ライネについて
部屋につき、侍女に「ありがとう、下がって頂戴。」と告げて侍女が下がるのを確認する。
そして、俊敏に机の中のペンと紙を取り出し、題名に「前世の記憶」と日本語で書く。
前の世界での「英語」のように、この世界での大陸共通語があるが、それだと見られた時にバレるので日本語で書くようにする。
・・・・・・冷静になってから完全にわかった。
ここは、乙女ゲームの世界だ。
「ファルナー、ファルベルン、アルフレッド、ローゼ、ライネ」という言葉になんだか聞いたことがある気がずっとしていた。
けど、まさか、乙女ゲームとは・・・・・・・・・・・・。
どおりで聞いたことあるはずだ。
ローゼお姉様がアルフレッド野郎の婚約者になることだって・・・・・・・・・。
・・・私は大学に入る前から、ずっとやっていた乙女ゲームがあった。
その名は「プリンスに恋して〜運命の出会い〜」というものだ。
攻略対象は多岐にわたり、グラフィックも声優陣も豪華でなによりキャラが凄くイケメンだった。
ハマったら最後。沼にどっぷりハマってしまうゲームとしてとても有名であり、「プリ恋」という愛称で親しまれていた乙女ゲームは、私も重課金勢として楽しんでいた。
隠しキャラもいてとても楽しめるゲームだったと記憶してる。
・・・「ローゼ・ファルベルン」とは、アルフレッド野郎を攻略する時に当て馬として出てくるキャラだ。
そして、私。
「ライネ・ファルベルン」とは、姉である「ローゼ」を心から敬愛している女の子だ。
濃い茶色にローゼと同じ茶目を持つ身長が低い子で、髪形をツインテールにしていた。
ヒロインがアルフレッド野郎を攻略する際に、ローゼと共に現れてヒロインをローゼ以上に酷く虐めていたかなり残酷なやつで、
ローゼのためになること、ローゼを守ること、ローゼを幸せになることだったらなんでもするキャラだった。
とても強くてゲームでのアルフレッド野郎のバットエンドだと、ヒロインはライネに無残な姿で殺される。
そしてハッピーエンドだと、
ローゼ達が王子達に罪を突きつけられ、ライネは暴れぬよう四肢を飛ばされローゼと共に辺境へ飛ばされてた・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・え?????私、死ぬじゃん・・・。
暴れぬようって・・・・・・四肢・・・・・・・・・・・・マジかよ・・・・・・・・・・・・えぐい・・・・・・・・・・・・。
幕間でアルフレッド野郎の口からライネのことが語られてたけど、原作のライネはスーパーチートで、
ライネの成績は、魔力はS+で武術もAだった。
アルフレッド野郎の婚約者として日頃危ない目にあうローゼを守るために日々鍛錬してずっと自分を鍛えていた・・・と、言っていた。
私、まだ何もしてないんですけど・・・。
鍛えてないよ・・・・・・・・これから鍛えよ・・・。
というか、お姉様が婚約者として危ない目にあうってことは確定してるから・・・私が、守らなきゃいけないんだ。
元の能力がいいことは分かってるから、あとは頑張るだけだ。
うむ、頑張ろう。