体を動かしました
クロユリと再会を果たしてから、なんとなく魔力が前よりもさらに安定した気がする…。
これは、感覚の違いなのでうまく伝えられないが、無くしていたものがピッタリ当てはまったような気分だ。
魔力が完全に安定したので、エドワード先生の授業も凄く受けやすい。
エドワード先生曰く私は超絶優秀だそうだ。
今やっている授業内容としては、一般属性の魔法や魔術の訓練をしている。
私は光属性以外の全属性を優位属性として持っているし、それにプラスして魔力値も凄く高いので向かうところ敵なし状態だ。
エドワード先生は「ライネさん…貴方は…本当に素晴らしいモノをお持ちのようです…。」そう言ってからゴクリ、と喉を鳴らして観察されたので「そうですかぁ…ハハッ…。」と言っておいた。
塩対応になったのはしょうがない。
だってエドワード先生が鼻息荒くして目をかっぴらきながらガン見してきたんだよ…。
…イケメンでもこれは無理でしょ…普通にキモかったし…。
カイン先生に見ていただいている武術・体術の訓練も今順調だ。
今や、私の体は筋肉で出来ている…!!!!
脂肪なんてどっかいきましたよ、うん。
余計なものが全て削ぎ落とされて寸胴ネギみたいな体型になりました。かなしいです。
胸なんて筋肉しかないよ…絶壁だよ…。
まぁでもお姉様を守るために鍛え上げているのだ、と思うとこの身体も愛おしく思えてくるから不思議だ。
絶対にお姉様は私が守る。
そのためにカイン先生にはビシバシ鍛え上げてもらっている。
私は体が小さいこともあってパワーが足りないので一撃一撃に体重を乗せて戦っている。
カイン先生の授業では刃の表面が潰れている本物の剣を扱う。
それを使って授業開始直後に私がカイン先生に飛びかかることで授業が始まるのだ。
一瞬一瞬が命取りになると考えて素早く行動に移さなければカイン先生に瞬殺されてしまう。
カイン先生も手加減してくれているらしいのだが、一度もカイン先生に勝てた試しがない…。
本当にお強いんだよ、カイン先生…。
今日もまた弾き飛ばされるのだろう、と考えながらも剣を握る。
「よろしくお願いします。」
と私が告げた後にくる、カイン先生からの「あぁ、よろしく頼む。」という返答が試合(授業)開始の合図だ。
ぐっと踏み込んで勢いよく飛び込んだ。
小さい間合いを生かしてちょこまかと動きスピードを上げて突撃しようと考える。
とん、とん、と左右に飛びながらスピードを上げる。
そのスピードと勢いに任せ、まずは一撃をカイン先生の剣に当て、体を捻って足技を繰り出すが華麗に避けられる。
これには思わずチッと舌打ちをして先生の肩に足を掛け、跳躍する。
ぐるんと一回転してから地面に着地し、足に力を入れて何回か剣を交える。
ギンッギッギチチチチッと剣の側面が触れ合って音が鳴る。
その全てに体重を乗せているというのにカイン先生の身体は全く動かないし動じていない。
どうせ今私の動きの中で駄目なところを見つけているのだろうなと思うと腹が立つ。
なんかしてやろうと思い考えを巡らせる。
あぁ…いいこと、思いついた。
カンッと音を立て交えていた剣を少し離す。
その次の瞬間に一気に体重を乗せて下に剣を下ろした。
突然のことでそのまま下ろされたカイン先生の剣の上に足を乗せてグンッと力を入れ跳躍する。
垂直に跳躍した私はそのまま重力の流れに乗って落ちていく。
その落下の力を利用し、カイン先生の剣目掛けて剣を振り下ろす。
私がそんな行動に出るとは思っていなかったのか、カイン先生は少し目を見開いて驚いていた。
ざまぁみやがれ!!!!そんな気持ちを剣に託して思い切り打ち込む。
ガギィィィィィンッッッと金属が激しく擦れ合う音が聞こえた。
それに体重をかけて力を込めた瞬間、バキッと音がしてカイン先生と私の剣が…‥…
同時に割れた。
…というより、折れた。
私を受け止めるものが無くなり、私はベシャッと地面に叩きつけられる。めっちゃ痛い。
「…んぶ!!!!!!!!!ぐ、げほ、げほ、…はぁ…はぁ…うええ…痛いわぁ…剣折っちゃったし…やってしもうた…」
「…ライネ嬢、大丈夫かッ!?!?」
「あぁ、地面に強打しただけなんで大丈夫です…。」
「…それが大丈夫じゃないんだ…!!」
それからは、カイン先生にお姫様抱っこされて医者に連れていかれた。
打撲と擦過傷でした。
骨折れてなければノープロブレムなんです!!!
はっはっはっは!!!!!(白目)
今日のことが何故かお姉様に伝わり、「なんて無茶をするの!!!!!この、お馬鹿ライネ!!!」と会うなり罵られた。
…ちょっとゾクゾクしたのは私だけの秘密である。