表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

5.珍道中

ただの賑やかしです

遥か昔、女神は愛すべき男神の子を産んだ。

その赤子は女神の力を全て奪い生れ落ちた。

力を失った女神は、山々と同化し男神の創り出した国の傍で眠りに落ちた。

力を奪い生まれ落ちた子は、母たる女神と父たる男神に報いるため、神々が創りだした国と人々を未来永劫守る事にした。


それが、贖罪だからと…。



__________________________________________________________



懐かしい。初めて訪れた森にも関わらず、そんな感想をルークは持った。

生まれてから、王都以外に訪れた記憶などない。それにも関わらず、この森に入った辺りからずっと抱えてる感想だった。

そもそも、このまま人形として生きたくないと思い始めたのは何時からだったか。

それまでを次期王として、日々を享受してた。

良き王となる為、全てを受け入れて諦めもしていたのに…。何故いきなりその様な事を思ったのか。そして、自分でも驚く程の行動力で王城を王都から抜け出したのか。

今、1人では無くなり、3人となり、心に余裕が出来たからかそんな風に考えられる様になった。

自分でも驚く程の行動力と思考の変化は、何かが変わったからなのか…それとも、誰かに導かれてるのか、自分でも分からなかった。


ただ、一つ確かなことは、今立っているのは人形としての王子ではなく、1人の人間の男だ。

この森に到達するまでも1人ではなかったのだが、カルロスも話しかけてくる事もなく影として控えてたのだ。

それが今では気軽に話しかけてくる残念な男として共に歩んでる。

身長は高く、均等の取れた筋肉に、垂れ目の優しい瞳はブルーグレー。金色の髪は邪魔にならないよう短く切りそろえている。見目だけなら良い男なのだが、最近は行き過ぎたルーク愛を語る男なのだ。


「しっかし、この森何処までつづいてるんだ?ルーク様と並んで歩けるのはご褒美ですけどね!」


「カルロス気持ち悪い」


「この森は、妖精も多いし見ていて楽しいからピクニックみたいよね」


三者三様の会話にならない会話をしながら、ここ三日程似たような道を歩いている。ソフィの言う通り、妖精も多くピクニックとしてはとても楽しい道中となっている。

だが、今はピクニックではなくこの国から出るために旅をしているのだ。こんなのほほんとした(約一名ははぁはぁしているが)空気でするような旅ではない。本来なら、もっと緊迫しててもおかしくないのだ。

にも関わらず、空気はお花畑。進む歩みは軽い。


「この森抜けたら山登りなんだよね?ふふ楽しみ」


「俺も、ルーク様と手を取り合い登山なんて…ご褒美です!!!」


「カルロス…気持ちわるっ!!!ってか、手を取り合って登山なんかしないからな!!!そもそも、なんでお前はそんな風になったんだよ!顔面詐欺男め!!!」


「ルーク様に顔面褒められた…口元緩むわぁ~…たまらんですね!」


「カルロス、鼻血出てるよ~?」


「ルーク様拭ってください!!!ルーク様を愛しすぎて出てしまいました!!!」


「カルロス、気持ち悪っ!!!」


ギャーギャーと騒ぎながら森を進む一行。あまりの賑やかさに妖精たちも耳を塞ぐ程であった。


その様なやり取りをしながら更に数十日、ようやく鬱蒼とした森から抜け出そうとしていた。

和気藹々と散策をしながら進んでいたからこそ気付けたのかもしれない。森を抜けた先にある山の麓にひっそりとだが荘厳な神殿があるのを。

その神殿は、永き時忘れ去られていたにも関わらず、最近建てられたかの様な真新しさすらあった。だが、その空気は別次元であり、荘厳なる神気に沢山の妖精が集い気持ちよさそうに飛び交っていた。


「ルーク、あれは何の建物かしら?」


「あれは、神殿だと思うけど、俺もこんなところに神殿があるなんて初めて知ったよ。」


「神殿?神殿って神様が居るところ?」


「まぁ、そんな感じ。折角だし、旅の祈願でもしていこうか。ソフィは初めて神殿を見たみたいだし。」

「ルーク様がいかれるのであれば、勿論俺も行きますからね!!!」


ルークはソフィに、神殿に寄って行く事を提案したところ、食い気味にカルロスも賛成してくる。


「さぁソフィ、ザンキモ男は放置して、行こうか!」

「ご褒美です!!!!」


「カルロスは、日に日にルーク愛を前面に押し出してくるね」


「いやソフィ、あれはルーク愛じゃなくて、ただの残念で気持ち悪い変態男だよ。」


ソフィは慣れたもので、カルロスとルークのやり取りを楽しんでいた。かなりの大物である。

傍から見れば、ジャンルが違う見目が良い男二人が不毛な言い争いをしているだけにとても残念なのだが(一部の女性からは黄色い声があがりそうだが)ソフィは楽しいやり取りだとしか思っていないのである。


「カルロスも、今までルークと親しく話せる訳でもなかったから舞い上がってるだけだよ。直ぐに落ち着くと思うよ。だから、ルークも生暖かく見守ってあげようよ」


「ソフィは他人事だから…当事者としては、ただ気持ち悪いだけだから、また影に戻ってもらって構わないんだけどね…」

「今は人目がないんですから、俺はルーク様の傍を離れませんよ!!!」

「さいですか…」


ルークは、反論するのも面倒くさく、投げやりに返答するようになっていた。それすらも、嬉しそうに聞いているカルロスと、面白そうに聞いているソフィに苦笑いしか出来ないルークである。


「さて、ここの神殿は俺たちを受け入れてくれるかな?」


カルロスは、神殿の扉に手をかけゆっくりと扉を開けるのだった。


ザンキモ男→残念な気持ち悪い男


身長は、全員高いです

ソフィ165センチ

ルーク178センチ

カルロス182センチです。


読んでくださりありがとうこざいます!

賑やかしの珍道中まだ続きます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ