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シュオという男

「今回はすごいね!」


 礼音が提出したものを分別し、鑑定したシュオは驚嘆する。


「百年樹の枝をはじめ、いい素材ばかりじゃないか」


 彼の反応を見た礼音は「やっぱりいらない素材まざってたんだな」と思う。

 だが、シュオがはっきり言わなかったので自分から言うのは避ける。


「このエヴァのスキルのおかげでして」


 と礼音はパートナーを紹介する。

 

「ほう、それは素晴らしい。【ギースの民】はわたしたちと同じか、あるいは希少なスキルを発現することがあるものな」


 シュオは瞳を輝かせながら、エヴァに称賛の瞳を向けた。


「どうもありがとう。お役に立てて何よりよ!」


 彼女は笑顔で応対する。

 可愛らしいがどこかよそよそしい。


 社交モードとでも名付けるべきだろうか。


「《フラッグオブフェイト》には新戦力が加入したというわけだね」


 とシュオは頼もしそうに話す。


「とてもすごい戦力ですよ」


 と礼音は誇らしげに応じる。


「これから頼りにさせてもらってもいいかな」


 シュオはおそらく雑談の延長くらいのつもりだったのだろう。

 だが、礼音はあえて首を横にふって、はっきり否と示す。


「状況次第じゃ難しいですね。彼女は戦闘が得意じゃないので」


 と礼音は言う。


 彼自身も同様なのだが【宝蛇殺し】と呼ばれている手前、納得されづらいだろうと考えて説明には入れなかった。


「なるほど、そうか。それは仕方ないね」


 とシュオは残念そうにしながらも、理解を見せる。


「無理はしなくてかまわない。戦闘が得意な【レンジャー】はすでに手配ずみだから。情勢が落ち着いたらまた活躍してほしい」


 彼の言葉に礼音とエヴァはうなずいた。


「では報酬の金貨30枚だ」


 とシュオは言って、革袋を礼音に渡す。


「じゃあ今日のところはこれで失礼します」


 受け取った彼は言ってふたりは建物の外に出る。


「話がわかる人だったわね。ワタシはともかく、レオンにお願いしないなんて」


「ああ、あのシュオという人は相当器が大きいと思うよ」


 エヴァの感想に礼音は賛成した。

 彼が都市リーメに通っているのは、実のところシュオの人柄が大きい。


 エヴァが気に入ったことで彼は自分の感覚が間違ってなかったと思う。

 

「だから協力できる範囲で、あの人には協力したいと思っているんだよ」


 と礼音は話す。


「賛成よ。よくしてくれる人とは仲良くしておきたいもの!」


 エヴァは笑顔で賛成し、彼らは地球に戻るため【ゲート】を通過した。



「いいんですか、ギルドマスター?」


 礼音たちが出て行ってしばらく経つと、男性職員がシュオに問いかける。


「【宝蛇殺し】殿はおそらく【スペリオル】です。最低でも英雄レベルは確実です。相当な戦力になると思うんですが」


 不満は小さいが、どうして協力を求めないのかという疑問でいっぱいだった。


「本人が望まないことを要求して、拠点を移されるほうが我々にとって損失になるからだ。彼ほどの逸材ならほしがる都市、国は【アルカン】中にある」


 シュオは簡単なことだと説明する。


「それはそうですが」


 と男性職員がしぶしぶ答えた。


「長年の懸念だったトレジャースネークはすでに討伐されたのだ。レオン殿にな。ならば対処のしようがあるというものさ」


 シュオは部下をはげますように笑い、肩をすこし強めに叩く。



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