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そういう事だろう

 シートスが返って来なくなっても修業は欠かせず続けた。塔へと外壁を上り他の仲間の帰りを待った日もあった。それでも帰りは無く一時期は裏切られたと絶望した日もあった。それでも行く当ての無いヘルメスはひたすら刀を振り修業を続けた。幸いこの場所は自然が多く残っており人気も全く無い事から静かに暮らしていくには最適の場所であった。ヘルメスに目的が無ければここで一人静かに暮らしていく道もあったかも知れない。かつて師として親として暮らしたお爺さんのように。それでもそうならなかったのは偏にシーフともう一度話がしたい。その一心からであった。

 結果としてヘルメスは裏切られた訳では無かった。シートスが居なくなってから数カ月後反逆者の塔に彼らは一堂に会する。それぞれに多大な傷を負った姿で現れた。


「おう、お前。ずっとここに居たのか?逃げ出すと思ってたぜ」

「おにーさん僕たちの事好きになっちゃったのかなぁ?」


 口々に反逆者の塔にずっと居たヘルメスに感想を述べるがそれどころでは無い。皆、笑って話せるような状態では無かった。シートスにはその顔に一筋の生傷が、スカルに関してはいつも付けていた白い仮面を外しバニティーに身体を支えて貰わなければ立てない様な状態であった。それでもそれを感じさせない態度にヘルメスは戸惑いを感じずには居られなかった。


「一体……どうしたんだい。ただ事じゃ無いだろう。その傷は」

「貴方には関係ない事だわ」


 冷たく突き放すように話し掛けるのはバニティー。その姿を見たのはスカルと同様暫くぶりであった。それを言い出せば全員そうなのだが。


「何で僕を連れて行かなかったんだい。これでも僕は実力がある方だと思うんだけどな。君たちがそれ程になる相手だったなら猶更僕を連れて行かなかった理由が分からない」

「お前、まだんな事言ってんのか?頭冷やせっつったろが」

「貴方がちゃんと教えないからよ」

「そうだねぇ。これはボスのミスだ」

「ん?誰だ。私の居ない間に知らねえ奴が一杯だなあ!」


 一人知らない人が居る。その女性らしからぬ口調。否、少女らしからぬ言葉遣いのその人にヘルメスは会った事が無かった。ここに今居るのはシートス、スカル、バニティー、トランス、レストそれに見知らぬ少女だけであった。実際の構成員はこれ以上に存在しここに居る彼らは幹部クラスという立ち位置に居る。ヘルメスは協力者という立ち位置の中、幹部と行動する事は多くその全員と顔を合わせている筈であった。となるとこの少女は新幹部なのだろうか。それにしては幼すぎる気が──


「おいシートス、お前誰だ?こいつは」

「期待の新人だよ」

「お?じゃああれか神に王手を決める役に選ばれたってのはこいつか。ハハッ。随分とひょろいんじゃねーんか」


 鈍く光る黒く長い髪を腰まで伸ばした少女は乱暴な口調で話を進める。シートスに対する態度からしても古参なのだろうか。謎は深まり答えは出ない。それを聞こうにも少女から発せられるある種の圧に屈し言葉が出ない。


「おいおい、そんな委縮して大丈夫なのか?ハハッ」

「あんまビビらせんなよ。俺らにとっちゃ大事な切り札だ。へレアだってそうだろう?」


 へレア……シートスは少女をへレアと呼んだ。それは畏れ多くもこの世界の女神と同じ名。暗黙の了解としてこの世界ではへレアの名を冠する者は何人も居ない。それは神を崇拝し畏敬の念を抱くから。それは神を崇拝する者に余計な刺激を与えない為。この様な理由からこの世界に女神と同一の名を持つ者は居ない。

 となるとこの少女は一体──


「不思議か?だよな!シートス、お前の秘密主義の弊害じゃねーか。ハハッ。困ったもんだよなぁ。三百年前からこれなんだわ」

「……」


 少女、女神と同じ名を持つヘレアという少女は今何と言った。三百年前そう言った。地上に魔族という種族が跋扈しこの国では属性の加護を持たざる者が未だ迫害を受けていた時代。その時代から生きているとでも言うのだろうか。


「ハハッ。生きてるぜ。死んだようにずっとな」

「──ぇ」

「そう驚くなよ。別に頭ん中覗いた訳じゃねえさ。ヘルメス、お前は顔に出すぎだ」


 可憐な少女の姿形をした者がこのような口調で話す事だけで衝撃なのにそれ以外の事でもヘレアと呼ばれる少女に翻弄される。頭の整理が儘ならない中、会話の流れは止まらない。


「シートス、もういいだろ。王国も転覆させて私も封印から解かれた。これで後する事なんかあるか?」

「ああ、そうだな。そろそろ大詰めだ。スカル、準備できてるのか」

「僕はいつでもいいよぉ。もしもの時は待機させてる。ここまで来れたのは十三回目らしいからさぁ。頑張ろうね、おにーさん」

「ちょ、ちょっと待ってくれよ‼」


 ヘルメスに取ってこれ程大きな声を出すのは久しぶりの出来事であった。それ程までに自分の頭で理解できる範疇を越えていた。それでも辛うじて出てきた言葉は話の流れを止める為の静止の言葉であった。


すみません。こちらのミスで途中までで投稿してしまいました。

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