表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/45

スペリオル

 緊張感がないなと思いながら、礼音はエヴァをいつもの森林へと連れてきた。


「ここにトレジャースネークがいたんだよ」


 と彼は説明する。


「へー! ここが! 大きいところね!」


 彼女はとても楽しそうに答えた。

 このような反応をしてくれるなら、彼としてもうれしい。


「今日は落ちてる素材を集めながら、何か異変が起こっていないか調査をしたいと思うんだけど、それでいいかな?」


「もちろん!」


 礼音の確認にエヴァは笑顔で即答する。

 彼女はとても物わかりがよい。


 まるで彼と一緒にいられるなら、何でもいいというように。

 森林の中を歩いているとエヴァは上機嫌で鼻歌を歌う。


「楽しいかい?」


 と礼音は聞く。


「ええ。もともとはハイキングが趣味だったから! またできるようになってうれしいわ! あなたのおかげよ、レオン」


 エヴァは彼を見上げながら答える。


「そうか。よかった」


 と彼は言った。


 病気から快復できた喜びが彼女の全身から放たれているので、ハイキングのつもりじゃ困るとは言いづらい。


(すこしくらい謳歌したっていいよな)


 と彼は思う。


 単にハイキング感覚で楽しんだとしても、誰かの迷惑になるわけじゃないのだから。


「じゃあ今日は森林のハイキングを楽しむついで、というのはどうだろう?」


 と彼は提案する。


「素敵ね!」


 エヴァは目を輝かせたが、


「でもいいのかしら? レオンのお仕事の邪魔じゃない?」


 とすぐに心配そうになった。


「大丈夫だよ。やることは同じなんだから」


 と礼音が微笑んで答えると、彼女はホッとする。


「よかったわ。あなたの邪魔はしたくないもの」


 エヴァなりに思うところがあるようだ。


「集めていくものを鑑定したり、調合してくれればいいんだ。決して邪魔になったりしないよ」


 と礼音は優しく彼女に言う。


「なら安心です」


 エヴァはホッとする。

 一方で礼音は彼女に関する認識を改めた。


 明るく無邪気な性格をしているが、決してそれだけじゃない。


「むしろ俺のほうがエヴァの足手まといになるかもしれないね」


 と言うと、


「ヤダ! そんなわけないわ! レオン、レベル50でしょ? 【スペリオル】じゃない!」


 とエヴァが笑う。


「スペリオル?」


 初めて聞く単語に礼音は首をかしげる。


「レベル50を超えてる人のことよ! 国にせいぜい数人しかいない、とんでもなくすごい領域の人のこと!」


 とエヴァは説明してくれた。


「そんなカテゴリーがあったのか」


 知らなかったと礼音は目を丸くする。

 トレジャースネークを倒しても、彼はレベルをシュオに伝えていない。


 だから知らされなかったのかと彼は思う。


「ええ」


 と言ったエヴァが首をかしげる。


「都市の人たちなら知ってるはずだけど……伝え忘れかしら?」


「かもしれないな」


 礼音はうなずく。

 あるいは彼が知らないと思っていないのかもしれないという可能性も思いついた。


「まあ安全第一に行くけど」


 と礼音は方針を変えないと彼女に言う。

 エヴァは不満はないらしく、こくこくと首を縦にふる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ