22話
王都上空に浮かび上がる青い紋章
東の塔から王都や城下町にも届くほどの大音量の大鐘の音が鳴り続ける
「ガラ〜ゴロ〜ン♪ガラ〜ゴロ〜ン♪」
王都の住人A「東の塔なら覇者様だ!」
王都の住人B「勇者様、賢者様、覇者様が同じ時代に現れるなんて!」
歓喜に沸く人々
その翌朝の新聞は覇者誕生を盛大に祝うも
夕方にでた号外の内容は国民みなが驚くものでした。
号外「勇者アームストロング、国家反逆罪で人族領を追放。国王陛下の勅令で全国民にギルドカード所持の義務化未だ現れぬ賢者を牽制」
マリア「なんで!」
リサ「落ち着いてくださいマリア様!思念伝達でお願いします」
マリア〈人族領追放ってどういう事?どうしてそれをアムス様は受け入れたのかわからないわ〉
リサ〈おそらく村人でも人質に取られたのではないかと〉
マリア〈伯父様ならやりかねないわね〉
リサ〈それより問題は全国民にギルドカード所持の義務化、これはまずいです、ギルドの情報では賢者はギルドカードが赤くなるとそう連絡があったそうです〉
マリア〈まさかここまでするとは思ってなかったわ〉
リサ〈王族や貴族までギルドカードを持たせるとは思いませんが…〉
マリア〈全国民を調べてもなお賢者が現れなければ伯父様は王族も貴族も調べるはずだわ〉
暗いムードがたちこめる
マリア〈わたしが甘かったわね、私が賢者でなく料理人を目指すと知られたらお父様の立場が…母上や兄弟たちの未来まで奪ってしまう…使用人達もどのようになるかわからないわ…〉
リサ〈……〉
マリア〈リサ、お父様に謁見の許可をとってちょうだい、あとお母様と兄弟達も同席できるようにお願い〉
リサ〈承知しました〉
そして家族とリサだけの席が設けられました
マリア「お父様、大事なお話がございます」
父親「どうしたんだい?リサ」
マリア「これからの会話を誰かに聞かれるわけにはいきません、ですので魔法を使います」
思念伝達魔法を使用するマリア
マリア〈みな聞こえますでしょうか?〉
父親「なんだこれは!」
マリア〈落ち着いてくださいお父様、声に出さなくても思えばみなに伝わります〉
父親〈いったいこれはなんだ?〉
マリア〈思念を伝達する魔法です〉
父親〈そんなものを何故マリアが使えるんだ?〉
マリア〈実は今国をあげて捜索している賢者は私なのです〉
父親〈そんなわけあるまい、何の冗談だいマリア?〉
真剣なまなざしで父親をみるマリア
マリア〈これは事実です〉
リサ〈殿下、これは本当の事なのです〉
父親〈リサは知っていたのか?〉
リサ〈はい〉
父親〈何故私に知らせなかった〉
リサ〈たいへん申し訳ございません〉
父親〈めでたいではないか!我が家から賢者があらわれたとなれば大きな誉れである!早く公表するべきだ!〉
マリア〈お父様、私は賢者にはなりません〉
父親〈今なんと?〉
マリア〈私には料理人という夢があります、その夢を捨てて賢者になどなりたくありません〉
父親〈本気なのか?〉
マリア〈本気です、お父様〉
父親〈このことが兄に知られたら大変だぞ?〉
マリア〈わかっております、だから私はここに居続ける事はできないと思っています〉
父親〈どういう意味だ?〉
マリア〈明日の夜明けにこの宮殿を出ます、私は1人で食材を探しに行ったきり行方不明としてください〉
母親〈まって!そんないきなりは〉
マリア〈私は家族を愛しております、そしてここに仕える使用人達を愛しております、私のわがままで皆の人生を狂わせるわけにはどうしてもいかないのです〉
弟達〈お姉様行かないでください!〉
マリア〈ジョージ、ウィリアム、父上の様に立派な王族になりなさい、使用人に愛される王族になりなさい〉
弟達〈はい!〉
マリア〈お母様、親不孝な娘をお許しください〉
母親〈あなたの道を胸をはって進みなさい、あなたをいつも想っていますよ〉
抱き合う母子
マリア〈お父様、身勝手をお許しください、私はお父様の娘で幸せでした、お身体にはくれぐれも気をつけてください〉
父親〈守ってやれなくてすまない、いつか、いつか状況がかわるかもしれない、その時まで大変だろうが強く生きていて欲しい〉
マリア〈リサ、今まで専属のお付きとして私に尽くしてくれて本当にありがとう、でもそれも今日でおしまいです〉
リサ〈何をおっしゃるのですマリア様〉
マリア〈あなたはこの家の使用人であって私の使用人ではありません〉
リサ〈それならば私にも考えがございます〉
リサ〈殿下、今日をもって使用人の契約を破棄して頂けますでしょうか契約破棄の罰はなんでも受けます、どうかお願いいたします〉
マリア〈リサやめなさい!そんな事わたしが許さない!〉
リサ〈わたしに1人の人として尊厳を与えてくれたのはマリア様です、あの日のティータイムを忘れた日などありません。たとえマリア様が王族で無くなっても私はマリア様に仕えます!〉
父親〈リサ、本気なんだな?〉
うなずくリサ
父親〈本日をもってリサ・マイルストーンとの契約を破棄する。契約破棄により【リサ・マイルストーン】の名を使用することを禁じる!これからは本名の【リサ・ホワイト】を使うこと〉
マリア〈どういう事ですかお父様?〉
父親〈リサは赤ん坊の時にマリアのお付きとして育てるために孤児院から王宮に連れてきた。リサの母親は窃盗など犯罪に手を染め更にリサがアルビノという事だけで育児放棄をしてしまったんだ。私はリサを清める意味で名字を変えて王宮に迎え入れたんだ〉
マリア〈リサはその事を知っていたの?〉
リサ〈12歳の時に殿下から教えて頂きました〉
父親〈本名の方の登録は出生以来何も書かれていないし王宮に仕えた履歴もない、その方が2人で暮らした時にリサはこの国で買い物や移動を自由にできるはずだ〉
マリア〈お父様…〉
父親〈リサ、マリアを頼む〉
リサ〈お任せください〉
母親〈リサ、あなたがマリアといてくれる事が私にとっての唯一の安心材料です、どうか2人に幸せが訪れますように〉
リサを抱きしめる母親
マリア〈リサ、本当にいいの?〉
リサ〈掃除洗濯もできないマリア様を野に放つわけにはいきません〉
笑うリサ
マリア〈お父様、お母様、お世話になりました、そしていつかまた会える日が訪れる事を信じてがんばります〉
涙で別れを交わす家族
それから自室に戻り亜空間収納の魔方陣で必要な物をどんどんしまうマリア。
マリア「リサのも収納するからどんどん持ってきて!」
リサ「はい!」
そして夜明け前になんとか身支度が整いました
そして厨房にむかうマリア、そこには朝の仕込みをする調理長がいました。
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