気付いた
お母さんが死んでから、何年か経って、
私は今4歳で、もうすぐで5歳になるところだ。
____私の今の立ち位置は、何だかすごく微妙だ。
お母さんは私を産んで死んでしまった。もちろん、私のせいではないことは自分でもわかっているけれど....やっぱり思うところが私にもある。
お父さんは、お母さんを誰よりも愛している。
言い方はあれだが、お母さんを死なせて産まれてきた私のことを憎みこそしないが、扱いに困っているようだった。
だから、お父さんとはほぼ全く話してない。誕生日もお父さんからのお祝いは「おめでとう」の一言だけで、お父さんとの会話はほぼ終わってしまう。それに関しては・・・少し残念だけれど、しょうがないかなとも思ってる。
それは、年の若いお母さんを敬愛していたお母さん付きの侍女さん達も同じ気持ちのようで。
不幸中の幸いとして、昔から我が家、ファルベルンに仕えている執事や侍女さんたちは私に非はないと完全に割り切って接してくれているので仲はまぁまぁいいと、思う。
話が変わるが、そんなちょっとした腫れ物扱いされている私には女神がいる。
..........その名は............!!!!!!!!!ローゼ・ファルベルン様でございます!!!!!!!!
そう、つまり私のお姉さん!!!!!!
私のお姉さん、ローゼお姉様は、私の事をちゃんと割り切って接してくれている。
お父さんの本心や態度に少し落ち込んだ私に、
「あなたを産んでお母様が死んでしまったことは、すごく残念だけれど・・・あなたのせいではないもの。それに、私はあなたのお姉ちゃんだもの!可愛い私の妹を恨むなんてことは絶対にないわ。だから、悲しい顔しないで、ライネ。きっとお父様もわかって下さるわ・・・・・・お父様はきっとあなたにどう接すればいいのかわかっていないのよ、ライネ。」
と自分の事のように眉根を寄せて下さったお姉様。
それにな、このお姉様、お父さんに私への態度について苦情を入れてくれてるのを私は見たんだよ・・・ほんと神・・・。
お姉様は茶色がかった金髪に私と同じ茶色の目を持ってる。そして、ナイスバディ。
お姉さんは私と2歳差だけれど、もうナイスバディになっている。とても美しいですお姉様。
え????私????私は4歳児の普通体型だよ、普通体型。絶壁ですけどなにか??
お姉様の顔はとても美しいけれど、目元がつり上がっているせいなのかとてもキツくみえる。
でも私が「おねぇさま、おねぇさま、だいすきです!」と言うとものすごく嬉しそうに目をふにゃっとさせて柔らかく微笑みながら「私も!私もよ、ライネ・・・」と言うんだよ・・・。
その笑顔のお姉様の顔と言ったら・・・もう神。
ほんとベタ惚れ。まじかわいい。死ぬ。
男が見たら鼻血吹いて昏倒するぐらいの可愛さ。
ローゼお姉様最&高・・・。
今だってお姉様が用意してくださったお茶を飲んでまったりしている。
お姉様が用意してくださるお茶はとても美味しい。侍女がいれてくれるお茶なんて比べ物にならないくらいの美味しさ。最高かよ。
「ライネ、お代わりが欲しかったら言ってね?」
と微笑みながら仰るお姉様。後ろに後光がさしてますよ・・・。
そんな完璧なお姉様は先日誕生日を迎えて7歳になられた。
そして、そこで王太子様の婚約者になられたばかりだ。
・・・ファルベルン家は、このファルナー王国が誕生したときの話にも出てくる家だからとても位が高い公爵という地位にいる。
そして、王家に1番近い家だ。
よく王族が嫁ぐので王族の血が流れている。血筋的にも申し分ない令嬢だ。
だから、お姉様は王太子の婚約者として抜擢されたそう。私のお姉様を嫁にするとかありえんわ。
まじ王太子絶許((
そんなファルナー王国の王太子の名は「アルフレッド・ファルンツ」だ。
前にお姉様の婚約者として紹介されたが、超絶美形の金髪碧眼The 王子とでもいうような王子だった。
だが、あいつは侮ってはいけない。
あいつはお姉様と同じ7歳だと言うのに始終薄っぺらい爽やか笑顔を顔に貼り付けていた。
ああいうのは絶対に腹黒だ。
金髪碧眼の第1王子ってのはお決まりのように腹黒なのか!?
私が前世で大学に入る前からやってた乙女ゲームにもそんなやついたな〜。
お茶を1口飲み、うぅんと唸って記憶を思い出す。
た〜しか、その乙女ゲームの第一王子の名はアルフレッドだったような......ん????
アルフレッド...........??????
......お姉様の婚約者はアルフレッド。乙女ゲームの王国の第1王子も、アルフレッド。
は..........??????
「ぶっは、ええええええええええええっ!?」
と思わず口に含んだお茶を吹き出して叫ぶ。
前の席に座っていたお姉様はびっくりしたように目を大きく見開き、持っていたお茶をゆっくり置いて様子がおかしい私に急いで近付いた。
「ライネ、どうしたの!?」
「あ、は、はい・・・・。だ、大丈夫でず・・・。」
なんとか受け答えしてお姉様の方を向く。
お姉様は目をキュッと吊り上げた。
「・・・大丈夫じゃ、なさそうだわ・・・。お茶会はここまでにしましょうか。ライネ、片付けは私と侍女に任せて部屋で休みなさいな。」
とはっきり私に言ってから私たちの様子を見て近付いてきた侍女の1人に「ライネを部屋に連れて行ってあげて頂戴。」と告げると私の頭をそっと撫でて
「さ、ライネ・・・。行きなさいな。」
と未だ混乱している私を立ち上がらせ、侍女に連れていかれる私を心配げに見送ってくれた。
ありがとうお姉様。後でお礼します。