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悪役令嬢の妹ですけどなにか?  作者: トマッティ
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王子の回想 2

長らくおまたせいたしましたぁ!!!!!

なんだか、インスピレーションが降臨せずになかなか書けずにいたのですが、感想を下さった方、そして読んでくださる方、読んでくださった方のためにも亀更新でもなんでも更新しようと思います。

待っていてくださり、本当にありがとうございます!



少し、ほんの少しの寂しさを胸に、目線をバレないように下げてふっと気持ちを切り替える。


「久しぶりですね、ライネ、ローゼ。

元気にしていましたか?」


どうせ、僕がいなくても君は変わらないのだろうな。そんな気持ちを胸に隠し、微笑む。


「えぇ、変わりなく。・・・殿下はどうお過ごしになられていましたか?」


「ふふふ、私も変わりないですよ。少し、勉強がハードになったくらいです。」


我ながらよくペラペラと喋れるな、と思う。


ふ、と肩を竦めてみせると彼女はクスッと笑って微笑んだ。



「ふふ、殿下ったら。」




・・・あぁ、これからも君がそうやって僕の隣で笑うのは悪くないな、とそう思った。



そう思ってしまうこの感情にはまだ気づきたくない。


・・・気づいてしまったら、きっともう戻れないだろうから。




ふと横を見ると、デレッとしたように目尻を下げて(つまりはエロ目)鼻の下を伸ばすという淑女あるまじき顔をしたライネがいた。


思わず笑ってしまいそうになったが、口角を引き上げて、指を抓ることにより、耐えた。

ライネはいつから下卑た男のような顔をするようになったのだろうか。

参ったな・・・要注意人物がこんなに近くにいるとは思わなかった・・・。




ふと、今日の訪問理由を思いだし、弟の方に少し目線をやってから彼女の方を向く。


「弟がとても美しいファルベルンの薔薇園を実際に見たいとせがむものですから本日伝令通り連れてきました。

・・・のちほど、薔薇を拝見させて頂いてもよろしいですか?」


そう告げると、待ってましたとばかりに彼女は顔を輝かせた。


「えぇ、いつでも大丈夫ですわ。

アルフレッド殿下にそこまで褒めていただけるとは、庭師も喜ぶことでしょう。」


とても嬉しそうに微笑む彼女にこちらまで微笑ましい気持ちになる。


「そうですか、ありがとうございます。ほら、オーガ。お前もお礼をしなさい。」


そう告げると、我が弟ながら可愛らしく上手に感謝を述べていた。



♢♢♢



見渡す限りの素晴らしい薔薇の園、そして上品な香り立つこの場所はファルナー王国でも一目を置かれている。

ファルベルンの薔薇園は本当に素晴らしいものだ。


これを維持するのにどれだけの技術が必要なのだろうか。

我々王族の住まう宮殿の中庭や回廊にも美しく咲き誇る薔薇はあるが、ファルベルンの薔薇園に比べれば陳腐なものだろう。そう言いきれるほどにここは美しいのだ。



オーガがローゼを見て、思考している姿が見える。

そんな弟を見て、ライネは心底不愉快そうに眉を顰めている。


あれは絶対に「私のお姉様なんだから勝手にジロジロ見てんじゃねぇぞ、クソが。」とか思っているのだろう。




そんな時、弟が声をかけてきた。



「兄上の婚約者としてどれほどの器のものか見ていましたが、大した器ではないじゃないですか。こんなやつよりも美人な方がいますよ。

顔だって技量だって今のところ普通でしかない。

兄上に似合いませんよ、このお方は。」



ヒソヒソと静かに囁くように話していたソレが、後半になるにつれて嘲笑うように大きくなっていった。


「こら、そういうことを言ってはダメだよ。」


そう言って窘めるが、彼女を婚約者から外そうと考えていた手前、なんとも言えなかった。


もちろん、彼女、いや、ローゼが僕に似合わないなんてことはない。むしろ最高の婚約者だと思うが、なんといってもローゼは僕のことが嫌いだ。





外してあげた方が、きっと彼女は喜ぶだろう。





そう思い彼女の方をチラリと見ると、


彼女は今にも泣きそうな顔をしていた。




(え、どうして、君が、そんな顔を・・・)


そう、思った時だった。



プチン、と切れてはいけないナニカが切れる音がした。




「オーガ・・・で、ん、か?もう一度仰ってくださるかしら?」



そこには、怪物のように恐ろしく殺気を撒き散らしながら低く唸るモノがいた。いや、これでも隠されてる方なのだと思う。


瞳孔を開いて殺意をたっぷり含ませた目で我が弟を見る彼女、いや、ライネはそれはもう凄かった。



彼女は仮にも王族である弟に容赦なく正論を言った。

それはものすごい剣幕で、正面から顔を合わせている弟に少し同情した。



「お姉様に謝れ!」と言う彼女に対して反抗的に「謝るものか!」と返す弟。


ふぅ、と溜息をついてから弟の胸元を乱暴に押して、彼女はこちらを向いた。


「アルフレッド殿下?

思慮の浅い、脳みそと口が繋がっているような方がアルフレッド殿下の弟君なんて信じられませんよ。」



・・・へぇ、ライネ。君、この僕にそんなことが言えるんだね。

いつもローゼに隠れるように、「心底お前が妬ましい」とばかりに僕を睨んでいた彼女が前に出てきてこちらを真正面から睨む。

意外だな、と思うと同時になぜだか高揚感が出てきた。



「・・・弟君の不始末は兄君である貴方様につけて頂かないと。

お姉様に謝ってください。」


心底憎らしそうにこちらを睨みつける少女。

それに対し、面白い、もっともっと怒らせてみたい、睨んで欲しい、と思うことは・・・・・・異常なのだろうか。




「・・・・・・・・・・・・そうだね、その通りだよ。

ローゼ嬢。愚弟の代わりに謝罪しよう。

酷いことを言ってしまったね。

すまない。」




「い、いいえ、私は大丈夫ですわ、殿下・・・。」


ローゼはライネのやったことに驚き、まだ現実だったのかわかっていないようだったが思わず、と言ったようにブンブンと首を振った。



「・・・それでは、今日はもうお引き取り下さい。気まずいですし、もうこれ以上貴女方のために時間を取ろうと思えません。」


ギリリ、とこちらを見る彼女になんとも言えない感情が沸き起こる。

もちろん、それは不愉快な感情ではなかった。

とても、高揚した良い気分だ。






・・・これは、そう、嗜虐心、というやつかな?






参ったな。僕には、そんな趣味なかったのに。



それなのに。



なんだが、ライネに睨まれると屈服させたくなるんだ。




はははは、ライネ。君、面白かったんだね。



自然と、口角が上がった気がした。




アルフレッドは、超絶ドS腹黒野郎です。

今回元々持っていた才能が完全に開花してしまいました。

アルフレッド殿下は反抗されれば反抗されるほど興奮してしまいますよ、ライネさん。

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