2話
アムス10才「じーーーぃーーちゃーーーーーん!!」
正午過ぎに農地の先から力強い声が聞こえます。
※平日正午過ぎまでは小児学舎で勉強
そして腕は広げ近づくてくる愛孫
祖父「おお!!アムス!今日も畑を手伝ってくれるのか?」
両腕いっぱい孫を抱きしめるが勢いあまって愛孫を降り落としそうになる祖父。
※ちなみに祖父の名はマイク・アームストロング
アムス「当たり前だよじいちゃん!ってか手伝わない日なんて記憶にないよ?」
祖父「そうだったな、アムスの物心つく前にはわしの手伝いをしてくれておったな…
しかし5才くらいから最近まで手伝いより迷惑だった感じが…」
勝手に収穫 勝手に出荷 勝手に開墾をするアムスを思い出す祖父。
祖父(まぁ良い!アムスが元気でいることが1番それ以外などない!)
※補足 アムスの両親はアムスが5才の時不慮の事故で亡くなっています
アムス「じいちゃん、野菜を育てるって大変だよね……」
虫に喰われ成長できなかった苗を見てしょんぼりなアムス
祖父「そうだなアムスよ、、虫にやられても、病気にやられても、土に栄養が無くなっても作物は育たん…。
先人達が教えてくれた経験と今生きる我らが新しい試みをして更に良いやり方をみつける!それが未来の農業とそこに住む民の生活をより豊かにするんだとわしは信じておる!!」
眼を輝かせるアムス
アムスにとっていつだって祖父は憧れの存在なのです
数日経ったある日、納屋から一定のリズムで心地よい音が響いていました。
シィーーーー
シューーーー
シィーーーー
シューーーー
シィーーーー
シューーーー
その音に気がつき近づくアムス。
アムス「じいちゃん!何してるの?」
祖父「ああ、切れ味の落ちた鎌を砥石で研いでいるんじゃよ」
アムス「切れ味が落ちるとなにがだめなの?」
祖父「切れ味はとっても大事なんじゃアムスよ、作物を収穫する時に切った断面が綺麗なほどその後の鮮度に影響するし何よりも収穫する時間が大きく違うのじゃ。一個収穫するのに1秒違うだけで一生で収穫する個数を考えればとんでもない時間になるのじゃ。こうやって時間がある時に手入れする事は農夫にとってとても大切なことなんじゃとわしは信じておる」
アムス「なるほど〜 じいちゃんはやっぱりかっこいい!」
眼を輝かせるアムス
祖父「そうか!かっこいいか!あはははは!」
アムス「でもその鎌もうボロボロだよね?」
祖父「そうじゃの、、砥石で研ぐにしても刃こぼれがひどくもう長くはもたんじゃろ」
アムス「そうなのか〜」
祖父「もっと強靱な鉱物や魔物の素材で作れればよいのじゃがそういった素材は対魔族用に優先して武器や防具、魔導具、防衛施設などに回されるのじゃ、農具などに使用できんのが現状なのじゃ」
アムス「そうなんだ〜 」
祖父「まぁ全く使用出来ないわけじゃないがな」
アムス「どういうこと?」
祖父「自分で魔物を討伐し素材を入手し農具にするぶんには問題ないのじゃ」
アムス「えっ!そうなの?」
アムスの眼が銀河のごとく輝く
祖父「アムス!まさか魔物を狩ろうなど思っておるまいな?魔物をなめるでない!ギルドに加入するような屈強な冒険者でもなければ魔物を倒せたりしないのじゃ!10才のアムスなど魔物の餌になるだけじゃ!」
アムス「じいちゃん怖っつ」
祖父「お前は息子夫婦の忘れ形見じゃ…絶対危険な事はせんでくれアムスよ…」
アムス「わかったよじいちゃん、俺は農夫になるのが夢だから冒険者にはならないよ!」
祖父(本当にわかっておるのかのぉ〜)
祖父「まぁよい、もし農具の事に興味があるならここから役場へ向かう途中にある農具・釣り具店に
行ってみるが良い、店主のシドは世界に名をはせた元武具職人でな、武具を作るのに飽きたらしく王都からこんな僻地で農具や釣り具を作りながら隠居生活をおくっておる。
色々な農具があるからアムスなら一日いても飽きる事はないじゃろわしのおすすめの唐鋤でもみてこい!牛や馬にひかせて農地を耕す農具じゃ!しかもシドが作る農具は無駄にお洒落なのじゃ!」
アムス「そうなのか!じゃあ今からちょっと行ってくるね!」
祖父「陽が落ちる前には帰ってくるのじゃぞ」
アムス「わかった!じゃあいってくるね!」
祖父「気をつけていっておいで」
全速力で駆け出すアムス
優しい眼で見送る祖父
祖父「ゴホッ!ゴホッ!」
祖父(わしは後どのくらいの月日アムスに何をしてやれるのやら・・)
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