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交易ギルドで情報収集

 次の日、礼音は外食でモーニングをとった。


 ゆで卵、フレンチトースト、ミニサラダ、スープにさらに目玉焼きとソーセージもつけた、彼にとって豪華なメニューである。


「こんなに腹いっぱい食べたのは久しぶりかも……」


 金回りは食生活に直結すると身にしみながら、彼は【ゲート】へとやってきた。


 【ゲート】は原則として365日開いているので、好きなときに【アルカン】に行くことができる。


「俺のスキルが有効に使えるものをとれるなら、話は楽なんだけどなぁ」


 【ゲート】をくぐって都市リーメに移動しつつ、礼音はぼやく。

 彼にできるとすればモンスターに気づかれず、アイテムや素材を回収するくらいだ。


 戦って倒さないと入手できないタイプのものはあきらめるしかないだろう。

 彼はレベルが50になったのだから戦ってみようと考えるほど勇敢ではなかった。


 都市リーメに着いた彼は交易ギルドに顔を出す。

 情報収集の拠点にできそうな場所はまだほかに知らない。


 彼が顔を出すと昨日の白髪頭の男性とばったり遭遇する。


「おはよう。【宝蛇殺し】殿。たしかレオン殿だったね」


「ええ、おはようございます」


 礼音が呼び方を気にせずあいさつを返すと、


「そう言えば昨日は名乗らなかったかな。ワシはシュオという。ここのギルドの責任者みたいなものだ」


 とシュオは名乗って手を差し出す。

 握手をしたところで礼音は、


「今日は情報収集をしたいと思ってきたんですが」


 とさっそく話題を切り出した。


「どうぞ。レオン殿のように有望な人はとくに歓迎するよ」

 

 シュオは愛想よく応じる。


「どんな情報をお望みかな?」


「そうですね。この近くでとれる素材について教えてください」


 と礼音は頼む。


 あまり遠出をするとリスクが上がる気がしたし、近場で金になるならそのほうがいいからだ。


「うーん。トレジャースネークを倒して財宝を発見できたレオン殿なら、同じくらいの難易度のものでもかまわないかな?」


 とシュオは聞く。


(楽なものがいいとは言えない空気だな)


 はっきりと言わないほうがいいだろうと礼音は判断する。


 勝手に期待されるのは困るが、有利に働いてるうちは水を差さなくてもいいだろう。


「俺は戦闘力に自信がないんです。トレジャースネークを倒せたのは運がよかっただけなので」


 と彼は言った。

 

 寝ているところを尻尾を踏んだだけで死んだとか、説明しても信じてもらえるか疑わしい。


「ううん?」


 シュオは悩ましそうにうなる。


 じゃあどうやってトレジャースネークを倒した、と聞いてこないのは職業倫理だろうか。


 こめかみをぽりぽりとかいたあとシュオは、


「なるべく戦闘は避けたいということかな? 一応運がよければ戦闘を避けられるものならあるが、近くではないよ?」


 と発言する。


「近くにないなら仕方ないですね……」


 礼音は舌打ちをこらえながら答えた。


「ただ、故郷に今日中に戻る必要があるので、できれば日帰りの範囲がいいのですg」


 そして自分の要望を伝える。

 明日から会社だ。


 辞めるにせよ明日だけでは顔を出したほうがよいと彼は思っている。


「日帰りで行けそうな範囲はないね」


 とシュオは答えて、


「【レンジャー】なら戻り石を買えばいいよ。買った都市の入り口近くに魔法で移動することができる」


 説明をつけ加えた。


「たとえば都市リーメの戻り石を買って出発し、移動した都市で戻り石を買うと、リーメまで戻って来れるし、そのあと移動した都市にまた戻れるというわけだ」


「そんなアイテムが」


 礼音は驚く。


 いちいち買わなければいけないのは痛いが、移動時間を大きく短縮できそうなのはたしかだ。


「あれが【宝蛇殺し】なの?」


「まだ若いのにすごいよね」


 すこし離れた位置で女性レンジャーらしき面子が、彼のうわさをしている。


(何か有名人になったみたいだ)


 と礼音は思う。

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