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トランス

屋敷から抜け出す事は拍子抜けするぐらい簡単に終わった。

スカルの持つ天啓:統率によっていとも簡単に行われた。

裏口の警備に当たっていた衛兵は3人その3人を天啓で籠絡し屋敷を抜け出す。


「はぁ、まぁ大丈夫かねぇ」


「何をそんなに心配してるんだい?」


だんまりを決め込み口を開かないエリッシュの代わりにヘルメスがスカルの相手をする。


「僕ってさぁ指名手配されてるだろ?まぁだからある程度天啓とか把握されてるんだけど今回使ったのは初めてでさぁ。だから躊躇ってたんだよねぇ」


「天啓が把握されるのかい?そんな事可能なのかな」


「僕の場合はそうだねぇ。大々的に使った事があったからねぇ。まぁバレた所で簡単に捕まらないし殺されないけどねぇ」


そう自慢げにスカルは語る。

そこから3人は転移術式が彫られている場所にたどり着き反逆者の塔へと帰還する。

真っ暗な塔には誰も居らず3人だけとなってしまう。

エリッシュは無言のまま他の転移術式の描かれた所へ行き転移して消えてしまう。

残された二人も特にする事も無い為解散となりスカルは転移術式でどこか別の場所へ行きヘルメスはその場に座り眠りに付いた。

次の日起きると見知らぬ男がヘルメスの顔の上を跨ぎ見下ろしていた。


「いやー貴方がヘルメス君ですね。シートスさんから聞いていたんですけどカッコいい顔してるじゃあないですか。いえいえ不審者じゃあ無いですよ?貴方から言いますと協力者ってところですかねぇ」


「取り合えず僕の上から退いて貰えるかな」


そう未だに退かない男に向けて言い放つ。

ヘルメスは得体の知れない自分の上を跨ぐ男が誰だか黙考するが正体は分からない。

状況的に考えると会った事の無い反逆者たちの仲間だろうか。


「いやー冷静ですね。私としてはもう少し驚いて貰っても良かったんですけどねー。ええ、分かりましたよ。私の自己紹介ですね。私はトランス、どこにでも居ましたしどこにでも居ます。よろしくお願いしますねヘルメス君」


自己完結で話を進める男に圧倒されながらもヘルメスもやっと立ち上がりその男が自分より身長が高い事に気付く。

ヘルメスもある程度身長があると自負しているがそれよりも大きいとなるとこの世界でもかなりの高身長に入るだろう。


「それでトランスさん……でいいのかな。ここにやって来たって事は今度の僕の付き添い人は君って事かな?」


「トランスでいいですよ。僕はヘルメス君って呼びますね。まぁ既に呼んでるんですけどねー。それでヘルメス君私は君の付き添い人とかでは無いですよ。私たちのボスに用があっただけなんですがお戻りじゃない様子ですね。ここで待ちますか」


トランスは石造りの椅子へと歩み寄り席に着く。


「ヘルメス君も座ったらどうですか。暫く来ないと思いますよ」


その声に促され真正面の席に着席する。


「僕が座ってもいいのかい?これは反逆者の人数分なんだろ?」」


「いやー良く気付きましたね。まぁその通りですが全員揃う事なんて無いですからね。気にしないでいいですよ。今後揃うとしたら最後でしょうしね」


「最後か。君たちの言う目標というものだね。僕には教えてくれない極秘のさ」


ヘルメスは円卓状の机に肘を突き不貞腐れた声を出す。

トランスはハハハと笑い


「それはヘルメス君の立場のせいですよねー。協力者なんて曖昧な位置じゃなくて仲間になればいいんですよ。その方が楽だと思うんですけどね」


「そこはね、僕にも譲れない事があるんだよ。君たちとずっといる気は無いしね。シーフ君が生き返ったら手を切る予定だしね」


ヘルメスの発言のどこが面白かったのかトランスは今日一の笑い声を上げ手を叩く。


「いやーいい度胸ですねー。私たちの前で堂々と発言するなんてなかなか出来ませんよ。まぁ私には勝てるでしょうがね。そこの人には勝てないでしょう」


トランスはヘルメスの後ろを指差しそんな事を言う。

ヘルメスは何の事かと後ろを振り返ると転移術式から2人の反逆者メンバーが転移をしこの塔へとやって来たところであった。

一人は見知らぬ顔、もう一人はシートス、この反逆者たちのボスであった。


「いいじゃねえか。威勢がいいのは大歓迎だ。それに目的が達成されるまでは協力関係なのは変わらねえ。それで構わねえ」


「らしいよトランス。だから僕はこの立ち位置を変える気は無いよ」


その態度にトランスは拍手をし口笛を吹く。


「いやー言いますね。胆が据わってると言いますか、私たちに慣れてしまっていると言いますか。まぁいいですね。今度ご一緒する時は良しなに」


そう言うとトランスはシートスの横に居る男と共に転移術式の元へと向かいそのまま転移して消えてしまった。


「今のは……」


「ああ?レストだよ。まだ会った事無かったか。あいつは、あーいやいい。どうせ組む事もねえだろ。気にすんなや。それでお前何してんだ?」


「次の仕事を待って──」


ヘルメスが発言するのに被せてシートスが食い気味に話し始める。


「仕事なんてねえぞ?それ待ってんなら無駄足だったな」


「じゃあ何すれば……」


シートスは頭を雑に掻いて思案を始める。

暫く考えた後思いついたと言わんばかりに立ち上がり転移術式に歩みより切り返し再び戻って来る。


「忘れてたんだが俺使えねえんだよ」


「……?」


「いや見りゃ分かんだろ。転移術式が使えねえんだよ」


ヘルメスはシートスの発言に僕も同じだなと呑気な事を考えていたがふと気づいてしまう。

ここから脱出する事が出来ない事を。


改稿作業をする為10月中は更新できないかもです。

すみません……

毎日投稿が終わってしまいました……

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