闇の彼女
パチッと目が覚めた。
「あ、〇〇起きたー!」
え!?なんでここに!
ガバッと起きる。
「え!美奈?なんで・・・・・・。ここは・・・?」
「・・・?どうしたの?ここは教室だよ?あんた大丈夫?」
「え、あ・・・あぁ、大丈夫・・・ごめん、なんか朦朧としてた。」
「そう、ま、あんたが大丈夫ならそれでいーけど。」
時計を見ると、12時だ。
「あぁ、もうお昼の時間だねー、購買行こ!」
「うん、そうだね。・・・行こっか。」
なんで・・・私、死んだんじゃ、なかった?
どうして・・・・・・・・・・・・。
購買につくと、そこはやはり混んでいた。
「やっぱ混んでるねー、まぁ、待つか。」
「・・・そうだねぇ。」
「あんた、今日は何食べんの?」
「今日はおにぎり二つとパン一つ買うわ」
「ふーん、そう。私はカップ麺でいいや」
「そっか・・・体に悪いぞ?」
「ふっ、それがいいんだよ(キラッ)」
「おい・・・キラキラさせんなw」
「あははw」
たわいもない会話がとても楽しかった。
お目当てのものを買ってから席に着く。
各々食べ始めてから、私は口を開いた。
「・・・で、あなたは誰?」
そう問いかけると、彼女は首を傾げた。
「?何言ってるの?私の名前は美奈だよ。あんたの親友」
「違う。もう一度聞くけど、あんた誰?」
間髪入れずに言い放つと今度は、にぃ、と口元を歪ませた。
「・・・ふふふ、どうしてそう思ったのか聞かせてもらえる?」
「まず、私の親友は基本めんどくさがりだから混んでたら絶対並ばないし、それに、美奈はああ見えて意外と凄く健康に気を使ってる子だからカップ麺なんて選ばないよ。だから、あんたは美奈じゃない。」
ふはっと「美奈」は笑った。
「こりゃあ、負けだね。もう少しあんたの記憶を調べればよかった。うふふふふ。」
「・・・どうでもいいけど、ここはどこなの?」
「ここは私の世界。なんでも叶う世界。全てが作れる世界だよ。あんた、禁術で闇に染まってる私をあんたの中に取り込んだんだよ。」
ふと、記憶を思い出す、ドローネのアレか。
「あぁ・・・あの時の・・・」
「それでね、あまりにもあんたの魂のカタチが綺麗だからさ。話したくなっちゃった。」
「・・・・・」
なにいってるんだ?と思ったけど、あっちは大真面目らしい。
「ねぇ、私とここで暮らさない?なんでも手に入るよ?なんでも出来るよ?私もねぇ、外の世界に疲れちゃったのよ。だからさ、ね?」
「・・・・・・・なんでも手に入るっていうのはとても魅力的ね。」
「えぇ、そうでしょう。」
「だから、無理。」
彼女は目をパチクリとさせた。
「・・・・・・え・・・・・・・・?」
「私ね、手に入らないものほど燃えるの。すぐ手に入るものなんてつまらないよ。
それにね、私にはもう大切な人がいるから。」
「・・・会ってからちょっとしか経ってない母親のことかい?」
「・・・まぁ、お母さんもだけど、お姉さんのこと、なんだか、すごく好きなんだよね。
だから、会いたいんだ。」
「ふぅん、あんた、馬鹿なの?会いたいって気持ちだけで全てが叶うココを手放すの?」
「全てが叶うことにあまり興味が無いんだ。努力して、掴み取ったものの方がいいじゃん。」
「あんたのその思考、全くわかんないわ。」
「・・・わかんなくていいよ・・・だからさ、返して。元の場所に。」
「・・・・・・・・・ぷっ、あははははははははははっ!あー、おっかし!全てが叶うってのに馬鹿みたいだよ!あんた!おっかしいねぇ!あはははっ!
・・・いいじゃん!いいじゃん!!気に入った!!私の力、あんたにあげるよ!!貸したげる!特別だよぉ?こんなこと、ないんだから。あんたの運命、みたけどかーなりごちゃごちゃしてるからさぁ、私の力、きっと役に立つよぉ!」
「は、はぁ・・・・・・・・・・・・」
正直、気に入ったと言われましても・・・・・・
「はーー、こんなに笑ったのはいつぶりかなぁ、ざっと500年振りかなぁ・・・あははははは!!
・・・それじゃあ、お望み通り戻してあげるよ。
アンタもうすぐ産まれそうだから、私の加護をつけたげる!」
「あ、ありがとうございます・・・?」
「うむうむ!それじゃあな!マイハニー!」
・・・なんか勝手に気に入られたっぽいな・・・。
彼女が私に向けて指をくるりと回すと、私の周りが煌めいていく。
周りの光が一段と眩くなって、視界がまた暗転した。
ほんと、なんだったんだよ・・・・・・・・・・・・。