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親愛なるこの世界で  作者: 桜夏光
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才能

変質者だ!

変質者に声をかけられた!どうしよう!


「髪を一つにむすんだ女の子を見なかったか?黄色い服のーーー」


斗真はとっさに少女を助けようと、彼女が去っていった方と逆ーー学校に続く道をさそうとしたところで気がついた。


なんで学校の方にいかなかったんだろう??

そっちの方が確実に助けてもらえるのに、、、そういえば山の上から降りてきて、さらに下に降っていったーー

ということは学校から逃げ出してきた??

なぜ?


斗真の戸惑いを察した男は警戒心を解こうと斗真に目の高さを合わせるようにしゃがみ込んで来た。表情は淡々として眼光は鋭いが、見た目ほど怖い人ではないかもしれないと感じた。


「おれーー私は明桜学園、一学年体育主任の東という、うちの生徒が脱走、、、道に迷ったようなんだが見なかったか?」


男は言葉を選びながらもう一度尋ねる。

どうやら変質者ではないらしい。


春陽と同じ一年生が、わずか一月で飛び出したくなるほど窮屈だったのだろうか?


でもーーひどく怯えた様子だった


それとも、明桜学園は生徒が一人道もないような山林に迷い込むほど広いのかと、疑問を浮かべる。


まず、体育主任って上下ジャージのイメージなんだけど


「いいえ、みてません」


悩んだ結果ーー知らんぷり


この男が本当に明桜の先生か妖しい上に、さっきの少女は誰かに追われてる様子だったし、嘘を教えて男が本当に明桜の先生だったらまずいし、本当のこと教えて変質者だったら少女に申し訳ない。


「そうか」


男ーー東は短く呟くと颯爽と去っていった。




はぁはぁはぁ


ーーまだだ、もっと遠くに離れないと!


茶色の長い髪を一つに結い、揺らしながら猛スピードで山を下っていく。

コンクリートで舗装された、蛇行している車道をいくより、真っ直ぐ山を降りた方が早いと思ったからだ。

急な斜面が続く道無き道は木々や草木が生い茂り、時々アブやら謎の虫やら見かけるがそんなのどうでもいい。


命には代えられないーー


「まさかーーあんな所だったなんてーー」


少女は呟きながらつい1ヶ月前のーー入学式の日を思い出す。

生徒のみという入学式には上級生や教師陣が参列し、質素だが厳かに行われた。


「君たちは選ばれた人間だ」


校長ーー月見里やまなしの第一声がそれだった。


「表向きには無作為となっているが、君たちはある共通点をもっている。それはーー」


彼は声高々に言い放った。


「魔法使いの才能!!」


一瞬で会場はざわつく。

新入生は皆一様に眉をひそめ怪訝な顔をしている。


「君たちの気持ちはわかるーーそこで、百聞は一見にしかずーー」


月見里校長が目で合図を送ると教師陣は一斉に手を掲げた。


彼らの手のひらから赤い魔法陣が浮かび上がる。


次の瞬間、高い天井の体育館内に花火があがった。


ぱーん!という破裂音はするが祭りで見るような大きさではない。ちゃんと室内用?の小さい花火だ。

同時に優しい光の粒手が落ちてきて、手のひらで受け止めると雪のようにすーと消えた。


別の教師が手を掲げると、今度はピンク色の魔法陣が現れ、そこから放たれた無数の光は頭上で弾けて可愛らしい桜の花に変化した。


「手品じゃないの?これ?」

「すごくない?」


誰かが興奮した様子でつぶやいた。

舞い落ちる光と花の幻想的な景色に一同は感嘆の息をもらす。


「ここは魔法使いを育てるがっこうなのです」


感嘆とした様子の生徒達をみて、満足したように月見里校長は言った。




回想も、つかの間突如眼前に影が舞い降りた。


「見つけたぞ、有働朱音(うどうあかね)


名を呼ばれ少女ーー朱音は立ち止まった。


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