表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者でしょ?いえ農夫です。  作者: 羽場ネロネ
勇者でしょ?いえ農夫です。第一部
1/179

1話

この世界は人族と魔族で対立し戦争を繰り返し

人族領・魔族領と大地を完全に二つに分断している。


そして先の大戦において勇者達と魔王との頂上決戦の結果

人族側は勇者達を失い

魔族側は魔王の力が消滅し、魔王が復活するのか

新しい魔王が誕生するのか先行き不透明な事もあって

双方戦力回復のため戦争を避けいつしか休戦状態となったのであった。


グレーゾーンという曖昧な境界線を境に

人族が魔族領に入ることはなく

魔族も人族領に入ることはなかった。


そんなある意味平和が訪れたような世界も

100幾年の月日が流れた晴天の春の日

限りなくグレーゾーンに近いが

完全に魔族領の大地を(くわ)で耕す1人の人間がいました


彼の名はテッド・アームストロング


野菜を育てる事に命をかけ

誰よりも野菜を愛す男


それがテッド・アームストロング

通称アムスである。


アムスが魔族領にて開墾を始めて数週が経ったある日の事

若い魔族3人がアムスの畑と住居を偶然発見しました。


魔族A「こんな所に何故人族の畑のようなものがあるんだ?」


魔族B「わからねぇよ ちょっと調べてみるか」


魔族C「もし人族なら殺しちまおう」


魔族A「まさか人族などいるわけ無いがな」


魔族達はアムスの畑に近づきました。


魔族B「人族だぞ!」


畑の中で丁寧に野菜の苗を植えるアムスを見つけました。

そして駆け寄りました。


魔族A「おいお前!ここで何をしている!」


アムス「わっ!びっくりした!いきなり声掛けんなよ!

見てわかるだろ?野菜を植えてるんだよ、それ以外なんだっていうだ?」


魔族A「そうではない!人族のお前が魔族領で

何をしているんだと聞いている!」


アムス「だから野菜を植えてるって言ってんだろ?」


魔族C「何故魔族領で野菜を植えているんだって聞いてんだ!」


アムス「色々理由はあるんだけど俺がどこで野菜を育てようが関係ないだろ

俺がここで野菜を育てるのに誰かの許可が必要なのか?」


魔族B「許可が必要なのは当たり前だろ!ここは魔王様が統べし領地だぞ!

魔王様の許可なく人族がこの地に踏み入れる事を許す訳にはいかない!」


アムス「その魔王は今休眠中だろ?」


魔族ABC「だったら何だと言うのだ!!!」


魔族達はドズン!ドズン!と強い足踏みをしながらアムスに詰め寄りました。


その瞬間!

キーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!

っと意識が飛ぶほどの耳鳴りとともに

辺りは張り詰めた殺気に覆われました。


魔族達は禍々しい殺意の渦に飲み込まれ体がうまく動かなくなりました。


アムス「それ以上一歩も動くなよお前ら…」


魔族ABC(なんだこの人族は!この殺気!ただの人族じゃないぞ!)


アムス「お前らの足下を見てみろ」


魔族ABC(足下?)

足下には踏み荒らされた植物の苗がありました。


魔族ABC「この葉っぱがなんだというのだ?」


アムス「それらは先日俺が植えたトマトの苗だ!」


魔族ABC「それがどうした?」


アムス「それがどうしただと?俺のトマトは王都でも人気なんだぞ!!!!」


魔族ABC「だからそれがなんなんだーーー!」


アムス「トマトを馬鹿にするのか、、もう許さん、貴様等には我が相棒の1つ

(なた)で今日の過ちを悔いて貰おう」


アムスは腰のフォルダーから(なた)を取り出しました。


魔族A「(なた)?なんなんだこの人族は!魔族の体は鉄程度の強度では

傷ひとつつかぬわ!人族たった1人に我ら魔族が負ける訳がない!」


※魔族と人族の優劣について

平均的に魔族は人族の20倍強く、堅く、寿命も長いもので1000年生きる、

だが魔族は繁殖能力が低く人族の200分の1しか子孫を残せない、

今までの戦争が拮抗していたのは少数の魔族にたいして多数の人族による

人海戦術と勇者をはじめとする霊獣の力を継承する者達で対抗し

長い間人族と魔族の勢力が保たれていたのである。


魔族ABC「なーめーるーなぁーーーー!!この程度の殺気で臆するとでも思ったか!

魔族の力を見せてやろう!!そしてお前の肉体を引き裂いてやる!」


魔族が力を解放し体の自由を得て一歩踏み出したその時。


ボトッボトッ…ボトッ


アムス「動くなって言っただろ……」


一瞬で魔族達の両腕が地面に落ちたのでした。


吹き出す血飛沫

痛みと混乱により何が起きたかわからない魔族達

地面に落ちている己の腕を見て泣き叫びました。


アムス「魔王が寝てるならお前らの上司にでも伝えておけ!俺はここで農業をやる!!俺の作物に文句があるならいつでも相手してやるから死ぬ気でかかってこい!」


アムスはそう言い魔族達にそれがなんなのか説明できない見た事の無い魔術で魔族達の腕を止血し、落ちたそれぞれの両腕を麻袋に入れ口にくわえさせました。


アムス「魔族も魔術で肉体の結合修正できるだろ?とっとと帰ってくっつけてもらえよ」


ガクガクと震え戦意を失った魔族達は魔族領深く消えていきました。


さてさて


アムスは何故魔族領で農業をしているのか?


それには彼の過去を知る必要があります。


次話は人族領にいた頃のアムスの過去

10年前10歳に時を戻します。



評価・感想・いいねを頂けると励みになります!ブックマークして頂けると大変嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ