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プロローグ

思いついたので始めました。あまり期待はしないで下さい。

「それじゃあ、お先に失礼しまーす」


会社の先輩にそう挨拶して、俺は後にした。俺はファッション関係の会社でイベントの告知から会場の手配・設営、小道具などの手配そしてイベント進行など幅広い業務をこなしている。残業なんて当たり前で数日間家に帰れないなんてよくある話。もはやブラック企業と言えるだろう。。


そんな会社に就職して三年。今日は珍しく仕事が早く終わった。と言っても定時からは、二時間以上遅いんだけどね。

わーい、ちくしょう。


でも明日は休みだ。嬉しい、超嬉しい。ブクマしてるネット小説を読み耽るのだ。俺の休みの過ごし方はもっぱらそれだ。無論上司からの緊急呼び出しが無いように、スマホの電源も切る。今からワクワクが止まらない。


はぁー、嬉しい。……いかんな、休みや早く帰れるくらいで嬉しいだなんて。ああ、嫌だなぁ。仕事辞めたい。でも、辞めたとしても、今よりもマシな職場環境になるとは限らないしなぁ。


同期の子が今の会社に嫌気がさして辞めて、いざ再就職したら、更にブラックな企業に就職したという実例を見ているため、どうしても辞めることに気後れしてしまう。


でも、続けていればもしかしたら今よりも職場環境が良くなるかもとか思っている俺は生粋の社畜なのだろう。まあ、いいか。とりあえず帰ろう。車を走らせて帰路につく。自宅までは車で三十分だ。郊外にあるボロアパートで、両親は既に他界。気ままな独身暮らしだ。


外はすっかり暗くなっていた。気を付けて運転しないと。疲れて気を抜いて、人でも轢いたら洒落にならん。まあ、この辺は車がほとんど通らないから事故なんてまずないけど。


ああ、でも眠い。ヤバい、帰ったら直ぐに寝ちゃいそうだ。駄目だ、せめて更新チェックだけでもしておかないと……。と、そんなうつらうつら運転していたのがいけなかったんだろう。


ドン!!


何かにぶつかる音がした。


「へ……え?」


 一瞬、何が起こったのか分からなくなった。いや、きっと頭が理解するのを拒絶しているんだ。だって、今の音はどう考えても―――。


「ひ、轢いた……?え、嘘?」


何だ?何を轢いた?ど、動物だよな?犬とか猫。頼む、動物であってくれ。いや、だとしてもかなり気分は悪いが、それでも人であってほしくない。人生終わる。俺は車を急停止させて降りる。車のランプが照らす中、そこに倒れていたのは―――。


「……犬?いや……」


犬にしては妙に大きい気がする。人くらいの大きさがあるぞ。それになんだ?毛並みも野性味が溢れてるし、どう見たって日本の犬じゃない。オオカミ?いや、それよりも大きい。もしかして、外国産の品種か?この辺りでこんなの飼える金持ちなんて居たっけ?


ああ、でも人じゃなくて良かったー。

いや、でもこれはこれで問題だな。飼い主に見つかったら何を言われるか分からん。

慰謝料を請求されるかもしれん。ちらりと周囲を見る。うん、誰もいない。……今の内に逃げちゃおうかな?ヤバい、これが轢き逃げ犯の心境か。


「―――ハッ……ハッ」


「うぇふ!?」


びっくりして変な声が出た。い、生きてる?倒れた犬の方を見ると、かすかだが動いている。ど、どうしよう?


ペット病院……に連れていった方が良いのかな?でもなんて説明しよう。と、とりあえずどんな傷か見てみよう。倒れてる犬に近づく。うぉ、凄い迫力。口から血を吐き出してる。あと、なんか体が変な感じに曲がってる。どう見たって、助からないだろコレ・・。あ、首輪が無い。やっぱ野良か……?


「す、すまん!つい、ぼーっとして気が抜けてたんだ。本当にすまん……」


謝ったところで何になるというのか。


「―――ハッ、ハッ……」


犬は震える眼で俺を見た。俺を責めているのだろうか?俺は無意識のうちに、犬に触れていた。




「ゴメンな……本当にゴメン……」


俺がそう言うと、犬はゆっくりと目を閉じた。





―――死んだ。



「はぁー……」




何とも言えない感覚だ。ホント、どうしよう?とりあえず、野良ならどっかに埋めてやった方が良いのか?それとも保健所とかに連絡した方が―――。




≪―――経験値を獲得しました。ミヤザワ ヨウスケのLVが1に上がりました≫


「……は?」


何だ、今の声?


≪―――カオス・フロンティアのモンスター討伐を確認≫


≪ファースト・サブジゲーションボーナスが与えられます≫


≪スキル『早熟』を獲得しました≫


また聞こえた。機械の合成音声の様な声音。


「だ、誰ですか?」


辺りを見回すが、誰もいない。幻聴?いやいや、冗談だろ。あんなはっきり聞こえるなんて……。それに今の声。


「……なんか、ゲームのアナウンスみたいな……」


いや、まさかな……。ヤバいな。大分、気が動転してるみたいだ。ともかく、今はこの犬を―――って、あれ?


無い。犬の死体が―――消えてる。まるで最初からそこに何もなかったかのように、犬の死体が忽然と姿を消していた。


「え、お……あれ?」


ど、どゆこと?まさか幻でも見てたのか?いやいや、そんな馬鹿な。


「……ん?」


犬の死体があった場所。そこにビー玉くらいの紫色の石が転がっていた。


「なんだ、これ?」


日本じゃありえないようなデカい犬。犬が死んだと同時に流れたゲームの様なアナウンス。そして、犬の死体があった場所に在った石。


「ドロップアイテムってか?……はは、なに言ってんだ俺」


仕事のしすぎで頭がおかしくなっちまったのか?

そうだ、きっとあんまりにも忙しすぎて、脳が幻覚を見せちまったんだ。きっと、そうだ。


「最初から犬なんていなかった。俺は何も轢いていなかった」


うん、そうだ、そうに違いない。


「……帰ろう。ああ、眠い……」



俺は紫色の石をポケットに入れ、再び車を走らせた。やっぱ、今日はそのまま寝よう。それが良い。


だが―――これが夢でも幻でもない紛れもない現実であるという事を、この後俺は知る事になる。



この時、世界に何が起こっていたのか。この時、俺の身に何が起こっていたのか。

この時の俺は知る由もなかったのである。



【スキル:早熟】

二つの世界が融合した新たな世界で、一番最初に魔物を殺した人間に与えられるスキル。経験値を得る際に莫大な補正がかかる。人を惹きつけ、運命に導かれ、やがて英雄と呼ばれる存在になるだろう。

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