我が教師ぃ!!
ウォールはだんだんと我が家に馴染んでいった。
彼は贔屓目なしにとても頭がいい。
攻略対象だからなのか、到底5歳児とは思えないほどの知性を持っている。
周りの空気に聡くてベストな行動にすぐ移せる彼は私から見ても凄い。
それに、
両親を亡くしたことに深い悲しみはあるようだったが、それをおくびにも出していない。
たまに、ぼぅっとどこか虚ろになったり、私とお父様が言い合っている時、眩しそうに目を細めているだけだった。
夜中に両親を偲んで泣き出すとかいった乙女ゲームありきな展開は、まず部屋が離れてるから全く起こりそうな気配もしない。
彼は今、貴族のしきたりや、礼儀作法を習っている。
・・・庶民だった彼が1からそれを覚え、身につけるのはかなりの苦痛なはずだ。
それを耐えて不満を漏らさず真剣に授業に望む彼の態度は尊敬に値するだろう。
あ、ちなみに言っとくけど、お父さんはウォールのことを実の息子のように扱ってるから私たちとウォールの間の格差とかはないから。
お父さんが怖くて不満とかを漏らせないとかは・・・ないと思うよ。
小説とかでよくあるいじめとかもないし。
たまに、ウォールを見て
・・・こいつ、大丈夫かな?
と思ったりもするけど、別にウォールが大丈夫そうなら私もなにもすることないし、「私、両親を亡くしたあなたが寂しくないか心配なの・・・!」とかいうような自分の妄想を押し付けるバカみてぇな女にもならない。
ウォールに関しては、ま、なるようになるさ☆
・・・そして、まぁ私の事なんですけど、
私の先生が決まりましたよ。
やったね!!!!!!!!
元々ゲームの中でのライネは自己流で極めてたみたいだけど、私はそんなの無理なんで。
自己流ったってなにしたの?って感じだしな、うん。
そんな感じで思ってた私に父が連れてきたやつは・・・そう、そうなのです。
ゲームの攻略対象者でした!!!!!!!
いやぁ、はは。
まじでなんなんですかね、これは。
なんで攻略対象がくるんですかね???
そこらへんの強い無難な感じのおっさん教師でよかったんだよ。いや、そんなおっさんがいるかどうかわからないけど。
もー、マジで発狂ものだったんだよ?
お父さんから「今日からお前の教師となる方だ。魔術のことはこの先生に習うといい。」と言われ前をみるとそこには茶髪碧眼イケメンがいたんだから。
「こんにちは、ライネ嬢。
私の名前はエドワード・ロストと申します。以後お見知り置きを。」
という挨拶についで流れるような手の甲キッスをされた私は心の中で大絶叫したね、うん。
「はい、こちらこそ。ご指導ご鞭撻の程をよろしくお願い致します。・・・エドワード先生、とお呼びしても?」
と言い切った私は本当に天才だと思う。←
エドワード先生は、ニコッと微笑んで
「ええ、構いません。よろしくお願いしますね、ライネ嬢。」
と言っていた。
それからエドワード先生との交流、というか授業が始まった。
そう、そしてこのエドワード先生。
まだ17歳なんです。
だけど、天才的に魔術ができるから王宮お抱えの魔術師として名を馳せているらしい。
そんな先生の腕を買って、お父さんが私の先生になってくれと頼んだ、という話だ。
そんなエドワード先生、
今のところ最年少で王宮魔術師という称号を持っている先生はガチで強いのに、その強さを見せつけずに魔術や魔法の研究を真剣に続けているのだ。惚れはしないが性格的にもめちゃくちゃイケメンなんだよね・・・イケメンしゅごい・・・。
エドワード先生の授業は、体術・武術の授業の次の日にやることになった。
余談だが、私の体術や武術を鍛えてくれる先生はなんと王族騎士団長さんだった。
ってかさ、お父さんのコネクションはどうなっているのだろうか・・・・・・さすが宰相・・・(ゴクリ)
この人もだが、めちゃくちゃ強い。
そんな騎士団長の名前は「カイン・ヴァレル」。
女だからって手加減するような先生ではないので授業は毎回まじでキツい。
・・・まぁ、女だから優しくする、なんて先生は嫌だからいいけどさ。
そんな手加減のての字もない騎士団長、カイン先生は硬派だ。
なんというか、遊ばなさそうな感じ。
きっちりとした性格で真面目。悪くいうとノリが悪くて面倒臭いやつ。
あと、カイン先生、なんといったらいいのか・・・これまた顔がいい。
つまり、めっちゃモテる。
この間私の侍女が彼にメロメロになっていた。
侍女曰く、「硬派なドS感溢れるあの方の目に睨まれたい、蔑まれたい、はぁはぁ」とか言っていた。
突然の性癖暴露には驚いたぜ...。
ツリ目気味な先生の目は萌える人には萌えるらしかった。
私の侍女を骨抜きにしないで欲しい。切実に。
そんな、エドワード先生とは違う魅力に溢れた先生だが、結婚して子供がいるようで、私の2歳年上の男の子がいるらしい。
つまり、私のお姉様(♥)と同じ学年だ。
カイン先生は顔がよろしいのでどうせ子供も顔がよろしいのだろうな・・・けっ( ・´ー・`)
お姉様とは絶対にあわせたくないですね、うん。
そう思う私であった、まる。