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天界

 世界の終わりと言ったらどんな光景を思い浮かべるだろう。荒れ果てた土地や轟音鳴り響く世界に無数の天災、星の消滅、考えれば無数に挙げられる。それは誰も本当の世界の終わりを見た事が無いからだ。僕なら世界の終わりをこう表現するだろう。


──目の前の光景だ


「これがへレアか……」


 そう呟くヘルメスの眼前には女神へレアと反逆者たちが今にもこの天界を壊そうとする勢いで戦闘を行っている。天界の白銀のような白い世界にバニティーの放つ多種多様な魔法がスカルは私兵なのか大数の兵士を指揮し近接で特攻をさせる、近接戦闘ではシートスが激しい剣戟を食らわせ、元女神の方のへレアはバニティーの横に並び見た事も無い極大魔法を放つ。


「とても勝てる相手には思えない」

「いやーほんとにそうですね。僕たちはここで見る事しか出来ない」


 ヘルメスは今、トランスと共に何も遮蔽物の無い天界にてへレアから隠れていた。


「いつまで君はここに居るんだい?他の人は戦ってるのにさ」

「いやー僕は戦闘には向きませんからね。それに今ヘルメス君から離れてしまうと僕の位置が女神にバレてしまいます」


 ヘルメスは天界に来る時からずっとトランスと共に行動していた。常に剣島流奥義を使い狭間の中で誰にも認識される事無く。この行動の真意を問うてもトランスは


「いやー最後に僕も役に立ちますよ」


 と内容をはぐらかしここまで来た。トランスが何をするか見当も付かない。


「それなら良いんだけど。僕の邪魔だけはしないでくれよ。チャンスは一瞬しか無い。一撃で決めなきゃいけないのは事実だったらしいしね」

「ですね。アレを見るのは初めてなんですけどボスが言っていた意味が分かります。一市民じゃ勝ち目が無い。それこそボスやへレア様じゃないとですが、あの二人じゃトドメを指せない。いやーヘルメス君が居てくれて良かったですよ」

「僕だって勝てるかどうかは分からないよ。今、この状態を保つのもかなり神経を使ってるんだ。恐らく一度切りを逃せばもう一度奥義は使えない。まぁ、使わせても貰えないだろうけどね」


 剣島流奥義は一対一でのみでしか使えないものだ。対象の相手の認識から消えその隙に攻撃をする。説明では簡単に出来るがこれが想像以上に難しい。それを十数年と数カ月の修業で身に付けたヘルメスは天才である。


「おい、これマジで勝ち目ねえな!どうするヘレア!」

「ハハッ。耐えるしかねぇだろ。私がすげぇ魔法ぶち込んでやるから頑張れや」


 その会話を聞いてへレアは不思議そうに首を傾げる。


「私に今更、魔法が効くとでも……?耄碌しましたね。元女神にデュース……」

「俺の名前はシートスだ。その名で呼ぶな。デュースはあの時女神と共に死んだ」

「それはそれは。まぁ、呼び名などどうでもいいです。あなた達はもう死ぬのですから。前回の様に逃がしはしません。禍根は残さないのが私の主義なので」


 女神へレアは会話をしながらも無数の攻撃を捌き、その身体に傷を付ける事はシートスでさえ敵わない。物量でも技術でも敵わない相手。これが神、人族では敵わない領域。この時ヘルメスは聖人まで位を昇り詰めていたがそれでも女神には届かないと実感していた。


「いやー人間じゃないですね。元はボスの仲間だと言うのに完全に別物です。ボスだって天使を越えてるんですけどね。制約が無ければ殺せたのでしょうか」

「……神の使いか」

「ええ、厄介極まりないですよ。僕らじゃ実力不足。実力がある者は等しく殺せない。これが無敵と言う奴なんでしょうね」

「そうだね……」


 戦いも徐々に苛烈になっていきスカルの用意していた兵士たちもその数を大きく減らしていた。ただの一般兵とは言え、へレアの手数を減らす事には成功していた様で数を減らした今、均衡を保っていた戦況は覆りそうになっていた。


「へレア、私もうそろそろ魔力が尽きるわ」

「ハハッ。私も時機に無くなるだろうな。だが、そろそろ行けそうだぜ」

「……本当に魔法如きで神を殺せるとでも?どうも怪しいですね」


 潜伏しているヘルメスは状況からもうここらが限度だと感じていた。そもそも反逆者たちが戦っているのは陽動でしかない。今は気付かれていない様に思えるがいい加減、本気の殺意が無い事に気付かれてしまえば作戦が破綻し掛けない。そうなる前にどうにかして合図を送ろうと考えていると戦況が大きく動いた。


「シートス!準備完了だ!離れろ!!」


 元女神へレアの声に従いシートスはへレアの頭上から重い一撃を食らわせ、その勢いで上へと跳躍する。元女神へレアの極大魔法は時の魔法。見た目はただの黒い球体。だが正体は球体の中の時間は入り乱れている。もしこれを食らってしまえば球体の中で自らの身体は乱れた時に身を蝕まれ破壊される。

 黒色の魔法の球体はへレアの元へと向かいスカルの従える兵士たちもろとも巻き込み着弾した。暫くの沈黙の後、球体は霧散し中からは見るに堪えない姿となった兵士と無傷のまま立ち尽くすヘレア、そしてそのヘレアの前に反逆者幹部が一人レストが静かに佇んでいた。












サブタイはセンス必要ですよね。。

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