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真彩の心残り……最愛の祖父母のこと

 その日の夜、美也子の夫で光太郎と由紀子の息子をはじめとする、二男三女のうち、真彩まあやの母以外の家族は、息急き切って実家に飛び込んだ。

 美也子の電話で慌ててやってきたのだが、母で祖母の由紀子は布団で目を閉じる孫の傍で泣き続け、父の光太郎は大黒柱として、真彩の葬儀をと準備をしているが、目の前で可愛がっていた真彩を亡くしたショックは酷く、青い顔でふらついている。


「親父!」

「あぁ、皆戻ってきたのか……真彩も、喜ぶだろう……」

「じいちゃん。休もう。後は俺たちが何とかする」

「いいや……真彩を……死なせたのは私たちだ、あの時……あの子が……」


 我慢していた涙が頰を伝う。


「じいちゃん!真彩は絶対そんなこと思ってない!」

「そうよ!おじいちゃん!真彩ちゃんはおじいちゃんとおばあちゃんが大好きで、絶対そんな風に思わないわ!」

「疲れたでしょう?お父さん。真彩は私たちが見ているから……ね?」


 祖父母を孫たちがなだめながら奥に連れて行く。

 そして、美也子が真彩の側に、光太郎の子供達を連れて行くと、


「あぁ……真彩」

「本当に良い子で心優しい子ほど……神様は呼ぶって本当なのね」

「あいつの娘とは思えない。本当に、信じられない……」

「自慢で可愛い姪だったのに……」


 瞳を潤ませ嘆く。

 光太郎夫婦の子供達にとって、真彩は可愛い姪だった。

 可愛くて自慢の姪だった。

 真彩を失い、両親がどうなるだろうと心配するほど……。




 突然、乱暴に扉が開かれた。

 近所の人はそんなことはしない。


「おい!うちの娘を殺したのか?」


 建築家と言うより、どこかの警察に捕まってもおかしくないようなナチスドイツ風の格好の真之に、夜会に出席中だったのか妻と娘が品のないドレスで現れ、眉間にしわを寄せる。


「入ってくるな!」

「お前たちは真彩を育児放棄し、虐待し、父たちがもう会うなと約束させた。真彩も納得して引き取られただろう。今更出てくるな!」

「そうだそうだ。お前たちの離婚問題だの、真理亜まりあのスキャンダルでいい迷惑だ。帰ってくれ!」

「私の娘を殺したくせに!人殺し!」

「真彩を虐待していたお前たちが言うな!」


 息子達の手を払い、姿を見せた光太郎は、


「真彩は私の娘だ!お前とはすでに縁を切った!金を要求するなら、それなりの対応はするぞ!出て行け!警察を呼ぶ!」

「何ですって!」

「お前など、この家の者じゃない!二度とくるな!お前たちが借金に苦しんでいるのは知っているぞ!真彩の死で財産をと思っているだろうが、真彩のものは何一つやらん!真彩はワシらの宝だ!」

「そうだそうだ!真彩は可愛い俺たちの妹であり姪だ。出て行け!」


 3人を追い出し、ホッとした光太郎は倒れこむ。


「親父!」

「お父さん!」


 光太郎はうずくまり、涙を流す。


「この家が……この玄関が……真彩の最期の財産になってしまった……真彩……」




 4番目の神は、その様子を見、


「済まん。光太郎……マーヤは返せんのだ……本当に済まん……マーヤを騙した形になってしまったが、あの世界をどうしても救って欲しいのだ」


何度も謝り続けた。


「……お前の娘を守る……だから許してくれ……」

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