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エヴァのステータス

「これからチームを組んでもらうのだから、お前のステータスをレオンに見せなさい」


 とリチャードが孫娘に言う。 


「あっ、そうね!」


 とエヴァは言って【ゲート】パスポートをテーブルの上に乗せる。

 ふたりが見ていいというのだからと礼音は手に取った。


【エヴァ・アビゲイル・ベジョツ レベル20】

【スキル:鑑定調合、学習】


 数字を見て、


「えっ!?」


 ぎょっとした声を出してしまう。

 

(レベル20超えてて、しかもスキルがふたつ!?)


 病み上がりでリハビリを終えたばかりの少女とは思えないステータスだ。


「私も最初見たときは驚いたよ」


 とリチャードが彼に共感する。


「スキルとはそんな簡単に発現するものでもないらしいのに、この子はふたつも持っているのだから」


「同感ですね」


 と礼音は答えた。


「足手まといにはならないと思うのだが、どうだろうか?」


「ならないですね」


 リチャードの質問に彼は即答する。


「それどころか【鑑定調合】スキルを持ってるなら、助かる場面が大いにありそうです」


 と補足説明を加えた。


「ならよかった。あなたの役に立たないのに、押し付けるのは問題だからな」


 リチャードはほっと息を吐き出すが、表情は複雑である。

 エヴァのワガママを止める理由が消えたと思っているのかもしれない。


「レオンのステータスを見てもいいかしら?」


 とエヴァが好奇心を隠さず聞く。


「べつにいいけど」


 リチャードとエヴァならかまわないと礼音は思い、自分のカードを出す。


「えっ!?」


「レベル50!?」


 エヴァもリチャードも驚愕する。


「レベル30を超えたら熟練者、レベル40を超えたら一流という話を聞いたのだが」


 というリチャードの表情には困惑もふくまれていた。

 

「すごい! スキルがふたつもある! ワタシだけじゃなかったのね!」


 とエヴァは尊敬の念をもって礼音を見つめる。


「【ヌーカ】を持ち帰れたくらいだからすごいのだろうとは思っていたが、私の見立ては甘かったようだ」


 と言ってリチャードは帽子を脱ぐような仕草をした。


「調べたついでに聞くが、あなたは欲はないのかな? 家を建てたいとか、駅の近くに住みたいとか」


 そして彼は青い瞳で礼音を見る。


「あるんですけど、手続きが面倒でサボっているんですよ」


 と礼音は照れ笑いを浮かべて答えた。

 引っ越しは一度だけやったことあるのだが、あれは面倒だった。


「なるほど。面倒でなければやってみたいことはあるかな?」


 とリチャードが聞く。

 軽い雑談なのだろうと礼音は思ったので、


「ありますよ。もっと広い駅前に引っ越せば【ゲート】に行くのも便利ですしね。美味い店の食べ歩きとかもしてみたいです」


 と答える。

 実のところ面倒さが勝っているだけで、やってみたいことは多い。


「ふむ。では私が面倒な部分を肩代わりできると言えばどうする?」


「??? そんなことができるんですか?」


 リチャードの申し出に礼音は首をひねった。


「本人証明やら確認やら、いろいろと必要になりそうですが」


「さすがに本人のサインが必要なものは無理だが、それさえあれば代行できるものはすべて私の手配で解決できるはずだ」


 とリチャードは自信ありそうに言う。


「まあサインとあとハンコ押すだけで、それ以外やらなくてもいいなら……」


 かなり楽ができると礼音は前向きに答える。


「では決まりだな。準備をはじめよう。さすがにあなたたちが明日【アルカン】に行くまでにすまないだろうが」


 というリチャードの言葉を、礼音は冗談だと思って笑う。

 このあと彼らはメッセージアプリでつながって別れた。

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