表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/45

レベル50はレベル1より強い

「レベル50はレベル1より強いはずだしな」


 と礼音はつぶやく。

 ただし、もとが鍛えていない身なので、期待しすぎないほうがいいとも思う。


 つまりモンスターとの戦闘はあまり期待できないのだ。

 

(じゃあどうすればいいのか?)


 すこし考えた結果、彼はやはり石を投げることを選ぶ。

 と言っても小石じゃなく、もっと大きなものを。


 手のひらサイズの石よりももっと大きなもの、と思ったが近くには見当たらなかった。


「そりゃそうか。ここ都市リーメからそんな離れてないもんな」


 日本の都会ほど手入れが行き届いてないと言っても、さすがに都市の近くで成人男性が持ち上げられるそうにないサイズの石は転がっていない。


「森林に行ってみるかなー」


 都市リーメから日帰りでも行ける森林に彼は足を運ぶ。

 めぼしい石を探してみるが、なかなか見つからない。


「いっそほかにも武器を探してみるかな?」


 時間がもったいないのでめぼしい木の葉や木の実を拾って特上収納袋に入れていく。


「……発想を変えてみるか? 何も石にこだわらなくていいよな」


 手ごろなものが見つからないので、礼音は持てそうなものなら何でもいいだろうと考えはじめる。


 次の候補は木だ。

 木だって堅いものはあるし、大きな丸太で殴れば打撃になる。


「どれくらいなら持てるかだけど」


 まず礼音は自分の肩幅くらい幹が太い木を抜いてみた。


「……あっさり抜けたな」


 まさか簡単に成功すると思っていなかったので、どうするか困ってしまう。


「どっかに殴れるモンスターいないかな?」


 スキルを発動させている彼のところには、どんな生き物も寄ってこない。


「てことはスキルを一回解除して見つけてもらうのもありか?」


 礼音が見て回っているかぎり、この森林に大物モンスターはすくない。

 多少ならリスクを冒しても平気だろう。


「よし、やってみるか」


 礼音は深呼吸を一回やってからスキルを解除する。

 すこし待てば一頭のキツネのようなモンスターが姿を見せた。


 頭からは角が生えているし、サーベルタイガーのような牙もある。

 濁った灰色の瞳で彼を見てグルルルルと威嚇のうなり声をあげた。


「なるほど。スキル発動」


 礼音がスキルを発動させたとたん、モンスターは彼を見失う。

 困惑し鼻を動かし、きょろきょろと周囲を見回す。


 彼がゆっくりと歩いてもやはり見失ったままだ。


「一度発動させたら音も匂いもわかんなくなるんだな、これ。やっぱりメチャクチャ便利じゃん」

 

 と礼音は改めてスキルのすごさを確信する。

 そして抱えた木を勢いよくモンスターの頭上に振り下ろす。


「ギャンっ」


 モンスターは悲鳴をあげて昏倒する。

 礼音は念のためもう一度攻撃を加えてとどめを刺した。


 それから【ゲート】パスポートを確認するが、レベルに変化はない。


「まあパワーは確実にあがってるってわかっただけでよしとするか」

 

 とつぶやく。

 本来の礼音ではこの長くて大きな木を二度も振りかぶるなど、できるはずがない。


 レベルがあがったおかげだと断言できる。


「一応戦い方次第じゃモンスターに勝てるってわかっただけでも収穫だな」


 モンスターの死体処理なんて彼は知らないので、とりあえず丸ごと特上収納袋に入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ