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任命の対価

「て事があってさー。大変だったんだよーご主人」


カウンター席に座り目の前に居るズィナミに対しホットミルク片手に愚痴を溢す。


「あたしは主人じゃないよ。全く失礼な奴だね」


その電柱の様な腕を頭に振り下ろされシーフは涙を流す。

シーフ達一行はリンガラへと向かう道すがらテーセラ率いる闇ギルドの一部と交戦した。

結果としてはシーフらの勝利で終えたが闇ギルドの構成員と死亡したテーセラの処理などの為一度シーシュの町へと戻って来る事になった。

今ヘルメスが居ないのはその事後処理を行う為シーシュの詰め所に行っているからだ。


「ほんと女の扱いが分からん奴なのじゃ」


「ガキが何言ってんだか」


シーフが鼻で笑うとエナベルにど突かれ呼吸困難を起こす。

ズィナミも頭を手が抱えやれやれといった様子で周りに味方は居ない。


「だからさ、武器とかちゃんとしたの必要だって話になって今度買いに行く事にしたんだ」


「それは良かったじゃないか」


「それで金が無いんだ」


「またそれかい。宿代は安くはしないよ」


そんなぁとシーフは大袈裟に項垂れ嘆く。

武器というのは存外値を張る。

安い剣でも3日は豪遊できる。

その為どこかで出費を削る必要があり今こうやってズィナミに値切りを行っているのだ。


「そうなのじゃ。みっともないぞシーフ?」


「お前なぁ。お前のせいでこうなってるのが分かってるのか?」


エナベルの頭を小突きながら怒りをぶつける。

シーフがここまで怒るのには理由があった。

それはシーシュの町を出た昨日まで話は遡る。

急な出発な為普段買い出しなどを担当しているヘルメスにはその時間が取れずワーゲンの調整を行っていた。

シーフもヘルメスを手伝いをする為買い出しには行けず、そこで白羽の矢が立ったのがエナベルだった。

エナベルは必要な物を必要なだけ揃えその役をしっかりと全うした、様に見えた。


テーセラとの激戦を終えた帰りヘルメスが移動中、休憩を取ろうとワーゲンを止め食料を漁った時の事である。

食料を保管しておく客車の床下を覗くとそこには臨海の町で無ければ作る事の出来ない珍味や水竜の干物など旅の食料にするなど考えられない程値が張る食料が所狭しと保管されていた。

その場でヘルメスは2人を叩き起こし一体どういう事なのかを問い詰めた。

そこでようやくエナベルの悪行が発覚したのであった。


「思い出しましたか?お嬢様」


嫌味たっぷりでエナベルに質問する。

だがエナベルはどこ吹く風で


「お嬢様と言われたのは久しぶりじゃな」


そう笑って有耶無耶にされてしまう。


本当にこいつは…

全く素性が分からねーし意味分かんねー事ばっか言うし謎が多い奴だな


「それならうちの狩り、漁を手伝うかい?旅に必要な分ぐらいの食料は、食料はいらなかったね」


シーフの死んだ目にズィナミは慌てて訂正する。


「ま、まぁなんだ。普通に日当ぐらい出してやるよ」


「働くのか…」

「嫌なのじゃ…」


「いい加減にしろ」


シーフにとっては今日二度目のげんこつを食らい椅子から倒れ行く中めんどくさいなぁと考えていた。


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