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悪役令嬢の妹ですけどなにか?  作者: トマッティ
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魔術・魔法のお勉強


アルフレッド野郎とオーガが私達姉妹の幼なじみになり、数年が経った。


ただいまライネ、7歳です。


前々から武術・体術や、魔術・魔法については勉強、訓練をみっちりしていたのだが、さすがに深くまではやらなかった。

カイン先生やエドワード先生曰く、基本が大事らしいので、2年間ずっとカイン先生からは基礎体力作り。エドワード先生からは魔力を安定させ、コントロールする訓練を受けていた。


今回、しっかりと魔力がコントロールできるようになったので、ようやく詳しい魔術・魔法についての座学に入るらしい。



・・・そうだ、伝え忘れていたが・・・この世界の時間軸や、時間の測り方、日にちの数え方は大体前世と変わらない。

ちょっと違うのが、1週間の数え方だ。

ここでの1週間は「月、火、水、木、風、土、金」というようになっている。

つまりは、前世での金曜日が風曜日となり、日曜日が金曜日、となる。

カイン先生の授業は水曜日。

その次の日がエドワード先生の受け持つ授業の日となっている(つまりは木曜日)。


そして、今日が木曜日で、詳しい座学に入るという初日だ。



コンコン、と控えめなノックが扉の方から聞こえた。


「どうぞ」と告げるといつも通りエドワード先生が侍女を後ろに伴って廊下から入ってきた。


挨拶もそこそこに侍女に出ていってもらって、授業が始まった。



「ライネ嬢、今日は詳しい魔術・魔法についてお話いたします。みっちりとライネ嬢に魔術が何たるかを叩き込ませていただきますね。」


ニコリ、と爽やかに微笑むエドワード先生。

一瞬ゾッとしたのは気の所為だ。


「・・・ご指導ご鞭撻の程をよろしくお願いします・・・なにとぞ、お手柔らかに・・・。」


「ええ、それはもちろん。分からないところがあれば、すぐにでも言ってくださいね。」


「はい。」


そう言うと、エドワード先生はテキストのようなものを私の前に置いた。

題名は、「魔術・魔法の基礎・応用」と書いてある。


「こちらは、私、自作のテキストです。授業でお話させて頂こうと思っていることの大体がこちらに書かれております。1日4ページのペースで進めていきます。予習などはしなくて結構です。見直す、などといった復習メインでやって頂こうと思い作成しました。

授業では口頭でも色々と説明しますので必要だと思ったことはどんどん書き足していってください。」


みんな聞いて、これ、めっちゃ分厚い・・・辞書みたい・・・これをやるのか・・・。

これ自作って本当に凄いな。大変だったんだろうな、と思い少し申し訳なくなった。


「はい、わかりました。わざわざありがとうございます・・・。」


「いえいえ、大切な生徒のためですしね。纏めるのも意外と楽しかったのでお気になさらないで下さい。」


「はい。」


「それでは、授業を開始しますね。1ページ目を開いてください。」




そうして始まった魔術・魔法の授業。


先生曰く、「人は皆、生まれた時から自分の魔力を持っている。」らしい。

魔力ゼロの人間は、存在せず、魔力はとても大切なものだそうだ。

魔力が多いか少ないかは個々によって違うがかならず魔力はあるようで。

エドワード先生曰く測ってはいないものの、私はめちゃくちゃ魔力が豊富だそうだ。

・・・まぁ、そうだろうな・・・だって(ライネ)の魔力値は公式でS+だったし。

魔力値は(S,A,B,C,D,E)の評価がつけられる。

Sは上限値を指すものだ。それに+がつく時点でもうお察しだよね。



私達人類がなぜ魔力を持っているのかと言うと、それは神話まで遡るようだ。

そのお話は、「昔、神が下界の掃除屋として人を粘土で作り始めた時、天界の粘土でいくら捏ねて人型を作ってもすぐに崩れてしまった。なので、神は自らの力を少し弱体化させて粘土で作った人型に力を与えた。そうするとその人型は意志を持ち崩れない身体になった。その神からさずけられた力が我らの持つ魔力である。」というものだ。


エドワード先生はこの神話にロマンを感じるらしく、とても興奮していた。

「ははは、エドワード先生、この神話好きなんですね。」と言ったら「はい、とても。」とニッコリされた。


魔術と魔法の違いは魔力や道具をどれほど使うのかによって違うらしい。


魔術は、「極わずかの魔力を使って詠唱し、大掛かりな準備をする。

準備さえすれば全ての属性魔術を詠唱できる。」

といったようなもので、

魔法は、「自分の体内にある魔力を必要な分取り出し準備せずに詠唱すれば発動できる。

ただし、得意不得意の属性が出てしまう。慣れたら無詠唱でも発動可能。」

というものらしい。




ここで属性を紹介する。

一般的な属性に「火、土、水、風」属性があり、非一般的に「光、闇」属性がある。

全部合わせて計6個の属性だ。


一般的な属性はそのまんまの意味だ。

例えば、火属性があれば火を使う魔法が得意で、風属性があれば風を使う魔法が得意、といったような感じ。

極めて珍しい「光、闇」属性は持つものがとても少ないらしい。


光属性は治癒能力を持つ魔法を扱える。


この流れだと、闇属性も元々あるもので、闇の力が使えるものだ、と考えがちだが・・・そうではない。


闇属性は、「人が深く絶望した時、もしくは、人を殺す程の強い殺意、憎悪を抱いた時」に元々持っていた「火、土、水、風」属性が闇属性に塗り替えられることにより手に入るものらしい。

あぁ、前提条件として、人は必ず一般的な属性を1つor2つ以上持っていることも頭に入れて欲しい。

・・・闇属性になってしまったら最後、その欲望のままに悪性の犯罪者に成り下がる。が、ある方法により、闇属性を取り除くことができる。

そこで登場するのが光属性だ。

闇の力を払う光属性の特別な呪文により闇属性は取り払うことが可能だ。

現段階ではこれしか闇属性を取り払う方法がないらしい。

なので、闇に染る人を払うことが出来る光属性はとても重宝される。


・・・ちなみに、光属性の人がどんなに殺意や憎悪を抱いたりしても絶対に闇属性にはならない。

相対している相反する存在なので絶対に身体に入ることはないそうだ。




(なるほどな)と思うと同時に、ライネ(私)は公式で闇属性と光属性以外の一般的な属性は全て持っていたことを思い出した。


どうして、ライネは一般的な属性を持っているのに闇属性も持てるのだろうか。

闇属性は他の属性を消し去ってしまうものではなかったのか・・・?という思考に入った時、そこでちょうど授業が終わった。




エドワード先生が退室した後も考えたが、よくわからなかった。なにか忘れているような気がしたが・・・思い出せないものは仕方がないよな・・・。






・・・その日、眠りに落ちる瞬間に「あはは、私のこと忘れてやーんの!」と酷く愉しげに笑う声が聞こえた気がした。






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