁の仕方だって教えてもらう!明日から父ちゃんは操舵室で操縦で俺が漁をする!」
父親「おまえ…」
カイト「俺の夢は父ちゃんみたいな漁師だ!父ちゃんにもっとたくさん教わるんだ!俺の意思は堅いよ!父ちゃん母ちゃん!」
母親「カイト、今日はもう寝なさい…」
そして深夜遅くまで話し合う父と母。
そして早朝
父親「カイト!起きろ!漁にでるぞ」
眼をこするカイト
カイト「父ちゃんおはよう…漁ね…」
一気に眼が覚めるカイト
カイト「父ちゃん!いいの!」
父親「母ちゃんと話しあった結果だけどな、親ってのは子供のやりたい事を応援したいもんなんだ。だから俺と漁をする事を認める、だが2つ約束しろ!1つは漁から戻ったら学舎で国語と算術は欠かさず勉強する」
カイト「わかった!」
父親「もう1つは中等学舎に通わなかった事を後悔するような人生を絶対におくるな!わかったか?」
カイト「わかった!」
父親「よし!じゃあ漁にでるぞ!一人前になるには5年はかかるからな!根性入れてついてこい!」
カイト「了解!!」
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