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同じ

 都市の外に出たところで、


「俺のスキルがエヴァにも効果が及ぶのか、試してみてもいいかな?」


 と礼音は相談する。


「ええ、もちろんよ!」

 

 エヴァが笑顔で快諾したので、彼はスキルを発動させた。


 数十センチほど離れた位置にいる彼女にも効果があるのかたしかめるため、通りがかった小動物を利用する。


「わぁ! 可愛い!」


 とエヴァが歓声をあげた。

 茶色いリスのような小動物は彼らに気づかず通りすぎる。


「気づかれなかったね」


「そうね、ワタシの声が聞こえなかったみたい! すごいわ! これがレオンのスキルなのね!」


 とエヴァは尊敬のまなざしを彼に向けた。


「いやーそれほどでも」


 美の女神にも劣らないような美少女に褒められ、彼は照れてしまう。


「日本人は謙虚でクールね」


 とエヴァは称賛を重ねる。


「あなたのスキルだと、さっきの生き物を鑑定できたりするのかな?」


 いつまでも照れていられないと、礼音は彼女に聞く。


「ええ。いまのは『ローデンシ』というモンスターみたいね。可愛かったわ!」


 とエヴァは答える。


「モンスターだったのか」


 てっきり普通の動物だと思っていたと礼音は目を丸くした。


「ワタシたちに区別は難しいわよね!」


 彼の驚きにエヴァは共感する。


「そうなんだけど、エヴァがいるとわかるようになるね」


「ええ! がんばって力になるわ!」

 

 とエヴァは張り切って言う。


「頼りにさせてもらうよ」


 と礼音は応じて、


「ひょっとして動物は好き?」


 エヴァに問いかける。

 彼女はローデンシが駆けていく方角を目で追っていたからだ。


「ええ、とても好きよ! 病気のときは飼わせてもらえなかったから、悲しかったわ!」


 彼女はすこし表情をくもらせて返答する。


「健康になったんなら飼えるんじゃないか?」


 と礼音は聞く。


「いまはまだ無理ね。ホテル暮らしでペット禁止だから」


 とエヴァは言う。


「ホテル暮らしなのか……いや、できるんだろうな」


 礼音は目を丸くしたが、すぐに納得する。

 ひとり一泊10万する高級ホテルでも、リチャードなら屁でもないだろう。


「だからワタシとしてはあなたとチームを組んでもらって、あなたの法人に入れてもらって、おじい様に拠点を用意してもらって、何かペットを飼いたいわ」


 とエヴァは説明する。


「えっ? ちょっと待ってくれないか」


 礼音は混乱して待ったをかけた。


「どうしたの?」


 エヴァは不思議そうに首をかしげ、青い宝石のような瞳を彼に向ける。


「他の点はともかく、どうして俺の法人に入る必要があるんだ? 自分で立ち上げるか、リチャードさんの会社に入れてもらえばいいじゃないか?」


 と礼音は聞いた。

 

「同じチームを組むなら、同じ法人にしたほうが会計が明瞭で面倒はすくないって、おじい様が言っていたの」


 エヴァが即答する。


「そういうものなのか……?」


 礼音は納得できず首をかしげた。


 だが、リチャードは大富豪で会社のことや税金のことについて、彼よりもはるかに詳しいだろう。


「リチャードさんが言うなら、たぶんそうなんだろう」


「ええ、おじい様はとても頼りになる方よ!」


 エヴァが笑顔で同調したので、ひとまず彼は受け入れる。



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